4月某日 経堂デ「本之工藝」ニ触レ、
田端新町デ「モツ焼」ニ溺レル事 |
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最近は地下鉄のゴミ箱が撤去されたり、方々に警察官が立っていたりと、物騒な感じが強まっているけど、だからって家に閉じこもっているのも勿体ない。
今日は朝からヌケるような青空。こういう日にはテロのことなんか忘れて出かけるしかない。
今日行くトコロは経堂だ。仕事以外ではほとんど歩いたコトもない街だけど、地下鉄路線図を見ると千代田線経由で乗り換えなしで行けるのだ。意外に近くにあったんだなァ。駅の北口を出て、「すずらん通り」と書かれた入り口をくぐると、商店街があった。土曜日はフリーマー??????ケットの日なのか、路上で服や小物を売る家族がそこここに。
「すずらん通り」という名前は、神保町にも阿佐ヶ谷にも千駄木にもあるのだが、それぞれ雰囲気がかなり違っていてオモシロイ。経堂のすずらん通りは、一見ごくフツーの商店街だが、古くからある商店や銭湯などと、新しくできた雑貨屋やアンティークショップが入り混じっている。歩いているウチに、〈理容ハナワ〉という店を見つけた。例の「ぐるぐる」が路上でなく、店の壁にくっついている。休業日なのか閉店なのか不明だが、入り口の扉の上部に丸い穴が開けられてる(写真をご覧ください)のが素晴らしくキュート。
さらに行くと、左側に見えてくるのが、目的の〈ROBAROBA cafe〉。オモシロイ展覧会・イベントをやっているカフェとして、以前から名前は知っていた。でも、オシャレ系スペースにはなかなか一人で行きにくい。今日はココで開かれている「昼の豆本・夜の豆本」に参加している旬公にくっついて、来たワケだ。タイトル通り「昼」と「夜」をテーマにした豆本の展覧会で、この店では「昼」、荻窪の〈ひなぎく〉では「夜」の作品が展示されてい
る。
狭い入り口を入ろうとしたら、テーブルに座っていた10人ぐらいの女の子が一斉にこちらを見て、ギョッとする。この日は、企画者でもある大阪の豆本制作工房「おまめ」の柴田尚美さんの豆本講座が開かれているのだ。熱心に豆本づくりをする皆さんのヨコをすり抜けて入店。壁側の上下二段に、30点以上の豆本が展示されている。すべて手に取って中身を見られるのがイイ。アート本の展覧会というと、本のカタチをいかに奇抜にするかに忙しく中のテキストにほとんど気を配らない作品が多いが、今回の出品作品にはそういうのが少なかった。宇田川新聞、ちょうちょぼっこなど、知り合いの新作も良く、思わず買って帰りたくなるが、売約済みか非売品だった。そこで、京都の華雪さんの『食事窓』を買う。食べ物を篆刻にした折り本をハードカバーで製本したもの(この説明だとちょっと伝わりにくいだろうけど)で、クォリティの割に値段が安い(1000円)。まだ講座中の柴田さんに挨拶して、店を出る。
旬公に「今日は古本屋には付き合わないから」と宣言されたので、その後は一人で。まず、すずらん通りの〈遠藤書店〉に。ココは植草甚一が通ったと云われる店で、ぼくは初めて入る。外の100円均一台に、船山馨『旅の手帖』(青蛾書房)があり、オッと思う。ナカも値段が安く、探究書だった、岡野弘彦『折口信夫の晩年』(中公文庫)を180円で見つけ、ホクホク。南側には支店があるが、ココでも、いま注目している雑誌『月刊タウン』(アサヒ芸能)を2冊、各800円で見つけた。もう一軒、〈大河堂書店〉は、古本情報誌「彷書月刊」に広告を出し、「クイズに答えたらレトロものを進呈」と書いていた。そこでカウンターで「彷書月刊みたんですが、答えは……」と解答を告げる(めちゃくちゃ簡単なんです)。こういうの、なんか気恥ずかしい。店の人がくれたのは、戦前の新聞紙を復刻したものと菓子の宣伝用の小旗だった。店を出ると、向こうから来る人の顔にナンか見覚えが。通り過ぎて、関川夏央さんだと気づく。そういえば世田谷在住だった。
再び千代田線に乗って、自宅まで帰るとナンだか疲れていた。古本屋巡りは愉しかったが、やっぱり経堂は肌に合わない街かもなあ。このママだと収まらないような気がして、自転車で出かける。目指すは田端。それも山手線の外側の「田端新町」だ。隣の西日暮里に5年以上住んでいるのに、つい最近までこの辺りに足を踏み入れたことがなかった。それがひょんなことから、田端駅の反対側にイイ古本屋と立ち飲み屋と見つけ、それ以来ときどき散歩している。今日はさらにその奥まで自転車??????で行ってみるつもり。
常磐線(だと思う)のガードを適当にくぐる。住宅街を抜けたところで、明治通りにブツかる。殺風景な大通りのように見えるが、両側の建物はいずれも古い。小さな工場、機械部品を売ってる店、そして居酒屋。「デンキブラン 神谷酒場」という看板を掲げた木造の建物が見えてきた。ココの存在は、下町居酒屋探訪のバイブル、大川渉・平岡海人・宮前栄『下町酒場巡礼』(ちくま文庫)で知った。この日は休みだったが、近いウチにぜひ入ってみたい(と書いたその翌日に行った。やはりいい店でした)。
自転車で回りながら、良さそうな焼き鳥屋に入るも、カウンターは満員。日曜日だから開いてない店も多い。こうなったらどこかに入らないと収まらない。
田端駅近くまで戻り、商店街の途中にある〈鳥千〉という店に飛び込む。入った瞬間、コレは失敗かなと思う。店は薄暗く、客は一人だけ。店のおばあさんはそのおじさんとずっと話していて、一見の客がとけ込みにくい雰囲気だ。しかし、「ビールセット」(生ビール、焼き鳥、煮込みで1000円)を頼み、煮込みを食べるとコレがウマイ。次にハツ、カシラを頼むと、コレもまたウマイぞ。一人で放っとかれたまま、30分ほど飲み食いを楽しんだ。フレンドリーだけどどことなく居心地が悪い経堂よりも、客あしらいはよくないけど、気の置けない田端新町の方が性に合うよなあ。
内澤旬子・展覧会のお知らせ
▼CRAFT碧鱗堂BOOKS第一回展示会
「本の世界のはじっこから」
イラストルポライターとしてさまざまな雑誌で活動する一方、ユニークな手づくり本作品を発表してきた内澤旬子の新作、旧作を展示します。個展というよりは、コーヒーを飲みながら気軽に観ていただける展示です。ぜひいらしてください。
【出品物の一部】
豆本「昼寝犬」
「モクローくん絵ハガキ帖」
「シラカバ絵巻」
「おやじがき」
その他、イラストルポ掲載の雑誌など。
【日時】
5月13日(木)〜6月1日(火)
14:00〜24:00
■定休日 18日(火)、19日(水)、26日(水)
【会場】
cafe NOMAD 文京区根津2-19-5 電話03-2822-2341
(千代田線根津駅1番出口より徒歩1分)
*カフェですので、ワンオーダーお願いします。
2004年5月13日更新
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3月某日 渋谷ノ夜、音楽デ体ヲ埋メ尽??????ス事
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6月某日 W杯ノ喧騒ヲ避ケ、三ノ輪ノ路地ニ沈殿スル事
?????? 6月某日 昼ハ最高学府ニテみにこみノ販売法ヲ講ジ、夜ハ趣味話ニ相興ジル事
5月某日 六本木ニテ「缶詰」ニ感涙シ、有楽町ニテ「金大中」ニ戦(オノノ)ク事
4月某日 徹夜明ケニテ池袋ヘ出、ツガヒ之生態ヲ観察スル事
4月某日 電脳機械ヲ購入スルモ気分高揚セザル事
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