約2年前の話です。手狭になった台所のテーブルを、もっと小さいモノに替えようと思いました。どうせならアンティークで、それも普段は小さくても、大きくすることもできる、ドローリーフテーブルがいいなぁって‥‥。けれど、小さいサイズは意外になく、探しているうちに、目黒にある"ロイズ・アンティークスエゴイスト"から入荷の連絡が入り、見に行きましたが、テーブルに直接紙を敷いて、文字を書くであろう自分の姿を想像した時に、古いテーブルでは無理があると思い、泣く泣くあきらめたのでした。


その替わりといってはなんですが、食器棚&サイドテーブル(?)として、60年代にイギリスでつくられた「G-PLAN」 のサイドボードを購入しました。古い食器の収納はもちろんのこと、ポットに電子レンジと、新規参入してきた家電などを置けて、重宝しています。肝心のテーブルは、"D&DEPARTMENT PROJECT TOKYO"で、「カリモク60」のモノを求めました。カリモク60とは、1940(昭和15)年に愛知県刈谷市で木工所としてスタートした、有名な家具メーカー"カリモク"が、60年代につくっていた家具を復刻したものです。G-PLANとは産地が違えど、同年代で同色なので、違和感なく台所に収まってくれ、とても使いやすく、大満足なのでした。‥‥‥本当は、もう少しモノの配置に凝りたいのですが(センスの問題は別として)、今は娘がつかまり立ちの時期で目が離せず、部屋の中のモノが日々移動している最中で、サイドボードの後ろにコルゲンコーワのカエルがいるのも、そのせいです。


しかし、一度は恋焦がれたドローリーフテーブル。そのテーブルを置いた喫茶店"カフェ・カウダ"が、時を同じくして、通勤途中の道沿いにオープンした時には、運命だと思いました。自宅にはないけれど、ここに置かれたテーブルを、わがモノと思い、堪能しようと思ったのです。なので、いつも一番奥か、奥から二番目のテーブルに座りました。 その後、妊娠、出産と環境が激変し、喫茶店に通うどころじゃありません。約1年ぶりに、お客さんがいない時を見計らって、赤ちゃんと2人でカフェ・カウダに入った時は、ようやく喫茶店に入れるようになったと、感激しました。ソファーもあるので、赤ちゃんと横並びに座り、大きな窓ガラスの外を行き交う、人や車をジッと眺める赤ちゃんをよそに、ピザトーストとカフェオレを注文し、気をよくした私は、オーナーの女性にテーブルが欲しかった話をしました。すると、彼女も骨董がお好きだそうで、照明も大正時代のモノを探し、家具も古いモノを取り入れたと話してくださいました。ドローリーフテーブルは、茨城の骨董屋で見つけたとか。いろんなお店から、足と直感で探し、集めてこられたようです。


「欲しいと思うと、不思議と呼びますよね~」 オーナーのこの一言に、 「ですよね!」 と力強く答える私。 「臭うんですよ。あっ、ここにあるんじゃないかなって感じで‥‥。それで、見つけちゃいました。この椅子は、アメリカの映画館で使われていたんですよ。折り畳めるんです」 「素敵ですね~」 「これは、曲線が美しいでしょ。どこも手を入れてないオリジナルのままの椅子なの」 「ヌーボ調ですよね。本当にきれい」


こうなると、喫茶店に来たんだか、骨董屋に来たんだか、よくわからない感じですが、ひさびさ同じ臭い(?)がする女性にお会いできて、とても嬉しかったです。ますますこの喫茶店が好きになったのは、いうまでもありません。ちなみにカフェ・カウダは、「ベルギービール喫茶店 Café Cauda」と看板に描いてあります。ベルギービールにカクテル、お食事も美味しく、もちろんコーヒー、紅茶も美味しいので、お近くにお寄りの際は、ドローリーフテーブルともども、堪能してみてください。なんといっても魅力なのは、夜遅くまでやっていることです(火~土14:00~23:00 日14:00~22:00)。女性1人でも気軽に入れますよ。


喫茶店といえば、会社の32歳の男性が、個人経営の喫茶店に一度も入ったことがないと聞いた時は、ものすごく驚きました。でも、よくよく話を聞いてみると、喫茶店へ行かずとも、マクドナルドやドトール、ファミリーレストランが身近にあったので、安くて、長居できるそれらのお店に慣れてしまうと、個人経営の喫茶店は、怖くて入れないというのです。世代と環境の違いですかね~。私の場合、昔から喫茶店へのあこがれが強くて、お気に入りの喫茶店に、手帳やびんせんを持ち込んで、自分自身の時間の整理や、友人に手紙を書いたり、読書するなど、ゆっくりとした時間を過ごしたいと思ってきました。とはいっても、結局は貧乏性な性格が災いして、あまりゆっくりはできなかったのですが、ほんの少しの時間でも、喫茶店で過ごすひとときは、気持ちを切り替えるスイッチのような存在として、私の中では、とても大切な時間です。なので、個人でお店を経営していくことは、大変だと思いますが、ぜひとも頑張っていただきたく、陰ながら応援したいと思うのです。


さて、今回は喫茶店にちなんで、戦前につくられた野球少年のメニュースタンドをご紹介します。バットが折れているのは残念ですが、デザインが気に入ってつれて帰りました。陶器の台と金属という組み合わせが、斬新といいますか、とてもステキだと思います。ちなみに差している絵葉書は、"少年倶樂部繪はがき"で、関口俊雄さんが描かれた「おいしさうな果物」です。絵葉書を立てると、折れたバット部分が葉書の後ろにいくので、折れていることがわかりません。魅力的なスタンドだと思うのですが、いかがでしょう。


ご案内
カフェ・カウダにて、"鮎沢和彦・渡辺由布子duo live"が開催されます。鮎沢さんは、二胡、三線、三味線の奏者で、渡辺さんは、箏の奏者です。喫茶店で三味線と箏を聞けるなんて素敵ですよね。
日時:5月22日(日)14:00開演
場所:カフェ・カウダ 東京都文京区白山1-30-8
電話:03-6801-8791(入れる人数に限りがありますので、お電話で確認&予約してください)。
料金:2,000円(ベルギービール1杯+小皿料理orコーヒーまたは紅茶+自家製ケーキ付)


ピンク色のカーネーションを1輪。母の日に、母になって1年目の私に‥‥。

田奈弾薬庫専用線跡 その6 - 昭和迷宮物件

これまでの記事:その1その2その3その4 その5

熱帯植物園の奥は急な坂道...というか崖とも形容したくなるような上り坂となる。
椿の森と名付けられ、無数に伸びる椿の木々の間を進む。急勾配なので、小道はジグザグに設けられ、それも人一人通るのがやっとだから、花が咲く時期はその見事さと引き換えに、危険を覚悟せねばならないだろう。

椿の森を抜けた先が、園内の最高緯度地点となる。椿園を見下ろすベンチが設けられているのか...にしてはコンクリートが朽ちて危険な状態だ。

これこそ、今回イサム・ノグチ作ともう一つのお目当て、高射砲の台座だ。

表面が崩れてはいるが、4つの柱はシッカリとした太さで、イカツイ出っ張りを今日に晒している。
台下は崩れ落ち、まるで空房のようだ。

中はどうなっているのか、カメラだけ突っ込んで撮影してみた。

が、やはりなにもないようで、石片が転がるのみだった。

60年以上前の建材の手触り。当時の人々の想いや場の空気が知り得ようもないが、その頃からここにあるものに触れることで、なにか感じられることは確かだ。
そんな感慨に耽りながら、再び椿の森を抜け帰路に着くと、普通に家族連れが通る通路脇に、枯葉にうもれてはいるが、コンクリート製の細かな段差を発見した。

その上部には、なにやらモノリス状態のコンクリの壁面の一部が露出している。

急な斜面を階段状に登れるように段差を付けているようだ。

恐らくこれも弾薬庫の一部なのだろうが、この脇に、境界石のように四角いコンクリの塊が一部露出しているのを見つけた。

そのすぐ隣には、先程の高射砲の台座のようなコンクリが横たわっていた。

弾薬庫の頭頂部ではないだろうか。急な斜面を削って弾薬庫にしたので、知らぬ間に屋上に登っていたのか。
すると、換気口のような穴が空いていた。
覗いちゃう? 覗いちゃうか!?
怖いけど、カメラだけ突っ込んでフラッシュを炊く。何が写っているか、感想は各自に委ねる。

なにが写っていただろうか。

なにもなかっただろうか。

見えたかもしれないし、ないのだからみえるはずもない。
ただ、当時よりの風が、中から吹いてきたように思えたのは...勘違いだろうけど...そう感じたことだけは確かだ。


【終】

全長6センチほどの小さなケースは、華奢な素材である、セルロイドでつくられていました。薄紫とベージュのマーブル模様という、上品な色合いの地紋の上に、ゆらゆらと揺れそうな葉っぱと、つがいの小鳥が金色で描いてあります。なんだか、とても乙女チックな感じがするのは、私だけでしょうか。手のひらにのせて、しばし眺めていたくなります。大きさからマッチケースのような気もしますが、擦るところはありませんし、いったいなにを入れていたのでしょう。女の子の机のひきだしに、このケースがそっと入っていたら、中味は切手かも知れない、なんて、想像するのも楽しいです。

葉っぱといえば、今年も新緑の美しい季節がやってきました。美味しそう(?)な黄緑色の葉っぱが、太陽の光をあびてキラキラと輝く様子は、見ているだけで、癒されるといいますか、気持ちのいい景色です。そして、小鳥たちの声も元気いっぱい。だって、家族をつくる季節でもありますから‥。今年も雛に、何度逢うことができるでしょうか。楽しみのひとつです。


ところで、文京区にある根津神社の"つつじまつり"に、はじめて行って来ました。先日娘に桜を見せたから、今度はつつじだと思い、自転車&スッピン(懲りてない)で、軽い気持ちで行ったのです。‥‥が、行ってビックリしました。ここは東京なのか? と思うほど、スケールが大きいというか、見事なつつじだったのです。視界に収まりきらないつつじ畑(?)は、下から見上げるもよし。上から見下ろすもよし。ただただ見入った私なのでした。

正直いうと、私にとって、つつじの花は、ありきたりな花というイメージがありました。丈夫な花ですから、公園の花壇や街路樹として、身近にあり過ぎるというか、よく見かけるので、わざわざ見にいくという考えがなかったのです。けれど、今回行ってみると、つつじの花って実に種類が多く、黄色い花もあるのですね。はじめて見ました。また、形をしっかり整えられることから、日本の庭園にふさわしい花だと思いました。これほど多くのつつじを、美しく育て上げるには、日頃のお手入れなど、しっかりしておられるのだと思います。

ちなみに花言葉は、「自制心」、「節制」、色によっては、「恋の喜び」、「初恋」、「燃える思い」だそうです。自制心、節制は、なんとなくぴったりな感じです。

そうそう、根津神社から歩いて5分ほどの場所に、"まぼろしチャンネル"の管理人であり(大変お世話になっております)、"昭和迷宮物件"の著者である、刈部山本さんの喫茶店"結構人ミルクホール"があります。隠れ家のような、懐かしい感じのする喫茶店で、しばし日常を忘れて、静かに時間を過ごしたい方にオススメです。私も娘がいなければ、ちょこちょこ顔を出したんですけど‥‥。今は入口でケーキを買うのがせいいっぱいかなぁ(美味しいです)。いずれ、刈部山本さんに交渉をして、きちんとご紹介したい喫茶店なのです。お近くにお寄りの際は、ぜひぜひのぞいてみてくださいね。

 

さて、セルロイドのケースのフタをそっと開けてみました。小さな空がつまっていました。もくもくと白い雲と青い空が‥‥。そんなふうに見えませんか? なにも入れずに、そっと閉じてしまいたくなる、とても小さな空です。

 


追記:4月25日、俳優の田中実さんが亡くなられました(No.2参照)。娘が大きくなってから、自慢をしようと思っていたのに‥‥とてもとても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

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