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「あやかし動物園」タイトル

園長 ペリプラ葉古

その20−アメンボ


アメンボ

園内の池にアメンボが泳いでいます。
これは飼っているのでしょうか、それともわいて出たもの?
え、アメンボはわいたりしないって?

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アメンボをミズスマシと混同している人がいるらしい。
両方とも水面を泳ぎまわるからだろうか。
水の上をすまし顔で泳いでいるからだろうか。
もちろん両者は別の虫である。
一方のミズスマシはゲンゴロウと一緒で甲虫目、
すなわちカブトムシと同じ仲間。
もう一方のアメンボはタガメと一緒で半翅目、
すなわちカメムシと同じ仲間だから。

アメンボを雨ん坊と勘違いしている人がいるらしい。
雨のあとの水たまりに突如として出現するからだろうか。
泳ぐときに広がる波紋が雨粒の落ちたときと同じだからか。
残念ながらこれは間違っている。
アメンボのアメは飴玉の飴なのだ。
嘘だと思うなら捕まえてみるとよい。
捕まえてアメンボの体を嗅いでみるとよい。
あまーい甘露の匂いがするから。

アメンボ

アメンボは飛ばないと思い込んでいる人もいるらしい。
細身でいかにもきゃしゃな体つきのせいだろうか。
水上を泳いで、そのうえ飛ぶなんてぜい沢だと思うのか。
多くの場合この考えは正しくない。
ほとんどのアメンボには翅があり、
きちんと空を飛ぶことができる。
飛ばないアメンボもいることはいるけれど、
そちらのほうがずっと珍しい。

このようにアメンボは誤解されることの多い昆虫である。
おとなはこの虫を取るに足らない虫だとみなし、
こどもはこの虫を採るに値しない虫だと考えている。
おかげで人間から注目を浴びる機会も少なく、
いつまでたっても無視されっぱなし。
カメムシの仲間だから臭いがあって、それがたまたま甘い。
昆虫だから当然飛べて、だからこそ水たまりにも現れる。
ちょっと頭を働かせれば誰にでもわかる道理なのに。

アメンボ

アメンボは普段は優雅に水上で生活をし、
たまに空中を飛び、冬は陸上で冬眠をしたりもするけれど、
実は一生に一度だけ水に潜る。
産卵時のメスは水草に捕まって下へ向かい、
卵が乾燥しないよう水中で産卵するのだ。
アメンボは水の中で呼吸できる体ではないので、
まさに命を懸けた一大イベントである。
無視されっぱなしの虫だって、やるときはやるのだ。

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【アメンボ】
半翅目の水生カメムシ類と呼ばれる昆虫のうちアメンボ科に属する
種は日本に20種強が生息している。水生カメムシ類にふくまれる近
縁種には他にタガメやタイコウチ、ミズカマキリ、マツモムシなど
がいる。


2004年1月13日更新
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