第17回 赤き看板のイレブン 〜団地・オブ・サマーサイド |
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拙著ミニコミ誌新刊『首都高B食バトル』の夏コミでの初売りが近いということで(詳細は文末まで)、前回第16回に続き首都高1号羽田線を芝浦から南下しようと思うが、前回紹介したアルプスラーメンの師匠に当たるイレブンフーズがこんなに近いのに避けて通るわけにはいかねぇ!・・・というわけで、新刊未掲載の写真を含めシーサイドを激走しまっせ〜
アルプスラーメンから南は湾岸通りの上を1号羽田線と東京モノレールが走り、海洋大学とワールドシティータワーズに挟まれた風景が続く。海洋大学を過ぎた先も、天王洲大橋を渡れば覆いかぶさるように頭上に展開するシーフォートスクエア、スフィアタワーといった天王洲の高層ビル群と1号とモノレールが織り成す目くるめく光景が展開する首都高きってのビューポイントでもある。
東京モノレールの橋脚は64年開通とあって茶色くくすみ重厚感を感じる。64年といえば東京オリンピックイヤー。1号羽田線もほぼ同期。開催に合わせ急ピッチで整備された交通網で、既に修復を必要とする過去の技術が遺産のようにそこに横たわっている。
天王洲アイルの交差点で西、内陸部へ折れると国道357。山手通りとなる。道沿いにしばらく進むとこっちにも倉庫や企業のビルが点在し、海風が香る。やはり嘗ての漁師町なんだなぁと思っていると、イレブンフーズの案内板が出ているではないか。
看板どおりに角を曲がると、見えてきた! 相変わらず食品卸会社のような佇まい。店内は縦に長いカウンターのみ。ご主人一人、西日をバックに、毎度驚かされるキクラゲを戻す洗濯機が映える。
やってきましたラーメン¥700! よくよく覗くといろんな粒粒が散見できる。飲むといろんな素材、生姜やたまねぎかな?野菜が溶け込んでいるのだろう独特の酸味がある。よくわからない混沌としたスープは飲み口としてはサラリとしているのだが、妙なコクがあってグイグイ飲ませる。
麺は平ざるで丁寧に茹でているだけあって柔らかめの太麺。具はなんといってもチャーシュー。大降りで非常に柔らかく、肉食ってる!って感じのギャートルズ的な感覚。あともう一つの主役が玉ねぎ。ぶつ切りがたくさん浮遊していて、この甘さと混沌スープのマッチングが絶妙!
久々の味と新たな発見に大満足し、相変わらずの自己申告会計(入口脇カウンター上のトレーに代金を置いてつり銭を取る)をして店を後にした。
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イレブンフーズ
8:00〜18:00 土8:00〜13:30
定休;日曜・祝日
品川区東品川1-34-23
※時間等変更の場合があります
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再び天王洲アイルの交差点へ戻り更に1号羽田線下を南下しようと思うが、道路はりんかい線が地下を走る上を行き、ここから先は大井埠頭に挟まれた京浜運河の上をモノレールと首都高が走り、自転車では追走できない。交差点脇の品川埠頭橋からその風景を見やるのが精々だ。しかし夜ともなるとビル群の灯りで浮かび上がる水面とモノレールのシルエットがなんとも幻想的だ。
首都高を追えないまま仕方なく暫く南下すると、再び高層ビル群が。りんかい線の品川シーサイドの駅あたりで再開発が進んでいる。イオンの巨大なショッピングサンターも見える。この辺はもともとどんな光景だったのか、省みる余地もなさそうだが、駅の地下へと降りる入口の脇に、不釣合いな古いコンクリートの低層アパートのようなものが窺える。近づくと「犬塚製作所品川寮」とある。
3階建てのその寮はだいぶ外壁も落ちてきていて、屋上の手摺のシルエットや徐に扉だけが空中に向けて設えられた純粋扉など、よくよく見ると南国趣味的な植物と相まってなかなか興味深い物件なのだが、現在使用されているかわからない。空いた土地は駐車場にしているようで、車だけが現在を伝えている。
この他にもなにか痕跡はないかとうろついてみると、もともとは工場街だったようで、一部未だ工場が残っていた。その遠景にビルが聳えるという構図が生まれる。
この辺で首都高を覗ける場所はないかと更にうろつくと、なにやら螺旋階段が。大井埠頭の大井JCT付近へと結節する八潮橋の歩道側の乗り入れ口らしい。
橋桁の隙間から僅かに注ぐ日差しが眩しい。橋上へと向かう螺旋階段の途中から、運河上の首都高とモノレールが見えた。おおっ、これはなかなかのナイスビュー! 極彩色が抑えられたくるんだ世界、水面に映える欄干と車の陰がステキすぎる。
ここから埠頭の南側を臨むと、あれはなんだ!? 巨大なマンション群が何棟も。一気に団地マニアモードに切り替わる。行くっきゃ騎士(ナイト)でしょ。
都営八潮団地は80〜83年に建設され、5268戸、総面積約40万8500平米。こりゃスゲェってなもんで入ってみると…個々の団地はスクエアに整列して配されておらず、趣向の違う高層マンションがテンデンバラバラに独立し、団地間もゆったりとしたスペースで緑地化がかなり進んでいて手入れも行き届いている。
遠巻きに見ると非常に興味深いが、入ってみるとあまりに退屈で辟易してしまう。80年代以降の集合住宅はちょっと萎えか…
この八潮団地エリア東側が大井埠頭の一大コンテナターミナルになっているはずである。垣間見れるところはないかと東へ向かうと、八潮団地と埠頭の間の首都高と貨物ターミナルを跨ぐ巨大な大井中央陸橋が架かっている。上ると大型車が怖いほどバンバン行き交っており、いっぱしのJCTの上に出てしまったような光景が広がっていた。
そして歩道の階段脇からはその殆どをフェンスで覆われ窺い知れない東京貨物ターミナル駅が、奥に停車する新幹線までバッチシ見えた。
ここから先、さらに南下しモノレールからの風景を眺めようと、大井競馬場駅へ向かった。隣接する競馬場の厩舎から漂う芳しきにほひを嗅ぎながら、プラットホームからハッキリと窺える八潮団地のマンション群を眺める。
遠景は本当に素晴らしいのになぁ。。。
2008年 8月13 日更新
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