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田端宏章

第21回 正しい観光地ミヤゲ
 (その2 山口・秋芳洞 篇)
石製カッパの置き物


 今も買える「日本の正しいミヤゲ」を探して紹介するこのシリーズ。第2弾は、山口県秋芳町(しゅうほうちょう)にあります特別天然記念物「秋芳洞(あきよしどう)」です。
 秋芳洞は、秋吉台の南側のふもとにある広谷ポリエの奥に、ぽっかりと口をあけた東洋一の大鍾乳洞です。この鍾乳洞は今から600年くらい前に、地元の人々によって発見され、瀧穴と呼ばれていました。明治38年(1905)になって、イギリス人のエドワード・ガントレット氏により洞内の探検や調査がおこなわれ、国内をはじめ海外まで広く紹介されました。瀧穴は大正11年(1922)3月には国の天然記念物に指定され、今まで大切にまもられてきました。また、大正15年(1926)5月には、昭和天皇が見学され、名前を瀧穴から秋芳洞と新しくつけかえられました。 秋芳洞は、入口の高さが20m、幅8mで、洞窟の長さは5500mもあります。洞窟内に入ると幅40m、天井の高さが15mぐらいで、見学できる長さは600mもつづく巨大鍾乳洞です。洞くつの奥は、本洞と支洞との2つに分れ、支洞は観光洞で、本洞の奥は洞くつが水中にもぐっており、そこから先は3500mほど潜水調査されています。秋芳洞には、鐘乳石や石筍(せきじゅん)、石灰華などがたくさん見られ、まるで宮殿のような感じがします。秋芳洞が鍾乳洞として誕生したのは今からおよそ30万年前といわれています。 秋芳洞は30万年のあいだ地下水により、秋吉台の石灰岩が少しずつとかされ、またけずられて、現在のような巨大な鍾乳洞になったのです。
 そんな秋芳洞へ2001年6月頃に行ってまいりました。行ってまず驚いたのは、洞窟入口までに並ぶ、ミヤゲ屋の数。直線距離にして200mほどの道の両側にずらりとミヤゲ、ミヤゲ、ミヤゲまたミヤゲ。表札を彫刻してくれる店や、全然関係ないところで取れた化石を売っている店も数多くありました。うーん、やっぱりこういうところが「日本」って感じだなあ。勝手にとってきたと思われる鍾乳石も売られていました(天然記念物なのに?!)。そんな数多あるミヤゲ屋の中から、イイものを厳選してゲットしましたので、ご紹介いたします。

秋芳洞大全集

1.秋芳洞大全集(ポストカード集)
どこのミヤゲ屋にもある風光社のポストカードセットですが、このデザインは派手すぎる!書体もなんだか「秘宝館」のロゴみたい。どことなく下世話で、昭和40年代のラブホテルをイメージさせる文字と装飾(箔押し)がイイです。しかもなんと26枚もポストカードが入っています。これで500円(たしか)は安い。写真も変に綺麗なレンタルポジっぽい写りで好きです。小学生の時に図鑑で見た、あの秋芳洞の姿がここにありました(実際に見てみるとこんなではありませんでしたが)。「大松茸」「空滝」「百枚皿」など鍾乳洞の名所の名前も大味な感じで素晴らしい。

ポストカード集

石製カッパの置き物

2.石製カッパの置き物
石を加工した置き物(灯籠の形とか)が多数販売されていた中で、これはもっとも秀逸でした。球形の石に大味な彩色がほどこされ、カッパの夫婦が一対、はい出来上がり。たぶん、このあたりで取れる石なのでしょう(石灰岩?)。台座に描かれた、やる気のない河の絵(というかただの棒線)も哀愁を誘います。この人形はホコリがかぶったまま長いこと売れてないようでした。これで300円か400円だったと思います。それにしてもこの顔は恐いです…。このミヤゲのいいところは、入っている箱のガラですね。エキゾチックなコケシのイラストが印刷されてます。箱を見て即決しました。

秋芳洞ペナント

3.秋芳洞ペナント
やはりありました、絶滅危惧ミヤゲ界の寵児、ペナント。しかも、これは横幅87センチとデカいです。半分閉っていたミヤゲ店の軒先きにあり、新しいものを倉庫から出して売ってくださいました。それにしても豪華なペナントです。写真でごまかさず、ちゃんとイラストでシルク印刷なのがうれしい。円の中には鍾乳洞内の名所「百枚皿」が描かれています。山口に行った修学旅行生たちが、何枚このペナントを買ったのでしょうか。そして、地球儀と百科事典と顕微鏡の置かれた勉強机(高さが変えられるやつ)の上に、これを貼っていた男の子が何人いたのでしょうか。横には卵の殻に色を塗って作った貼り絵もあったのではないでしょうか…。などと、勝手な想像が頭をよぎったのでした。

 というわけで、王道のペナントから、派手なポストカードセット、謎の置き物までさまざまなミヤゲがあって、なかなかの収穫がありました。ここには記載できませんでしたが、古代珊瑚の化石が安く売っていて得しました!真鶴のミヤゲ屋では高く売っていたのに、ここでは本当に安くて大喜び。また訪れたいと思います。あ、もちろん鍾乳洞も良かったですよ。少年時代の憧れの地であった秋芳洞へ、こんな大人になってから行くことになろうとは…。是非とも小学生の時に行きたかった!との思いを強くしました。もし行っていたら、地質学の道かなんかに進んでいたかも。ちなみに、鍾乳洞からエレベータを使って地上に出ると、しばらく歩いた先に「秋吉台博物館」という施設があり、そこは昭和30年代の博物館な感じが残っていて印象的でした。入場無料なのも嬉しいです。
 日本にはまだまだ面白い観光地があります。ステキなミヤゲ物があります。そんなミヤゲを求めて日本中を彷徨い歩きたいと思います。というわけで、次回は「江ノ島篇」をお送りします。お楽しみに。

(たばた ひろあき 日本の正しいミヤゲ物を復活させる会 準備室々長)


2003年10月15日更新
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