前回・前々回
vol.48 赤山城址・前編~ミニコミ新刊延長線は水路の先にあり!?
vol.49 赤山城址・中編~城趾巡りは植木の香り!?
の続きを。
遊歩道に沿って北上していくと、高速の外環道が見えてくる。外環道直下の道がこの敷地の北端のようだ。
やはりここが最高位地点のようで、ここから東西に堀が下がっている。
堀と高速の間には小さな公園があり、現代的な子供向けの遊具、パステルカラーの恐竜の頭が生垣越しにニョッキと現れるのはなんとも異様な光景だ。
ここからは堀の中を進むしか道はないのだが、木々が生い茂り急に薄暗くなる。
なにやら山道というか廃道散策の様相を呈してくるが、辻には祠のような小さな御稲荷さんが。
夜だったら十分肝試しに使える程、背筋が寒くなるシチュエーションとなる。
さらに道は険しくなり、遂には行き止まり。
高速下へと戻って逆方向の探索も試みようとしたが、特に北東部は藪状態が酷く、これ以上の未開地探索は無理と判断した。
仕方なく来た道を戻り、城址の石碑があったメインストリートから南へ抜ける堀沿いに歩を進める。
ここのはやや細長い堀で、スリットのように伸びる植木が綺麗。
すると堀は途中で途切れ、ただの生活排水路の暗渠のような、民家の裏路地となる。
トタン張りの民家の塀をすり抜けると、元いた日枝神社の参道に出ていた。
狐に抓まれた様な錯覚を感じつつ、花卉園と住宅街の間をトボトボと歩き、家路につくのだった。
初めての城址散策を振り返ると、規模も小さく、人々の生活する空間に紛れるように存在していたこともあって、非常に身近なところで緑が残された神秘の空間のようで、意外性と特別感と生活感が混在する摩訶不思議な魅力にすっかり虜となってしまった。
ただ、植木の町という特殊性がそうさせた部分が多いだろうから、城址全てに該当する感慨ではないかもしれない。しかしどうも戦国時代を筆頭に、歴史ロマンというものがどうも胡散臭く、またそれを好きな人々の言動が鼻について全く好きになれなかった私の様な人間にとって、今回の体験が歴史にコミットする大きな第一歩となったことは間違いない。
奇妙な形で残される城址というものが、現在の中でどのような風景を見せてくれるのか、もっと見てみたくなった。これからも機会があったら巡っていきたい。
【了】