赤線跡の最近のブログ記事

vol.62 川越の赤線

前回告知させていただいた、拙ミニコミ同人誌の新刊限定セット、お陰様で通販分も沢山ご注文頂き、無事受付終了となりました。
限定本の一つ、川越~大宮間を戦前に走っていた西武大宮線の廃線跡巡りは、『これぞ川越』というタイトルで再編集し、タコシェ模索舎のみに置かせてもらっていますので、宜しければそれらも是非どうぞ。

というわけで、西武大宮線探索の際に川越の遊廓跡も覗いてきたので、そのレポートをやってみようかと。

埼玉県は公娼制度を認めていない、いわば廃娼県とされているが、建前は旅館や料理屋として営業するお決まりのパターンで熊谷や大宮などに遊廓は存在していた。乙種飲食店(達磨屋)という名で川越にも、日本三大東照宮の一つである仙波東照宮を有する名刹、喜多院の西側に赤線が存在した。
赤線跡としては余り知名度がないように思われたので、往時の建物は少ないか、規模が小さいのを想定して、見逃さないよう慎重に、喜多院北側の県道を歩く。
img62_01.jpg この表通り沿いの商店も看板建築が多く現存し、その繊細かつ堂々とした佇まいに圧倒される。
img62_02.jpg 側面から見るとトタン張りの木造家屋な丸見えなザ看板建築というべき佇まい。しかも隣の家の名残がハッキリと残る原爆タイプのトマソン(みちくさ学会参照)。
img62_03.jpg またコチラもトタンの青が眩しいが、躯体が教会のような洋風の三角屋根に鳴っているのも珍しい。

そんな家々の間、事前に調べた情報を頼りに路地に入るが、そこには想像を遥かに超えた空間が待ち構えていた。
img62_04.jpg 現れた民家からして、入口辺りの感じがまずもって雰囲気を醸し出している。
img62_05.jpg とその向かいに不自然な空き地があった。空き地の奥にはトタン張りのベランダが印象的な下見板張りが歳月を物語る木造家屋。
img62_06.jpg これは・・・とピンと来るものがあり家の裏路地に入ると、黒板塀の人一人通るのがやっとな狭小通路が。
img62_07.jpg これはビンゴか!?と思い、異様な静寂に包まれる路地を慎重に歩を進める。
img62_08.jpg すると唐圓(圓唐?)と書かれた看板。
img62_09.jpg さらにその奥には、今回探し求めていた旅館市むらのウラ入口が。
img62_10.jpg なにやら只ならぬ空気が一帯に漂っていて、気軽に家を拝見している場合じゃなく思えてくる。
img62_11.jpg 静かに、そして足早に路地を抜け、旅館の表に廻る。

住宅街にポツンと佇む転業旅館。
P1100546.jpg 表からでも独特の気を読み取ることが出来る。
img62_13.jpg

この先、天ぷら屋や食事処として営業する物件もあり、これは改めて食事をいただきつつ内部も鑑賞するとしよう。
img62_14.jpg (天ぷら屋の正面)
img62_15.jpg (食事処の2F部分)

こうして遊郭跡エリアを一回りしてみたが、90年代に多くは取り壊されたという割になかなかの現存率と、どれも堂々とした佇まいでとにかく素晴しいかった。さらには、その建物の間の路地空間が往時を思わせる、まさしく露地といった湿っぽさを残しており、小江戸の観光地としての顔以外に、やはり歴史的位相という町としての奥行きを感じずに入られないのだった。
img62_16.jpg 遊郭跡以外にも、菓子屋横丁の程近くの町裏にも重厚な建造物が数々残っていたので、こちらもいずれ取り上げたいと思う。
【了】

   

【前編はこちら】

中央町の路地を抜け熱海街道の車通りの向こう、西洋風の明らかに周囲から浮いた異様な外壁を纏った建築が鎮座していた。
40_01.jpg 現在は熱海第一交通というタクシー会社が入っているようで、1F部分はぶち抜かれてタクシーが洗車などをするスペースになっているが、丸窓跡なんかが残っていて、そういうところにホースをかけたりしているのがなんとも可笑しい(人が生活してたので写真がなく申し訳ない)。
40_02.jpg 2F部は事務所として使われているのかわからないが、外から見ると形状は殆ど残されている。窓ごとの上部半円と屋根の看板部分の模様がリンクしている。ここも半円の中に意匠があったりはしないから、やはりそこがこの土地の特徴なのだろうか。
40_03.jpg 2Fへと上がる入口上部ガラスにロゴのようなものと電話番号が吹きつけてあるが、熱海第一交通の前のものだろうか。
40_04.jpg 建物裏手からみると躯体は昔ながらの木造家屋というのがわかる。木製の手すりが黒光りしている風合いがいい。

熱海第一交通の裏側から路地に入る。
古くからの床屋が残っていたり、湾曲して飛び出た窓部分に強引に青いトタンで隠したものがあったりと路地歩きとして飽きない。
40_05.jpg

40_06.jpg

海側に抜けると国道135号。渡った先が渚町となる。
こちらにもスナック街が広がっているのだが、一昔前の、というよりリアルタイムでカタギでない空気が漂っている。北上した先に風俗店が点在しているからだろう。
40_07.jpg

40_08.jpg こっちまで来ると、古そうなスナックが並ぶ町並みに出会える。まさしく昔からの水商売の街角といった雰囲気。
その中の一つにTHE私娼跡ともいうべきインパクトありすぎの物件が浮きまくっていた。
40_09.jpg もう写真の通り、何の説明も要らないだろうが、2Fのバルコニーの松にくり貫かれた感じに、手摺部分が波打っているのがすごくいい。きっとこんな建物が連なっていたんだろうなぁ。

これだけの物件が発見できれば大収穫だろうと、帰途につこうとしたら、あらら、目の前にホテル?アパート?中途半端な高さの廃墟がドカンと鎮座していた。
40_10.jpg 錆び具合や植物の繁茂の仕方が廃的にキているが、ダクトの走りっぷりが余計それを助長している。なかなかの圧迫感がある。つい見入ってしまった。

もう十分だろうとデジカメの残量もこの先を考えると心配になってきたので切り上げることにした。再び国道135号に戻り銀座に入ると、ふと足元が気になった。
踏んでいるマンホールを見ると、なんと温泉マークが!
40_11.jpg 今日の路上観察を招いてくれたようで嬉しくなった。いい感じで〆ることができ、足取りも軽く熱海駅へ向かった。

【終】

   

ファイルを整理していたら秘蔵写真が出てきた。かなり前だが、07年正月の熱海旅行記を留めておこう。
熱海は2度目で実に10年ぶり。前回は秘宝館やら鄙びた温泉観光を満喫したわけだが、今回は赤線跡に残っている物件を現存している内にこの目に焼き付けておきたかった。

駅から歩くこと十数分、熱海銀座に出る【熱海銀座商店街振興組合】。◯◯銀座といういわゆる商店街なのだが、どこか寂しく、旧時代の温泉街である雰囲気が漂う。元々はこの辺が中心地だったような風格を感じる。
赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫)町中には糸川が流れ、ここから海まで200mほどの距離になる。糸川を挟んで向こう岸が中央町。川の先の海側が渚町となっている【周辺地図表示】
この糸川縁中央町のエリアに赤線があり、黙認された公娼だったわけだが、昭和32年いっぱいで営業停止になった後は、渚町に青線、つまり私娼として移った。渚町の青線がいつ頃まで続いたかわからないが、糸川の赤線は当時相当名を馳せていたらしい【参考文献:木村聡『赤線跡を歩く』ちくま文庫】

39_01.jpg 39_02.jpg 熱海銀座から糸川へ十数mの距離だがこのエリアはさすがに赤線の名残は感じられないものの、現在はスナックの類が犇いており、独特のトーンで彩られている。
39_03.jpg 39_04.jpg 糸川を渡り中央町に入ると、なにやらドヨンとしたカタギでない空気がなんとなく辻辻から漏れている。
39_05.jpg 39_06.jpg ラーメン屋など飲食店の姿をしているが、2F部分の手摺の木型に意匠が施されていたり、タイル張りの壁に電灯のガラスボール、丸窓もあった。
39_07.jpg 39_08.jpg 39_09.jpg だんだんテンションも上がって来ると感がさえるのか、路地へ路地へと入っていくと、湾曲して模られた正面2F部を持つ不動産屋を発見。
39_10.jpg 39_11.jpg さらにはかなりの大店だったと思われる、紋章も立派な物件。屋号は「つたや」だろうか。コーナーの湾曲とトップの波の入り方がキレイだ。

思った以上の現存率でつい浮き足立ってしまうが、イマヒトツ、本当に娼館だったのかという煮え切らないものがあった。歴史的背景から見てもそうである可能性のほうが高いのだが、もう少し年代の新しい単なる旅館だったんじゃないか、なんても思ってしまう。
というのは、意匠がイマイチ凝ってないのだ。あの不動産屋は確定までも、タイルならもっと彩があってもいいし、柱の飾りなど木部ももっとクネクネしててもいいんじゃないか。
まぁこの界隈の当時の建築流行がそっちに向かなかっただけなんだろうが、そんなことを考えているうちに熱海街道という車通りに出た。さてどうしたものか、このまま海に出ようかなぁと辺りを見回すと、突如、目の前に厳つい物件が現れた!
(続く)

   

鳩の街の路地

鳩の街の路地.jpg
前回の電灯のあった、鳩の街の路地その2
右のタイルの物件が元赤線。

   

鳩の街の電灯

鳩の街路地の電灯.jpg
【東京都墨田区向島5丁目】2010.4月撮影
旧赤線、鳩の街。
私娼跡の連なるその狭間、裸電球が照らす路地裏。

   
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…前身となる連載『ら~めん路漫避行』の東京23区内記事の加筆訂正+書き下ろし記事で構成された、東京裏町ラーメン銭湯攻略本!

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    刈部山本-karibe yamamoto-
    自営の珈琲店でスペシャルティ珈琲のドリップやケーキの仕込みに追われる傍ら、路地裏や廃スポットを徘徊してはB級グルメを貪る日々。B食+路上観察を纏めたミニコミ(同人)誌を年2回定期刊行。

    ら~めん路漫避行
    …旧サイト連載:ラーメンを巡る路上観察紀行

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