その23−アオダイショウ
目の前を細長いものが横切っていきました。
生理的に受け付けない人もいるかもしれませんが、
よく見るとヘビだってかわいいものですよ。
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日本のヘビの名前をどれだけ知っているだろうか。
シマヘビ、マムシにアオダイショウ、ハブ、ヤマカガシ…
ジムグリやヒバカリの名前を挙げる人もいるかもしれない。
日本には45種類ほどのヘビが生息しているが、
知名度が高いのはここにあげた数種類くらいのものだろう。
この中で毒を持っていて危険なヘビは
ハブ>マムシ>ヤマカガシの順となるが、
名前が一番強そうなのはアオダイショウに違いあるまい。
なんといっても大将なのだから、エラい。
大将というのは文句なしにエラい。
なんてったって一軍の統率をつかさどる将官なのだから。
日本陸軍では西郷隆盛や乃木希典や東条英機が大将だったし、
海軍では東郷平八郎や山本五十六や南雲忠一もそうだった。
銀幕で若大将を気取った加山雄三だって、
球界の若大将と呼ばれた原辰徳だって、
お笑い会の大将と持ちあげられる萩本欽一だってまあエラい。
小学校のクラスに君臨していたガキ大将の××君だって、
現在はともあれ、昔は輝いて見えたはずなのだ。
というわけでアオダイショウもエラい。
なにしろアオダイショウは大きい。
人里で普通に見られるヘビとしてはもっとも大きい。
そのうえ攻撃的で食欲も旺盛である。
好物はネズミで、生きたまま丸呑みする。
鶏卵だって呑み込むし、スズメやトカゲもよく食べるようだ。
ときとしてリスやウサギまで丸呑みするらしい。
ウサギなんか呑んだらさぞかし体がパンパンに膨れるだろうが、
それだけの健啖家というだけで尊敬に値する。
繰り返すがアオダイショウはエラい。
アオダイショウはとても多彩だ。
青といいながら、オリーブ褐色にほんのりブルー味が入る程度。
ブルー味がまったくなくて茶褐色の個体だっている。
幼蛇はクリーム色の地に褐色の模様が入る。
ヘビのことを耳学問で知っている人は、
アオダイショウの幼蛇をマムシと間違えることが多いという。
幼いので頭が大きく感じ、銭形模様のように見えるからだ。
幼蛇ですら人を欺くのだから恐れ多い。
くどいようだがアオダイショウはエラい。
昔からアオダイショウは人から崇拝されてきた。
ネズミを駆除してくれる有益動物として、
または家の主として大切に大事にされてきたのだ。
岩国のアオダイショウにいたっては白化(アルビノ)により
シロヘビになっており、ありがたみを増している。
そればかりか、国の天然記念物にまで指定されている。
自然条件下では目立ってしまって圧倒的に不利なアルビノが
生き延びているのは人が守ってきたからなのだ。
ところが、
近年はヘビを見ると殺してしまうという悪習がはびこっている。
もはやアオダイショウに大将の威厳はないのか。
考えてみるに、日本軍がなくなり大将はいなくなった。
若大将もおやじになったし、ガキ大将だって絶滅寸前だ。
大将株はいまや下落の一方なのだ。
そこのあなた!
飲み屋のママや訪問販売のセールスマンから
「大将!」などと呼ばれて悦に入っている場合ではないのだ。
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【アオダイショウ】
ナミヘビ科のヘビで大きいものは全長200cmに達する。ナミヘビと並
んで人家付近でもっとも普通に見られるヘビである。主にネズミを食
べるため、英名をJapanese ratsnakeという。
アオダイショウの写真は、「じゃぷれっぷ」の星野さまと、河村さま、「わいるどほーむ」のばいかださまよりお借りしました。
「じゃぷれっぷ」
http://homepage3.nifty.com/japrep/
「わいるどほーむ」
http://www.baikada-iizuna.com/
2004年7月15日更新
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