その53 無料で魅力的なモノ、例えば「ケロちゃんの下敷き」の巻 |
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新年早々、会社の事務所の模様替えをすることになりました。16年間変わることがなかった席順を一新したのです。机の移動はもちろんのこと、それにともなってロッカーの中身の移動もすることに。新参者の私は荷物がまだ少ない状況でしたので、「がんばれ〜」と応援するだけ。楽チンこの上なしです。一番大変なのはやはり経理の人たちで、仕事の合間にやるわけですから、人事ながら、それは、それは大変そうでした。
経理担当であり、私の直接の上司になるKさんは、趣味が詩吟という渋い殿方であります。詩吟でならしたノドは素晴らしく、カラオケの定番は「愛の賛歌」。私的にはプロ顔負けの上手さだと思うのですが…。コーヒーを入れるのも上手で、夕方になるとこだわりの豆で、コーヒーをふるまってくれます。当然各自のカップを温めることも忘れません。コーヒーを入れている時は誰にも邪魔されたくないようで、「いいから。いいから」と洗い物から片付けまで、全部やってくれるのです。
そんなKさんは、無料のモノを集めるのも好き(?)です。例えば銀行の封筒。経理という仕事柄必要であるそれらの封筒は、長年にわたって集められ、今回の移動中にロッカーの中から湯水のごとくにでてきたのです。
大量の銀行封筒を前にして、驚いた社長の顔と慌てて片付けるKさんの姿が、なんだか妙に可笑しくて、全員で大笑いしました。けれど、こうして銀行の封筒を眺めてみると、ここ何年かの間に、銀行業界がどれほど激動の中にあったのかを思わずにはいられません。
「さくら銀行って、今はなんだっけ?」
「第一勧業銀行って、なんか懐かしいねぇ」
「住友銀行のクマ、これ可愛かったよね」
などなど銀行の話でひと盛り上がり。社長に怒られたKさんは可哀想だけど、収集癖のある私にとっては、非常に共感できる性癖なので、ますます親近感を持っちゃいました。このまま処分されちゃうのも可哀想なので、今はなき銀行封筒たちを数点紹介したいと思います。
実は、私も無料でもらってきて捨てられないモノが結構あります。例えば1998年の夏に西武デパートで配られたお買い物ぐまのシールとか、タコとイカのキャラクターが一躍有名になったアルバイト情報誌『FROM・A』、『FROM・A
TO Z』の栞。つげ義春さんのイラストが使われた「夜行」展の案内ハガキなどなど、キャラクターや絵柄に惹かれると、ついつい集めてしまいます(どれも複数持っている)。
その上、ひと昔前に無料で配られたモノまで集めちゃっているのです。そんな中から今回ご紹介するのは、大好きなコルゲンコーワのケロちゃん下敷きです。これはいうまでもなく薬を買った人に配ったノベルティです。私の手元にいるのは、青、緑、ピンクの3色で、交通標識が描かれた「かぜ薬コルゲンコーワ」のモノ、ケロちゃんの描き方が描かれた「なまえはながいがききめがはやい!強力レスタミンコーチゾンコーワ軟膏」、文字さがしクイズが描かれた「キャベジンコーワ」、そしてトレーシングペーパーをのせて点線をつなぐと、二匹のカエルがとびだす魔法の下敷きなんていうのもあります。こちらはピンク色の1枚だけ持っているのですが、どういうわけかスキャナーで上手く取り込めないので紹介しません。ごめんなさい。つまりほかの下敷きは数枚ずつ持っているわけで、その52にも書きましたが、整理整頓がなかなかできないのもわかっていただけるでしょう? それにしても、ケロちゃんの可愛らしいこと。ニコニコ眺めてしまいます。
思えば私が学生の頃には、こんなに下敷きに執着したことはありませんでした。まして、色違いで集めたいだなんて思ったこともありません。同じ下敷きなのに実用品と思っているのと、趣味のモノって思うのでは、存在自体まったく違うのですね。なんだか自分の中の価値観に可笑しくなりました。
2006年3月14日更新
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