vol.39 悲しき熱海~赤線跡徘徊・前 - 昭和迷宮物件

ファイルを整理していたら秘蔵写真が出てきた。かなり前だが、07年正月の熱海旅行記を留めておこう。
熱海は2度目で実に10年ぶり。前回は秘宝館やら鄙びた温泉観光を満喫したわけだが、今回は赤線跡に残っている物件を現存している内にこの目に焼き付けておきたかった。

駅から歩くこと十数分、熱海銀座に出る【熱海銀座商店街振興組合】。◯◯銀座といういわゆる商店街なのだが、どこか寂しく、旧時代の温泉街である雰囲気が漂う。元々はこの辺が中心地だったような風格を感じる。
赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫)町中には糸川が流れ、ここから海まで200mほどの距離になる。糸川を挟んで向こう岸が中央町。川の先の海側が渚町となっている【周辺地図表示】
この糸川縁中央町のエリアに赤線があり、黙認された公娼だったわけだが、昭和32年いっぱいで営業停止になった後は、渚町に青線、つまり私娼として移った。渚町の青線がいつ頃まで続いたかわからないが、糸川の赤線は当時相当名を馳せていたらしい【参考文献:木村聡『赤線跡を歩く』ちくま文庫】

39_01.jpg 39_02.jpg 熱海銀座から糸川へ十数mの距離だがこのエリアはさすがに赤線の名残は感じられないものの、現在はスナックの類が犇いており、独特のトーンで彩られている。
39_03.jpg 39_04.jpg 糸川を渡り中央町に入ると、なにやらドヨンとしたカタギでない空気がなんとなく辻辻から漏れている。
39_05.jpg 39_06.jpg ラーメン屋など飲食店の姿をしているが、2F部分の手摺の木型に意匠が施されていたり、タイル張りの壁に電灯のガラスボール、丸窓もあった。
39_07.jpg 39_08.jpg 39_09.jpg だんだんテンションも上がって来ると感がさえるのか、路地へ路地へと入っていくと、湾曲して模られた正面2F部を持つ不動産屋を発見。
39_10.jpg 39_11.jpg さらにはかなりの大店だったと思われる、紋章も立派な物件。屋号は「つたや」だろうか。コーナーの湾曲とトップの波の入り方がキレイだ。

思った以上の現存率でつい浮き足立ってしまうが、イマヒトツ、本当に娼館だったのかという煮え切らないものがあった。歴史的背景から見てもそうである可能性のほうが高いのだが、もう少し年代の新しい単なる旅館だったんじゃないか、なんても思ってしまう。
というのは、意匠がイマイチ凝ってないのだ。あの不動産屋は確定までも、タイルならもっと彩があってもいいし、柱の飾りなど木部ももっとクネクネしててもいいんじゃないか。
まぁこの界隈の当時の建築流行がそっちに向かなかっただけなんだろうが、そんなことを考えているうちに熱海街道という車通りに出た。さてどうしたものか、このまま海に出ようかなぁと辺りを見回すと、突如、目の前に厳つい物件が現れた!
(続く)

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「寒い!」10月2日日曜日のことです。有楽町の国際フォーラムで開催されている大江戸骨董市の会場で、気温の低さに、多くの人からそんな言葉がもれていました。朝の9時過ぎで、16度くらいでしょうか? 前日は30度近い夏日でしたから、余計に寒さを感じます。抱っこ紐の中に、娘を入れていて、ちょうどいい暖かさですから、ジッとしている業者の方々は、さぞかし寒いだろうと思いました。

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大江戸骨董市といえば、都内で開催される、露天の骨董市、蚤の市の中で、一番盛況だと聞きつつも、場所柄上、すっぴん&ノーメークで行く勇気がなく、ついつい先延ばしにしてきました(なんたって有楽町ですから)。ところが、11月から2月まで、国際フォーラムが工事のため、骨董市が中止になると、出店しておられる谷中ひよこ堂のオーナーにお聞きし、行ってみようかなと思ったのでした。もちろん娘の散歩を兼ねて、自転車で、です。

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行ってみると、さすがです。お店も人もいっぱい‥‥。露天であるにもかかわらず、きちんとした受付もあります。受付には、横浜骨董市などで、お世話になっている男性がいたので、ご挨拶すると、「今までなにしてたのよ」と驚きの顔。抱っこしている子供を見て、「子供いたっけ?」と、またまた驚いています。「産んだのよ。だから数年忙しかったのよ」と私。「よかったね~。可愛い。ナボナ食べる?」と、喜んでくださいました。文字にすると変な感じなのですが、独特の話し方をされる男性で、お笑いのボケ担当って感じなのです(スミマセン)。ひさしぶりにお会いしたのに、お変わりなく、お元気で、とても嬉しくなりました。

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 ‥‥にしても、モノ探しには、ちと厳しい感じです。10キロを越えた娘を抱っこして、しゃがむのは、本当に重い! それに立ち止まるとぐずるし、階段を見つけると登るしで、落ち着いて見るのは不可能です。そんな中、手書きのノリタケの小さなお皿2枚と目が合いました(大きいほうは、直径110ミリ。小さいほうは、直径95ミリです)。カップもあったのでしょうが、お皿のみ並んでいます。今にもふっと風が吹いてきそうな、優しくて、あたたかい色合い。そして、なんだか懐かしくもある絵柄です。風車と家しかない静かな場所で、お散歩しているのは、お母さんと子供でしょうか。私も、こんな風に、穏やかに年を重ねたいものだ‥‥なんて、ジッと見ていたら、感情移入(?)してしまい、つれて帰ることにしました。こういう半端モノは、安価で気軽に買えるので、嬉しいですね。「田村製絲所」と書かれた、宣伝用の手鏡は、このテの鏡を何個か集めているので、その中に加えることにしたのでした。

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もっと見たいと思いましたが、小雨がパラパラ降ってきました。自転車ですから、慌てて帰ることに! 次回は、旦那サンにお願いして、1人でじっくり見たいなぁと思いながらも、楽しい時間を過ごせました。

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今回ご紹介するのは、上野動物園の絵葉書です。表門の写真なのですが、実に立派な門構えだったのですね。中央に掛けられた看板も手書きでしょうか。味わいがある看板だと思います。この絵葉書は、昭和7年9月1日に発行された、『主婦之友(九月號)附録 大東京完成記念發行・大東京名所繪はがき集(七十二枚一組)』の中の1枚です。出版社が発行している絵葉書らしく、宛名面に解説文が添えられているのも魅力です。

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ちなみに上野動物園は、「藤堂高虎の邸跡で、明治十五年に農商務省博物局の附属動物園として設けられ、後に宮内省の所轄となり、更に大正十三年、皇太子殿下御成婚記念として東京市に下賜せられました。敷地約二萬坪、ここに飼育される世界の珍獣奇鳥は、五百種に及びます。」と書いてあります。当たり前のことですが、上野動物園にも、歴史があるのですね。残念ながら、中にはピントがあっていなかったり、構図が傾いていたりして、絵葉書の質は、いまひとつだったりしますが、72枚もあるので、当時の東京を知る上で、とても参考になる、お気に入りの『繪はがき集』なのでした。

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上野といえば、今まで不忍池や、上野松坂屋デパートについて書きましたが(No.244855参照)、今回やっと上野動物園のご案内です。9月末に年間パスポートを購入したのです(今だけの限定品ということで、AKB48のクリアファイルをもらえました。ちょっと嬉しい)。1回入園するのに、大人600円なのが、年間パスポートだと2,400円って、お得ではありませんか? 娘は無料だし‥‥。最近ようやく、よそのベビーカーに、娘が乗ることができるようになり、歩く練習をさせるのも、動物園なら安心でいいと思ったのでした。それに、赤ちゃん用の椅子付トイレはあるし、オムツも売っているし、泣いても目立たないし、実にありがたい場所なのです。 

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私は、いつも西園の池之端門から入るのですが、上野動物園って、子供と歩くと、メチャクチャ広いんですね。パンダのいる表門方面なんて、遠くて、なかなか行けません。なので、いつも見る動物は、決まった動物ばかり。それも一番お気に入りなのが、ペンギンの近くにいる鷺(?)だったりします。数羽いるのですが、自分をペンギンだと思っているのか、それとも、泳いでいるペンギンを魚だと思って、狙っているのか。とにかく、いつもペンギンのそばにいるのです。その姿が実におかしいんです。行くたびに、ニコニコと眺めてしまい、とても癒されます。 

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肝心の娘は、最初は鳩や雀ばかりに反応していましたが、最近少しだけ大きな動物も意識するようになりました。やぎ山のある"なかよし広場"にいる、ニワトリとアヒルです。ここには、やぎやヒツジなどと一緒に、ニワトリなどが放し飼いになっているのですが、アヒルが一番お気に入りのようで、「がーがー」といって近寄っています。大きなヤギが、目の前にいても平気で、案外泣きません。成長したものだと、ホッとしながら眺めているのでした。

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春頃から、何回か通ってきた上野動物園。不忍池とつながっていますから、美しい蓮の花も眺めてきました。遠くにはスカイツリーも見ることができます。そんな蓮も種?の姿になり、気がつくと、木々も紅葉しはじめています。どこからか金木犀の香りもしてきました。暑い、暑いといってきたのに、もう、すっかり秋ですね。 

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