vol.53 多摩湖自転車道を行く・その1

多摩湖といえば、
♪東村山ぁ~庭先ゃ多摩湖ぉ~

の志村けん「東村山音頭」で有名だが、正式名称は村山貯水池。多摩川の水を東京都心へと引くための中継点、つまり貯水池として戦前の昭和初期、1916~27年の間に作られたのだが、現在首都圏の水の殆どは荒川と利根川の水を利用しているため、防災用というかサブ的なポジションに甘んじている。
多摩湖の詳細や魅力は専門の素晴らしいサイトがあるのでそちらに譲るとして【多摩湖のページ】、当ブログ的には多摩湖周辺の近代化遺産を筆頭とするステキ建造物の数々を巡って行きたい。なにせ歴史がありつつも半ば置き去りにされた感も漂うスポット、つぶさにみていけば幾らでも周辺文化に見どころが落ちていよう。
というわけで、2007年と古くなってしまったが、多摩湖を巡った記録を残しておこう。

巡るといっても1周約22km、とてもじゃないが徒歩での走破は厳しいということで、レンタサイクルという手を使うことに【こだいらネット|和田輪業】(当時100円/1hだったか…要確認)。
53_01.jpg 小平駅前の自転車屋さんで時間貸しをしてくれる。幸い、小平から多摩湖までは多摩湖自転車道がほぼ一直線に続いている。全長約10kmとちょっと距離があるが運動と思って割り切るしかない。
53_02.jpg 実際に走ってみると、武蔵野の草木香るサイクリングロードは実に気持ちよく、あっという間に多摩湖の最寄り駅となる西武多摩湖線の武蔵大和駅まで来た。
この手前に、今で言えばご当地B級グルメとなるだろうか、武蔵野うどんの老舗「きくや」があるので、少し腹ごしらえ【きくやの詳細訪問記はコチラ】

さあここから村山下貯水池へと突入。
53_map.jpg 武蔵大和駅交差点から自転車道を多摩湖へと登ったすぐ右手に広場がある。
自転車道の下を流れる水道道路の導水路や余水吐(よすいばき)など貯水池の施設を記念した公園で一端に水門跡の1/2スケールの復元模型が口をあんぐりと開けて佇んでいる。
53_03.jpg 芝生の上に余りにおもむろにあるので、正直ビビる。
53_04.jpg これと、水門があった跡が残っているのだが、これが鉄道のターンテーブル(方向転換するための転車台)のような形で、嘗てここに東京市軽便鉄道が走っていたので産物と思いたい(ちなみにこの廃線跡の遺構は殆ど残っていない)。
緩やかにクネる上り坂を登ると、桜の時期になると花見客もチラホラ出てくるスポット。
53_05.jpg あと1ヶ月ほどで桜吹雪が舞うようになるが、訪問時は丁度そんな季節。
53_06.jpg 桜を眺めつつ気持ちよく坂を上りきったところで道を離れ南へ下りてみると、急斜面を下った先に露出した水路を発見した。
53_07.jpg 水流は殆どなく、川底に彫られた幅50cmほどの一筋のみを残しているが、この界隈にはこうした貯水池から流れ出る水路の他、水路の跡かはたまた軽便鉄道の廃線跡かという線形を思わせる箇所が幾つも確認できた。
53_11.jpg どれもが忘れ去られたように雑草で茂り、宅地開発された姿とは違った郊外の風景を見せてくれる。
53_1.jpg 再び自転車道に戻ると、右手に見晴台の案内板が見える。
53_08.jpg 以前は狭山自然公園と村山下貯水池の間の堤体に入れたのだが、今この補強工事を行っているため、辺りはフェンスで覆われ、ノンビリ散策できる雰囲気にない。
自転車を止め見晴台へ上ると、以前堤体から望めた、あの取水塔がそのままの姿で現れた。
53_09.jpg 【続く】