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第6回 ヨコハマの洋食(2)…野毛「センターグリル」 |
ヨコハマの洋食の話を続けるが、今回からは野毛から伊勢佐木町界隈を見ていこう。この界隈はもともとヨコハマの中心地なのだが、ヨコハマ自体が非常に膨張を続け、北部地域の住民が増えるに従って、横浜駅界隈はもちろん、そして港北ニュータウンあたりも中心地とみなす人たちも出てきた。だが、文明開化とともに発展したこの界隈がタダしいヨコハマ・ハートフルタウンであることは間違いない。
特に、戦後野毛界隈は、関内地区が米軍に接収されていたこともあり、闇市として発展し、庶民的な飲み屋と飲食店が軒を連ねるナイスな街となった。今も地元ヨコハマのサラリーマンのおじさんたちが夜になると、「俺、軟骨!軟骨!」とか言いつつ焼き鳥食ったり、「イワシも高くなったよな」とぶつぶついいつつ刺し身食ったり、「誰だよ、こんなカロリーの高いもん、頼みやがって」といいつつも、エビの天ぷら食ったり、「とりあえず生中!」と叫んだり、なみなみ注がれた日本酒を「おっとっと」といいつつ口をとんがらせて飲んだり、「ホッピーお代わりだよん」と立ち上がって、グラスを大きく振ったり、「焼酎、梅割にしてくれえええ」とへべれけになりつつ言っている。
しかし、昼間はそんなサラリーマンのおじさんたちもまったく見えず、とりおり、酒屋の配達バイクが走りぬけていく程度の実に静かな雰囲気。歩いていると夜の繁栄ぶりが幻のように思えてくるのだった。しかし、野毛は決して幻ではなく、昼間も素晴らしい定食を食わせる名店が何軒もあるのだった。
洋食ということでいえば、まずは「洋食のキムラ」。店自慢の貝殻型鉄皿入りのハンバーグがうまいが、やや洒落た店内なので、一人でぶらっと入るというよりは、誰か気心の知れた女の子かなんかを連れていくほうがいい。ただデート初回から野毛というのは、あまりにリスクが高いよね(笑)。ただまあ、いずれ化けの皮がはがれるんだから、最初から野毛で焼き鳥食わせてもよかったのかなあ…。
くだらない追憶はさておいて、ともかく男が一人で食べるには、「センターグリル」。ここはいいよ〜。柳通りにあり、2階もあり、私は大体2階に上がる。席につくと、テーブルの上にある、ポットから暖かい麦茶をコップに自分で注いで、メニュー表をじっと見つめて何を食べるか決める。ランチを食べていいし、同店自慢のチキンライスでもよい。この店では、「ケチャップライスの薄焼き卵くるみ」のことをチキンライスと呼び、「オムライス」は、白いごはんを薄焼き卵で巻いたものだから、要注意。おやじはもともと進駐軍で洋食の修行をしていたらしく、そのなごりは、店のトレードマークやイカした銀色の食器にもあらわれているのだった。味のポイントは実に「普通」にうまく、量もたっぷり。「安くて、量が多くて、まあうまい」。これがヨコハマグルメの最大のポイントだ。
スパゲテイなんかも麺が太くて、ケチャップの味がちゃんとして涙が出てくる(スパランチという、スパゲティとご飯とチキンカツがワンプレートに載っているスゴイのもある)。「パスタのみのお客様はご遠慮いただいております」とかしゃあしゃあと抜かすくせに、ゴミみたいな味で、鳥の餌ほどしかないスパゲテイ(日本じゃ、パスタなんて言わないんだよ)を出す恵比寿〜広尾間とかにあるイタ飯屋のウェイターの頭(どたま)に、この太麺スパゲティをかけてやりたいものだ(怒)。
続く
2003年9月18日更新
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