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第19回「もういくつ寝るとお正月」の巻

日曜研究家串間努


 子どものころ、大晦日はお祭りの晩と同じように、夜遅くまで起きていても許される、特別な日だった。午前中は机の上や中を「片づけなさい」と言われ、しぶしぶ大掃除をする。当時は今のように環境問題もいわれず、住宅密集地で焚き火ができたので、いらない答案用紙や紙くずを庭で燃やした。時には近所の友達と一緒に焚き火をして、その中にサツマイモを入れて焼きいもにした。吐く息も白い、冬の寒さの中で、湯気が立つ焼きいもをハフハフいいながら食べるのは楽しかった。焚き火の中には「みそかっぱらい」というのも入れて燃やした。これは近くの氏神さまで買ってくるもので、和紙でできた紙人形である。今年一年の「ケガレ」を祓うため、家の中でブンブン振り回し、この人形にケガレを移す。それを焼けば、来年からは気持ちよい幸運な年となるとされていた。「おおみそか」にケガレを「はらう」から「みそかっぱらい」なのだ。決して、「味噌を盗む人」の意味ではないぞ。
 机も片づけて「みそかっぱらい」も焼いて、やれやれの僕らは、お母さんが「おせち料理」を台所で作る匂いをおいしそうだなと思いながら、コタツに座ってミカンを五つも六つも食べた。「ミカンを食べ過ぎると黄色くなるぞ」といわれていたが、確かに十個くらい食べると、指がまっ黄色に染まった。
 夜の楽しみは、今年最後のお風呂で念入りに体を洗ったあと、テレビで紅白歌合戦を見ながら、年越しそばを食べることだった。今でこそエビ天入りの日本そばを食べているが、小学低学年の頃の年越しそばはカップヌードルだった。カップヌードルの方が価値があったのだ。
 紅白歌合戦ではその頃「新ご三家」といわれるスターが誕生していた。「郷ひろみ・野口五郎・西城秀樹」である。女性では「山口百恵・桜田淳子・森昌子」が「三人娘」で人気だった。紅白の面白さは、昨日今日でた新人歌手と、連続出場何十回ものベテラン歌手が一堂に集まっていることである。そのため、僕らは西城秀樹には声援を送っても、三波春夫や美空ひばりの出番になると他にチャンネルを代えてしまった。だって、つまらないからね。
 そして、だんだん眠くなり、遠くのお寺の除夜の鐘を聞きながら、寝床に入る。明日のお年玉と年賀状に思いを馳せながら……。

はるかを改稿


2005年12月28日更新
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