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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第23回 暗黒蘇我工場のブルース
〜JFE製鉄所解体現場レポ
刈部山本

久々の千葉ネタは工場!工場を取り上げるのは初めてだったか。書籍『工場萌え』がHITし、工場鑑賞も知られる趣味となったが、やはり人サイズを超えたデカさと幾何学的配管パターン、それに鉄の錆具合は廃墟趣味的視点からも飽きさせないものがある。
工場萌え アマゾンへようこそ!

工場萌え
大山 顕 (著), 石井 哲 (写真)
東京書籍
ISBN-10: 448780163X
税込価格1995円

京浜工業地帯の中でも京葉工業地帯は川崎に並ぶ一大コンビナートで、東京湾アクアラインを結ぶ入口と出口でその雄姿を拝んだ方もおられることだろう。かつて川崎製鉄として知られた現・JFEスチール東日本製鉄所の千葉市中央区川崎町の高炉がこの度解体される運びとなった。JFEといえば京浜工業地帯でも有数の巨大工場で、解体は惜しまれるが解体中の高炉の内部が露見するとあって、工場萌えどころか廃墟マニアを巻き込んで結構な盛り上がりを見せている。なんといっても巨大工場、解体には時間が掛かるとはいえ、有効期限付き。自分も時間を見つけて急行してきた。

JR蘇我駅は内房・外房へと線路を分かつターミナル。ここから列車の本数は極端に少なくなる。貨物用の線路など路線は多いが駅舎はこじんまりとしている。西口へ出ると、噂どおり、駅前ロータリーから臨海部へ一直線に伸びる道の向こうに、高炉が聳え立ってる!

駅から

駅のロータリーへと下る階段からこんな光景が見られようとは!? 街の人は慣れっこだろうが、こっちは大興奮! 逸る気持ちを抑えて、700m程の道をまっすぐ突き進む。どんどん工場が大きくなってくるが、それでもやはり距離があるのだろう。雨という生憎の天気とあって、工場が霞んで見える。

立ち入り禁止

これより立ち入り禁止のフェンスまで来ると、まだ靄っているものの、殆ど遮るものがない状態で結構微細な部分までディティールがわかる。

高炉

右側が工場部分で左側が高炉。高炉側は4連の熱風炉と高炉本体という構成。ここまで剥き出しだからこそわかる構造。錆具合といい、興奮しっぱなしでシャッターを切り続けた。

高炉UP 高炉UP

工場というのは関係者以外あまり間近まで接近することができない。特に京葉工業地帯は国道16号の沿道に植樹された木々で視界が遮られ、それが進入禁止の防波堤にもなっているものだから、ビューポイントは限られてくる。その中にあって、ここまで接近できるということ自体がレアなケースだ。今月一杯くらいまでなら、まだ高炉本体の解体には至らないと思う。この辺のタイミングは賭けだが、賭けるだけの価値はある。

後ろ髪を惹かれる思いで来た道を折り返すと、蘇我駅周辺には古建築の現存率が高いのに気づく。戦前物件かどうかわからないが、トタン張りの平屋が密集していたり、16号を跨ぐ歩道橋からは、看板建築の裏側を拝むことができた。

平屋群 看板建築裏

看板建築表

看板建築の表に回ってみる

蘇我駅の隣の浜野で降りる。ここから1kmも歩かないところに温泉の沸くスーパー銭湯があるというのだ。距離にしたらそんなにないのだが、車文化の千葉にあって、歩いているものなど皆無に等しく、車がビュンビュン通り過ぎていく傍らはなんとも心細い。せめてローカルな自販機でもあればいいのだが、エロ本の自販機どころかコイン精米所すら当たらない始末。
そうこうしているとイエローハットの先に、とってつけたような和風のドでかいハコが現れた。
湯楽の里 市原店

湯楽の里 市原店
9:00〜01:00(24時受付終了)
年中無休
千葉県市原市古市場329-1
公式サイトはコチラ

いかにもロードサイドの郊外型スーパー銭湯。この日は平日でしかも雨と来ているのでそんな時に露天風呂につかる酔狂な輩は少ない・・・と思った自分が浅はかだった。ゲッ、駐車場いっぱい! 続々と車から降りてくる家族連れ。チバを舐めていた。
受付を済ませ脱衣場、洗い場と進んでも、人がいるいる。さすがに露天風呂へ出たら少なかったが、ゼロではない。幸い大の男4人も入れば一杯の源泉掛け流し風呂だがタイミングによっては独り占めできた。小雨とあって入っていても苦ではない。湯は乳白色で少々緑がかったもので、海が近いとあって塩分キツイかと思ったら殆ど感じなかった。
ただ、源泉風呂は円形を半分に仕切られ、半分は加温かけ流しなのだが、もう半分は濾過槽で誰も入ってなかった。仕切りをとって全面掛け流しにしてほしいというのが全ユーザーの希望だろう。
露天は他に壷湯に寝湯(深・浅2つも!)、スチームサウナと必要なものは全てある。会員なら平日650円だし、これなら混んでも仕方ない。

帰りは近くからバスが出ているというので利用してみることに。スーパーせんどう前という「スーパー銭湯前」と見間違うバス停で、一応屋根付の待合所もあって、田舎のバス停の風情。本数は1時間に1本以上と、下手な都内の路線よりあるのだが、乗客は最後まで自分ひとり。
浜野駅を過ぎ、出発地点である蘇我駅まで戻った。千葉駅まで連れてってくれるのだが、蘇我で食べたい店があるのだ。オープンが17:30と遅いため、先に風呂に入ったのだ。バスはちょうど店の前を通るのだが・・・げっ!並んでる。店は蘇我駅西口ロータリーからスグ。バスを降りて直行。なんとか6番目につけた。
石ばし

石ばし
17:30〜21:00
日曜休
千葉県千葉市中央区今井2-4-9

津田沼の行列店、必勝軒の出身の店。必勝軒はつけ麺を生んだ東池袋の名店、大勝軒の流れを汲んでいるとあって、当然つけ麺がウリ。しかしこの日は相当寒く、殆どがらーめんのオーダーだった。店内に通され他のお客の食べているらーめんをみると細麺だったので、せっかくの自家製麺、わっしと味わいたかったので、つけめんにして正解。

つけめん

つけ汁は動物系と魚介系のダシをブレンドしたWスープだが、最近多い節粉をぶち込んだようなガツンとワイルドな豚骨魚介とは異なり、濃い目のタレに動物系と魚介系が渾然一体となって溶け合い、それぞれが主張するでもなくメルティな味わいになっている。豚骨もしっかり出ていて、コクは申し分ない。
麺も小麦粉の密度の高い、ムッチリとした麺で、200gとつけめんとしては少な目の並盛りにしたが、十分に食べ応えがあった。

スープ割りもお願いして完食。外に出ると夜の闇に包まれてもはや見れないが、店の前の通りのその向こうに、あの高炉が聳えていると思うと、ゾクゾクっとくる圧迫感を感じてならない。この怖さと見たさが巨大工場の魅力だと思う。それと麺の小麦にスープの魚の残り香をしっかとかみ締め、足早に駅へと向かった。



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏に潜む古本喫茶を自営。レトロ少女マンガ・サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが揃う空間で最高品質の珈琲と自家製ケーキを持て成す。
ふるほん結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2009年 3月 11日更新
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