久々の千葉ネタは工場!工場を取り上げるのは初めてだったか。書籍『工場萌え』がHITし、工場鑑賞も知られる趣味となったが、やはり人サイズを超えたデカさと幾何学的配管パターン、それに鉄の錆具合は廃墟趣味的視点からも飽きさせないものがある。
JR蘇我駅は内房・外房へと線路を分かつターミナル。ここから列車の本数は極端に少なくなる。貨物用の線路など路線は多いが駅舎はこじんまりとしている。西口へ出ると、噂どおり、駅前ロータリーから臨海部へ一直線に伸びる道の向こうに、高炉が聳え立ってる!
駅のロータリーへと下る階段からこんな光景が見られようとは!? 街の人は慣れっこだろうが、こっちは大興奮! 逸る気持ちを抑えて、700m程の道をまっすぐ突き進む。どんどん工場が大きくなってくるが、それでもやはり距離があるのだろう。雨という生憎の天気とあって、工場が霞んで見える。
これより立ち入り禁止のフェンスまで来ると、まだ靄っているものの、殆ど遮るものがない状態で結構微細な部分までディティールがわかる。
右側が工場部分で左側が高炉。高炉側は4連の熱風炉と高炉本体という構成。ここまで剥き出しだからこそわかる構造。錆具合といい、興奮しっぱなしでシャッターを切り続けた。
工場というのは関係者以外あまり間近まで接近することができない。特に京葉工業地帯は国道16号の沿道に植樹された木々で視界が遮られ、それが進入禁止の防波堤にもなっているものだから、ビューポイントは限られてくる。その中にあって、ここまで接近できるということ自体がレアなケースだ。今月一杯くらいまでなら、まだ高炉本体の解体には至らないと思う。この辺のタイミングは賭けだが、賭けるだけの価値はある。
後ろ髪を惹かれる思いで来た道を折り返すと、蘇我駅周辺には古建築の現存率が高いのに気づく。戦前物件かどうかわからないが、トタン張りの平屋が密集していたり、16号を跨ぐ歩道橋からは、看板建築の裏側を拝むことができた。
つけ汁は動物系と魚介系のダシをブレンドしたWスープだが、最近多い節粉をぶち込んだようなガツンとワイルドな豚骨魚介とは異なり、濃い目のタレに動物系と魚介系が渾然一体となって溶け合い、それぞれが主張するでもなくメルティな味わいになっている。豚骨もしっかり出ていて、コクは申し分ない。
麺も小麦粉の密度の高い、ムッチリとした麺で、200gとつけめんとしては少な目の並盛りにしたが、十分に食べ応えがあった。
スープ割りもお願いして完食。外に出ると夜の闇に包まれてもはや見れないが、店の前の通りのその向こうに、あの高炉が聳えていると思うと、ゾクゾクっとくる圧迫感を感じてならない。この怖さと見たさが巨大工場の魅力だと思う。それと麺の小麦にスープの魚の残り香をしっかとかみ締め、足早に駅へと向かった。