「まぼろしチャンネル」の扉へ
「番組表」へ 「復刻ch」へ 「教育的ch」へ 「東京カリスマch」へ 「日曜研究家ch」へ 「あった、あったch」へ 「再放送」へ 「ネット局」へ
「課外授業」
「国語」
「算数」
「理科」
「社会」
「情操教育」
秘宝館
掲示板
マガジン登録
メール
まぼろし商店街
まぼろし洋品店

「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-50.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第16回 『みどりのそよ風』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『みどりのそよ風』です。
 「みどりのそよ風、いい日だね…」と2部合唱で歌われる『みどりのそよ風』は、昭和21年3月にNHKのラジオ番組の中で発表されました。作詞者は『靴が鳴る』の清水かつら、作曲者は『夕焼小焼』の草川信*です。当初は独唱曲でしたが、後に合唱曲に改作されています。

 

『みどりのそよ風』(昭和21年3月、NHKラジオにて発表。後、改作)
 作詞 清水かつら(しみずかつら、1898−1951)
 作曲 草川信(くさかわしん、1893−1948)

 

碑

 

1.みどりのそよ風 いい日だね
  ちょうちょもひらひら 豆のはな
  なないろばたけに 妹の
  つまみ菜摘む手が かわいいな

2.みどりのそよ風 いい日だね
  ぶらんこゆりましょ 歌いましょ
  巣箱の丸窓 ねんねどり
  ときどきおつむが のぞいてる

3.みどりのそよ風 いい日だね
  ボールがぽんぽん ストライク
  打たせりゃ二塁の すべり込み
  セーフだおでこの 汗をふく

4.みどりのそよ風 いい日だね
  小川のふなつり うきが浮く
  静かなさざなみ はねあげて
  きらきら金ぶな 嬉しいな

5.みどりのそよ風 いい日だね
  遊びにいこうよ 丘越えて
  あの子のおうちの 花ばたけ
  もうじき苺も 摘めるとさ

 

 清水は春の田園風景を描くために、各番の前半部ではワイドな情景を、後半部では「妹のつまみ菜摘む手がかわいいな」とか、「ねんねどりときどきおつむがのぞいてる」といった具合に、ズームインした情景を用いています。この「視野の切り替え」が、歌詞全体に生き生きとした感じを与えてるようです。一方、前回の『朧月夜』では「視野の切り替え」はなく、ワイドな情景が終始一貫用いられ、歌詞全体に落ち着いた雰囲気を醸し出しています

ちょうちょ

ちょうちょ

 この歌の歌碑は、東武東上線成増駅北口のペデストリアンデッキにあります。『靴が鳴る』の回でも申しましたが、清水かつらは東武東上線成増駅と和光市駅の中間地点に住んでいましたので、両駅に彼を顕彰する施設が設けられているのです。成増駅は東京都板橋区にあるので、この碑は「東京23区最北の童謡歌碑」なのかもしれません。

豆の花

豆の花

 ところで、戦前には「子供の合唱の歌は流行らない」というジンクスがあって、子供向けの合唱曲はほとんど作られませんでした。しかし、昭和22年から始まった「全日本児童唱歌ラジオコンクール」で『みどりのそよ風』が2部合唱で歌われるようになると、これをきっかけに子供向けの合唱の名曲が続々と発表されるようになりました。草川は死の直前に『みどりのそよ風』のレコーディングをしていますが、彼が最後に撒いた児童合唱曲の種は今日大きな花を咲かせています。

木立

*草川信 くさかわしん。作曲家。ヴァイオリン奏者。明治26年、長野県生まれ。大正6年、東京音楽学校甲種師範科卒業。ヴァイオリン曲、歌曲なども手掛けたが、雑誌『赤い鳥』を中心に作った童謡作品が最も知られている。代表作は、『夕焼小焼』(大正10年)、『揺籠の歌』(同11年)、『どこかで春が』(同11年)など。昭和23年に死去。享年55。


[参考文献

下中邦彦編『音楽大事典第2巻』平凡社 昭和57年

『抒情歌愛唱歌大全集』ビクターファミリークラブ 平成4年

長田暁二『昭和の童謡アラカルト−戦後篇−』ぎょうせい 昭和60年]

場所:東武東上線成増駅北口


2004年4月20日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com まで


[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
第15回 『朧月夜』
第14回 『早春賦』
第13回 『春よ来い』
第12回 『鉄道唱歌』(東海道編)
第11回 『赤い靴』
第10回 『靴が鳴る』
第9回 『紅葉』
第8回 『證城寺の狸囃子』
第7回 『かもめの水兵さん』
第6回 『箱根八里』
第5回 『赤い鳥小鳥』
第4回 『金太郎』
第3回 『荒城の月』
第2回 『春の小川』
第1回 童謡が消えていく
[ああわが心の東京修学旅行]
最終回 霞が関から新宿駅まで 〜霞が関から山の手をめぐって〜
第8回 大手町から桜田門まで 〜都心地域と首都東京〜
第7回 羽田から芝公園まで 〜城南工業地域と武蔵野台地を訪ねて〜
第6回 銀座から品川まで 〜都心地域と都市交通を訪ねて〜
第5回 日本橋から築地まで 〜下町商業地域並びに臨海地域を訪ねて〜
第4回 上野駅から両国橋まで 〜下町商業地域を訪ねて〜
第3回 神保町から上野公園まで 〜文教地域を訪ねて〜
第2回 新宿駅から九段まで 〜山手の住宅地域と商業地域を訪ねて〜
第1回 データで見る昭和35年


「教育的チャンネル」の扉へ