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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第24回 安納土佐っ子後にして
〜戸田公園の焼き芋と背脂
刈部山本

工場といえば前回の蘇我ような巨大なコンビナートが工場鑑賞の醍醐味の代表とされるだろうが、小さな町工場や中小工場も非常に魅力的に感じている。埼玉県川口市は鋳物の町として知られているが、現在は多くが高層マンションに取って代わっている。しかし荒川、及びそこへ注ぐ小さな川沿いに工場は散見できる。こういった水運はお隣の戸田市の方が多いのだが、工場よりも倉庫が多い。また東京都文京区界隈の製紙関連の工場の多くが戸田に移転しているが、外観からはあまり工場らしい魅力が感じられない。
それでも残る魅惑的な川口・戸田の工場は後日じっくり紹介するとして、今回は趣向を変えて、戸田でしか味わえない珠玉の焼き芋を取り上げたい。もうすぐ時期が終わってしまうが、運がよければレトロなリアカーに出会えるのだ。これは急ぐしかない!
阿佐美や

阿佐美や
原則月曜休
主に戸田公園駅そば「こどもの国」前
詳しい営業は公式サイト

公式サイトをみてみると、焼き芋の定番紅あずまの他に幾つか種類があるようだ。焼き芋自体食べるのが子供の時分以来だったので喜び勇んで足取り軽く向かうと、リヤカーはすぐに見つかったのだが、その佇まいに驚きを禁じえなかった。キッチュで可愛らしいもので、それを引く店主、自称いも子さんはお若い女性。焼き芋屋台というと薪を積んで煙突から煙がモーモー立ち込めて♪焼き芋ぉ〜い〜しやぁぁぁき・いもぉぉぉ!とかって音の割れたスピーカーから聞こえるオヤジなサウンドのイメージしかないのだが、ここではそのサウンドはもちろん、♪聖子ちゃんも百恵ちゃんも三浦友和くんも食べてるお芋ですよ〜♪なんて嘘八百のオヤジギャグ(これ実話)なんて聞こえるはずもない。

いも子さん
紅あずま

まず頂いたのは定番の紅あずま。中身はぎっちり詰まっていて甘く瑞々しい。大栄町の指定農家のものだという。値段も驚きで、品種にもよるが小さいものでは¥150くらいかあり、子供がお小遣いで買えるようにと価格しているとのこと。
と、どこからともなく歌が聞こえてきた。♪焼き芋・焼き芋・お腹がグー!!♪駅方面から軽トラがやってきた。

軽トラ
マスコット

これも同じ阿佐美やのもので、機動力を活かし広範囲で営業をし、配達までこなすという。歌のお兄さんが歌うような元気なこの歌もつくってもらったものとのこと。これは旧来の焼き芋屋とはまったく違う印象が植えつけられることだろう。また阿佐美やのマスコットキャラクターがあるのだが、その縫いぐるみが軽トラに掛けられていた。これもお客さんの手づくりだそうだ。
リヤカーの方はツボ焼きになっており、その中に安納もみじといって見た目にも5〜10cm程度と小さくものが入っており、こちらをいただいた。

安納もみじ

皮が薄く身に纏わりつくよう。色は黄色が強く、かなりキメが細かい。水気も多く、とにかく甘い。嫌なベタ〜っとした甘さではないのだが、ナチュラルな甘みが強烈に口中に広がる。食感もネットリとして濃いという言葉が似合う。サイトによると糖度が一般のサツマイモの何十倍と高い以外に、ベータカロテンが豊富なのだという。
この種子島の安納芋にハマってしまい、初訪問から都合をつけては毎年時期になると自転車を飛ばして買いに行っている。昨年は巨大版のメガもみじもあり、それなりに値は張ったが特有の甘さをたっぷりと堪能できた。
今年はリヤカーなどでの直接販売のほか、高齢者や子ども、障害のある人、子育て中の人らの「居場所」「地域交流」の場として戸田のさつき通り商店街に出来た「まちのえき『かめや』」でも数量限定で焼き芋が買えるようになった。焼き芋のほかスイートポテトややきいもプリンも販売しているという。また表参道のナチュラルハウスでも2月一杯まで販売しており、来年はどのような展開を見せるのか今から楽しみだが、なんといっても直接手売りで買う焼きいもが最高である。曜日によって販売場所やルートが変わるので、HPと日記をチェックして、是非とも絶品やきいもを体感いただきたい。

戸田といえば下頭橋ラーメンの支店ができた!と思考が直結してしまうのはセアブラン(背脂愛好家を勝手に命名)故の宿命か。嘗て環七ラーメンブームの中心的存在だった土佐っ子【詳細はネット検索いただくかマイブログを参照あれ】。少ないスープにドロッとした濃い目の醤油ダレ。そこにこれでもかと背脂を雨あられと振るい、殺人的こってりラーメンを生み出していた。板橋区にあった本家は亡くなったが、そこにいた職人の店が東京近郊に点在し、今なお魔境の味を伝えている。そんな中でも板橋区のときわ台にある下頭橋ラーメンは、土佐っ子跡地で営業していた店で、往時の味に忠実と専らの噂。一時味が大幅に離れたこともあったが、移転を前後して味を修正。見事に嘗てを知ってるものにはフラッシュバックする味を再現させた。
下頭橋

下頭橋(げとうばし)ラーメン
戸田店

   18:00〜翌4:00
   水曜休
   板橋区常盤台3-10-3

その支店が戸田橋の袂に出来たのだが、これが殆どときわ台店と遜色ない出来。

下頭橋ラーメン

丼から見事なまでにはみ出した背脂の嵐。この雑な感じでないと、夜の環七が似合うラーメンは旨そうに見えない。表面は脂が層を成しかき混ぜないと下の濃厚醤油ダレが残り、後半キツくなるが、下頭橋では予め店の方が混ぜてから提供してくれる。こういうのは素材がどうとかダシがどうじゃなくて、無心にガサツに喰らうのみ。中毒性が高いので、ハマればハマる味。敢えて違いを見れば、麺が同じ製麺所のものながらやや細く感じる。後半へばってしまうので硬めオーダー必須。あとチャーシューが土佐っ子よりもジューシーで肉厚に。これは嬉しい。
やや旨み過多な感は否めないが、他に土佐っ子の味をグレードアップさせた店がいくつかある中、それが返って晩年の土佐っ子に一番近いになっていると思う。土佐っ子フォロワーか否かは別としても、食べておきたい伝説の殺人的ラーメンであることに間違いはない。

腹ごなしがてらプラプラと歩く。こう来たらやっぱり風呂に入りたい。最近戸田・蕨界隈は温泉スーパー銭湯の激戦区で、近い範囲に3施設が競合している。その中でも一番値が張るが源泉の評判が良いコチラを選んだ。
彩香の湯

彩香(さいか)の湯
10:00〜24:00(23:00受付終了)
年中無休
埼玉県戸田市氷川町1-1-23
公式サイトはコチラ

1Fが駐車場で風呂は2〜3Fという構造。入口脇には送迎バス発着所があり、待合イスに自販機まで完備されている。館のつくりはまぁよくあるチェーン系の和風居酒屋っぽいのだが健康ランドくささがない。
脱衣場も浴場も明るく広め。洗い場の数も多いがゆったりとしたつくりで周囲が気にならないほどの間隔がうれしい。
肝心の露天だが、源泉槽と熱めの岩風呂に、壷湯、寝湯、スチームサウナをかねた漢方薬蒸湯となかなかの充実っぷり。温泉の熱めの岩風呂には寝転がれる箇所があり、腰と首をしっかり落ち着かせてることができる。で、源泉浴槽だが、ちょっと狭い。温泉はぱっと見、やや黄緑がかった透明感のあるものでクセは殆ど感じないのだが、浴槽の底に温泉成分が沈殿しているようで、足でスリスリすると、湯ノ花のデッカイ版みたいのがモワワ〜ンと浮遊してくる。湯垢みたいだったのでこれが評判悪かったのか、今回来てみたらキレイさっぱりなくなっていた。温泉って感じはイマヒトツなのだが、かなりショッパイ湯であるし、感じにくいだけで結構濃い湯であることに変わりはないようだ。
この日は客が少ないとあって源泉浴槽独り占め。ここは岩の配置が絶妙で首を寝かせつつ宵闇迫る空の変化を眺めながら、40度ほどだろう温めの湯につかり、非常に満足できた。
休み処にはリクライニングシートが完備され、ここまでしっかり休ませてくれるところはまずない。全体にキレイで送迎バスも本数が多く、設備も充実。平日のすいてる時ならばもう間違いなく満足度満点!

帰りは送迎バスで戸田公園駅まで。文化放送のラジオ「電リクハローパーティ」を聞きながら湯上り気分で食べたものや温泉を反芻する瞬間、あぁ日本に生まれてよかったなぁとしみじみ思うのであった・・・



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2009年 4月 8日更新
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