男性的な敵役、田崎潤
ドスの利いた声、逞ましい風貌は一度スクリーンで見たら忘れられないインパクトがある人だ。もしこの俳優がいなかったら「無責任シリーズ」も、「社長シリーズ」そして怪獣ものも味気がない映画になっただろう。
植木等のノー天気なパワー、森繁のおとぼけ振りに対抗出来るのは田崎潤を除いては少ないと思われる。
田崎潤のベスト作品は?と問われたら私は、「海底軍艦」(六三年東宝)を挙げたい。戦後二十年近く経つというのに、日本の敗戦を知らず南海の孤島で、強力無比の戦艦作りに命をかける男が田崎の役どころ。
旧日本海軍の英知を結集して、ムー帝国打倒に立ち上がる。誇大妄想狂な男を演じるとこの人の右に出る者はないと断言したい。
本名が田上実で、別名が月並洋三郎に毛利賢二だから七つの顔の男を地で行く。
地方回りの役者、森川信らのレビュー劇団で修業しているから役者としての下地はタップリだ。
豪快、ひょうきんと何でもござれの器用なところはどんな映画にも違和感がない。「社長シリーズ」の一本で浜松のウナギ養殖業者に扮したものがあった。女好きの社長は田崎らしい?演技振り。舞台「肉体の門」のヒットにより、これが映画化。鮮烈なデビューを飾ったのは、オールドファンの記憶に鮮やか。リアルタイムで見られなかった私は恨めしい。
個性が強い割にどんな役でも無難にこなした。が軍人役、敵役の迫力は他の追随を許さぬものが感じられた。東映、日活には悪党顔の敵役が多かった。東宝ではこの部分がやゝ手薄な感があった。田崎の存在はそれを補って余りあるといえる。
戦前の、古き良き日本の味を醸し出してくれた貴重な役者であった。誰よりもコールマンひげが似合った人でもある。
(生) T2.8.28
(没) S60.10.18
<出身> 青森市
県立青森商業卒、新生喜劇座を経て戦後「肉体の門」の舞台で注目される。代表作「地獄門」「次郎長三国志」「八甲田山」自伝に「ズウズウ弁の初舞台」がある。
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2005年12月21日更新
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