鴻巣という駅は大宮駅から数駅北上した辺りにあるのだが、県民には自動車運転免許の取得に訪れるところとして知られているだろう。免許センターは県民が誰でもアクセスしやすいように埼玉県の中心に据えたといわれているが、それは地図上の話であって、実際に電車で向かうには交通の便の中心である大宮のほうがどれほど便利か。
この辺の発想が理解に苦しむが、鴻巣の駅前というと試験問題の朗読テープを流すウルトラとかそんなんしかないイメージを持たれる方が多いと思う。たまたま立ち寄る機会に恵まれたので、免許モノ以外になにがあるのか、チョット散策してみた。
埼玉県で人形の町といえば岩槻が有名だが、鴻巣も人形の町としてしられている。駅前は真新しい大きなショッピングセンターが聳え、それらしいものの気配すら感じないが、裏道を歩くと、木造の立派な家屋に人形の暖簾が掛かっていた。
人形に関連したものはここしか窺えなかったが、この先に戦後物件と思われるトタン張りの民家がいい錆具合で数多く残っていた。
久々に掘り出し物に当ったようなもんで、特に3枚目は青いトタン平屋3軒の並ぶ様は“蒼い三連星”なんて呼びたくなるほど見事だった。
そんな中、とある物件に出会ったときあるものが目に入ってきた。
ブロック塀もいい感じなのだが、そこの住所表記。おそらく琺瑯だと思うが、問題は素材ではない。地名である。なんと「鴻巣市雷電」! ライディーンである。そんな住所が存在するのか!? この他にもあり、見かけるために、YMO散開ライブでのライディーンコール、もしくは大槻ケンヂがインディーズ時代に歌詞をつけた「来たるべき世界」のフレーズが脳裏をよぎる。
♪ライディーン!
♪ライディーン!
でてきたつけそば¥650は昨今流行の豚骨魚介スープ。もうザラザラドロドロのスープで粘度も高いのだが、最近この系統に多い、見せ掛けだけでスープが薄いものではなく、しっかりダシの効いた重厚さがあるのだ。味のインパクトとしては魚粉が勝っているがバランスを崩さず、逆に飲みやすさを演出している。
真っ黒な麺も思ったより粉っぽさはなくムッチリとした歯ざわりが心地よい。小麦の風味を存分に味わえる一杯だった。