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「脇役列伝」タイトル

ヒーロー研究家立石一夫

ミスター・ニッポン「悪名」でブレーク


 誠に昨年は私にとって、公私共に多事多難な一年であった。これを書いていると、一冊の本になる程である。
 やっと大晦日の今日、ゆっくりケーブルテレビをを見ている。激動の2005年を締めくくるに相応しい映画を放映していた。名匠・吉村公三郎監督の「女の勲章」(1961年大映)である。
 京マチ子と、若尾文子の二大女優ががっぷり四つの、名演技を見せてくれた。これに新進(当時)の中村玉緒がからむから、ファンには堪まらない。
 対する男優陣も、多士済々の趣がある。特に輝いていたのが、田宮二郎だ。永遠の二枚目スターでヒロインだが、「悪名シリーズ」の、モートルの貞は彼にとっては忘れることが出来ない作品だろう。勝新太郎の朝吉の脇役ということで(見方によっては両者主役)今回は田宮について書く。

田宮二郎

 女性を出世の道具、金儲けの道具としてしか見ない、ドライな男を「女の勲章」で田宮は好演していた。
 冷酷で性格の悪いこの手の役は、田宮にはうってつけである。現代の男優なら中井貴一か、佐藤浩市に匹敵するが、アクの強さ(高慢チキ)で田宮には及ばないだろう。
 黒のシリーズや、あの「白い巨塔」でも彼のクールさ、酷薄さが充分に見られた。
 しかし田宮の奥は深い。悪名シリーズのコミカルな一面は、ファンにはとても新鮮に映ったものだ。
 ポスターの序列を巡って、時の大映社長に喧嘩を打った度胸は、インテリ俳優には似合わぬものだった。だが映画界の重鎮、永田ラッパが相手ではちと相手が悪かった。
 晩年はテレビ界に活躍の場を移した。クイズ番組「タイムショック」の名司会で人気を博した。M資金という怪組織にからんだことや、英国との提携映画「イエロー・ドッグ」が失敗。散弾銃での自死は衝撃的であった。


(生) S10.8.25
(没) S53.12.28
(没) 京都市
<本名> 柴田吾郎
学習院大政経学部卒。ミスター・ニッポンに選ばれ大映入社。「悪名」シリーズ14本、「黒の試走車」シリーズ16本に出演。


男性的な敵役、田崎潤
ボンドガールよ永遠に、若林映子
墓場よりの使者、ザ・マミー
アンパンは木村屋だけじゃない、団令子
悲劇の伊達男<Xイート・ダディ・シキ
おいちゃんは俺だ、森川信
非運のレスラー、G草津
当たり役、風車の弥七・中谷一郎
写真判定男、中村剛
柏鵬時代の反逆児、若羽黒朋明
”たこでーす”たこ八郎
重厚味満点の悪役、高品格
褐色の弾丸・房錦と潜航艇・岩風
黒い核弾頭、ルーター・レンジ
南部のタッグ屋、グラハム&ステンボート
女をなぜなぜ泣かすのよ、城卓矢
教師から俳優へ、戸浦六宏ロッコウ
フックの職人、勝又行雄
当たり役、沢田部長刑事の芦田伸介
名タッグ屋ハードボイルド・ハガティ
名唱ジャイアンツを偲ぶ
2人のもろ差し名人
ニヒルな敵役・成田三樹夫
女性コメディアンの第一人者・若水ヤエ子
知的でとぼけた名優・有島
哀愁のモゲラ
悪役・進藤英太郎賛歌


2006年3月17日更新
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