「まぼろしチャンネル」の扉へ
「番組表」へ 「復刻ch」へ 「教育的ch」へ 「東京カリスマch」へ 「日曜研究家ch」へ 「あった、あったch」へ 「再放送」へ 「ネット局」へ
ら〜めん路漫避行
まぼろし書店・神保町店
少女漫画 ふろくの花園
帝都逍遙蕩尽日録
定食ニッポン
駅前ガラクタ商店街
日本絶滅紀行
怪獣千一夜
秘宝館
メール

「ら〜めん路漫避行」タイトル

第26回 検見川ブラザーズを送信せよ〜新潟を見出さレンダー
刈部山本

私の発行するミニコミ誌の最新刊が千葉特集ということで(詳細は文末のお知らせへ)、またも千葉!・・・って好きさね〜
千葉市街と津田沼の中間辺りに位置するのが今回取り上げる検見川。京成千葉線とJR総武線が寄り添うように併走している。いわゆるベッドタウンで新興住宅地といった風景が続き、町歩きにはなんとも面白みに欠くが、嘗ては海岸線がすぐ近くにあり、京成の検見川駅付近は昔ながらの商店街や平屋建ての民家が散見できる。
その京成検見川の検見川駅で下車。駅舎には傾斜のついた木製の長椅子が現役で頑張っている。構内踏切を渡ってJR側の目的地を目指す。崖の様な急斜面になっていて、JRの線路が山側に位置し、それを越えると駅北側はやはり開発された町になっていて、かなり整備されてしまっている。そんな中にある緑地公園の脇に、町の中華屋然とした店構えが突如現れた。
蓬来軒

蓬来軒
11:30〜14:00[月・火昼のみ]
/17:30〜21:00
※昼夜とも早仕舞い有
水曜・日曜休
千葉市花見川区花園2-10-14

千葉にありながら、新潟ラーメンの店としてラーメン好きの間では有名店。新潟市内にある蓬来軒の暖簾分けだそうな。新潟ラーメンといえば燕三条系と呼ばれる背脂たっぷり極太麺が多く取り上げられるようになったが、こちらはまるで塩ラーメンのような透明度の高い魚介系のあっさりラーメン。
店内は閉店30分前という時間ながら、ブルーカラーや主婦など近所の方々で大いに賑わっている。

ラーメン

ラーメン¥550は、運ばれてきた瞬間、魚介系の香りがブンと鼻をつく。香りがはっきりしているものの、キツさはなく、味わいも節系に煮干のような味わいもあって複雑に絡み合っているようなのに、全体の印象としては実にシンプル。物足りなさは微塵もない。チャーシューは味が殆どついてなく、柔らかく仕上がっていて、ほろけてもスープを邪魔しない。麺はこのスープを邪魔しない代物で、グイグイ完食できた。
閉店時間までまだ少し時間があったものの、食べ終わる頃には既に看板。これはユトリを持って行かれた方がいいかもしれない。

ここからJRの新検見川の駅に出て、千葉千葉駅へと向かったわけだが、この新検見川駅、街道沿いにあった80年代のファミレス、昔の環七の不二家みたいなつくりだったので、思わず撮影。

駅舎

駅前ロータリーを抜け交通量の多い道路を南下。郊外的風景にチェーン店が点在する中、脇道にスッと入ると、道が急に、最近宅地開発されたような擬似煉瓦敷の遊歩道となる。

遊歩道

周囲は殆どが空き地で雑草が生い茂る。所々ポツンと家が建っているが、見ると最近分譲されたような真新しさで、ニュータウンの雰囲気が充満していた。ここに嘗て大きな工場とか何かがあって、再開発に伴って取り壊されでもしたのだろうか。
そんな不安が的中したかのように、広大な空き地の真ん中、経年劣化したコンクリートの黒ずみが異彩を放つ検見川送信所が現れた。

検見川送信所

既に赤茶けて錆付いているが、窓という窓、扉という扉が鉄板で塞がれている。

さび扉

そもそも送信所って何を送信してたのかというと、国内で初めて、海外向けの国際ラジオ放送を発信した局舎なのだそうな。大正15年に開局し、国際放送がなされたのが昭和5年。ロンドン海軍軍縮条約の調印を記念して、浜口首相が行った演説を米英に送信した。また日本発の標準短波を送信した施設でもあり、先の大戦中は南方の占領地との通信拠点ともなった。この意味合いで一種の戦争遺跡ととる見方があるのかもしれない。現在の建物のほかにいくつか施設があったようだが、本館だけを残し、昭和54年に閉局。今は千葉市が中学校用地として所有している。 本館の建物自体は東京中央郵便局や大阪中央郵便局を手がけた吉田鉄郎の設計。表現主義的モダニズム建築で貴重なコンクリート建築も鉄板で覆われるとなんとも情けなく映るが、角の丸みはコンクリート建築としては意匠を感じさせる部分が残っており、戦前のコンクリート造の小学校などに似たような造作が見られる(参照:検見川送信所を知る会http://kemigawaradio.web.fc2.com/)。そっけなくもちょっとしたところに魅せる部分を秘める当時の建築はイケてるね〜
そんな細部を具に見学したいところだが、廃墟・心霊スポットとして有名になりすぎたため、敷地をグルッと柵で覆われ、立入禁止となっている。グルッと一周してみたが、貯水タンクと思しき高架水槽らしきものが見えたくらいで、

高架水槽

東側は貸し出している農地が広く、

農地

正面の南側はブルーシートの掛かった建築資材で、これというものは見受けられなかった。

建築資材

仕方なく帰ることにした。
この周辺も家が立ち並び、数年後にはガラリと違った風景と化しているだろう。それもまぁ仕方のないこと。そんなこんなもひっくるめて受け入れるべく、また来ようと誓い、検見川を跡にした。



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2009年 7月 31日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com まで


第25回 つけに胸キュン〜鴻巣雷電から17号温泉
第24回 安納土佐っ子後にして〜戸田公園の焼き芋と背脂
第23回 暗黒蘇我工場のブルース〜JFE製鉄所解体現場レポ
第22回 暗闇坂せあぶら変化〜麻布坂一番勝負
第21回 勢得蘇るよ…衛生廠ぉエイセイショー〜馬事公苑界隈戦跡巡り
第20回 多万里おみやは風呂で待つ〜赤線探し歩く銀座・南の銀座
第19回 成田を駈ける肉を見た〜湯当り自販機バーガー旅
第18回 平和島ランプはヒゲジロウのサイン〜Enjoy!天狗湯
第17回 赤き看板のイレブン〜団地・オブ・サマーサイド
第16回 アルプスの屠場〜芝浦いれぶんの弟子とレインボーコネクション
第15回 小川秘境のウズマキナルト〜軍跡に北海道ラーメン
第14回 水道リベンジ〜もぐりのワーダーボリック給水所
第13回 墨東デジャヴ〜雑貨繚乱!団地テナントのみとうし
第12回 千住のいじわる〜菊やもココ!
第11回 あーおかめ市〜大嫌い…でも大好きよ川口マイライブ
第10回 魁!!水道道〜ローレンローゼン和田町星川
第9回 未来こうかい〜ぼーっと銭湯で深川清澄
第8回 村山武蔵は死んでない!ホープかなえたまえ
第7回 美春かす柏ビレッジピープル〜In The Army
第6回 南国行きで首里えい航〜チョッチュ残念和田堀給水所
第5回 港町お風呂町海老づくし〜複合施設に桜サク、そして日は昇る
第4回 金町にタコをみた!〜割とやる阿明
第3回 おはるおばさん逢いに行くよ〜若造も紛れ込め!深川・佐賀界隈
第2回 夜桜まるき後日談〜でぃ・とみ田ぁ・とぅもろぉ
第1回 夜桜まるき〜松戸遊廓の残り香、煮干の香り
第0回 ラーメン町歩き新連載Coming Soon!


まぼろしチャンネルへ