その74
ビー玉、水晶、真珠、 まんまるに惹かれての巻 |
|
私は昔から、まんまるい目の子に惹かれる、という性質があります。ジッと見ていると、目が合ってしまうというか、先に紹介した子たちも、骨董市で目があって家にやってきました。
「まんまる」といえば、ひと昔前につくられたビー玉が、わが家に何個かいます。ちょっぴり不細工で、手作りの味といいましょうか、素朴なまんまるい玉です。いろいろな色と大きさのビー玉がありますが、ラムネビンのような、透けて見える深緑色のビー玉には、昔の空気がつまった気泡がたくさん入っていて、親指と人差し指でつまんで光にかざすと、キラキラキラキラ、輝いてくれます。白地に赤や黄色、緑、青のまざったマーブル模様のビー玉は、飴玉のように美味しそうで、手のひらにのせて、コロコロコロコロ、気持ちいい感触を楽しんでしまうのです。まんまるは、なんだか、おだやかな気持ちにしてくれるから不思議です。
子供の頃、近所の海岸で拾ったガラスの破片は、長い間流されて、角がなくなり、まるくなっていました。水色や緑、茶色のきれいなガラスの破片を眺めながら、いったいどこをどう流されてきたのかって想像するのも楽しく、桜貝と一緒によく拾い集めたものです。尖がっていれば、手のひらを傷つけるガラスが、まるくなって海岸に打ち上げられる様子は、山の上流から下流へ流されて、まるくなっていく石ころと一緒で、人が子供から大人になっていく様子に例えられたりもします。そんな例え話を、何度か祖母に聞かされてきた私は、まるくなったガラスや石ころたちに、たくさんの苦労のようなものを感じたりしました。思えばこの頃から、モノに気持ちをかさねる性質が育っていたような気がします。
そんな「まんまる」で最近わが家にやってきたのは水晶の玉。煙水晶といわれる少し茶色がかった水晶で、覗き込むとたくさんの虹がつまっているのです。それは、それは、美しいまんまるです。ひと目見て心奪われ、2ツあったのですが、どちらもあまりにも美しいので、2ツともつれて帰ってしまいました。いつも眺められる場所に置いて、覗き込んだり、握ってみたり、楽しんでいるのです。
そして、もうひとつやってきたのは、淡水真珠です。茨城県牛久市からやってきました。牛久市へは寅の方位を取りに行ってきたのですが、はじめて訪れました。浅草にある神谷バーの創立者、神谷傳兵衛さんのワイン工場が牛久にあったのも、ここへきてはじめて知り、シャトーカミヤで、神谷さんの歴史を辿ることができ、美味しいお食事と赤ワインをいただきました。その後で出会ったのが淡水真珠です。牛久市には淡水真珠を製造販売しているお店があるのです。今まで淡水真珠には無縁だった私が、明恒パールを訪れて、店内にずらりと並んでいる、白、ピンク、紫、グレー、オレンジ、黄色の美しいまんまるにウットリ。淡水真珠って、こんなにきれいなのだと、はじめて思った瞬間でした。それも、これらの真珠は、霞ヶ浦や利根川で養殖しておられるのです。私は霞ヶ浦や利根川から淡水真珠が産まれることを、ここに来てはじめて知ったので感激しました。思わず、誕生日の記念にと、これまた2ツ買ってしまいました。小さなまんまるい粒が、白からピンク色へグラデーションになっている3連のネックレスと、普段使い用のピンク色のネックレスです。
そんなこんなで「まんまる」が増え続けているわが家なのであります。
2008年5月7日更新
ご意見・ご感想は webmaster@maboroshi-ch.com
まで
その73 房総からやってきたウランガラスのビー玉と貝殻の巻
その72 切れ端の写真立てと国旗柄写真立ての巻
その71 富山の薬箱はひきだしの巻
その70 水アイロンと桜&鈴印のコテの巻
その69 『がらくたからもの』対談と主張する平和記念“糸とおし”の巻
その68 宇都宮からやって来た鳳凰が描かれた小箱の巻
その67 野球少年柄のランドセルとランドセル柄の帯の巻
その66 三峯神社と戦前の迷子札の巻
その65 浦賀からやってきた江戸時代の灯芯押さえの巻
その64 戦前の牛乳ビンは花瓶の巻
その63 便利な実用品『回轉式踏台』の巻
その62 美味しい野菜&野菜種袋の巻
その61 元旦の福袋!日満ポンプと戦前鉛筆削りの巻
その60 国産マッチ創始者『清水誠』とマッチ入れの巻
その59 “萬年海綿器”と“スタンプモイスチャー”の巻
その58 上野「十三や」のつげ櫛の巻
その57 斎藤真一『紅い陽の村』と『夫婦岩』の大皿の巻
その56 ケロちゃん色の帯と『LUNCOの夏着物展』の巻
その55 こわれてしまった招き猫「三吉」の巻
その54 下北沢の『古道具・月天』と画期的発明鉛筆削りの巻
その53 無料で魅力的なモノ、例えば「ケロちゃんの下敷き」の巻
その52 時間の整理と時間割の巻
その51 自分へのごほうび、昔の文房具に瞳キラキラの巻
その50 アンティーク家具を使ったブックカフェで…の巻
その49 『Lunco』と『小さなレトロ博物館』、着物だらけの1週間の巻
その48 コルゲンコーワのケロちゃんと『チェコのマッチラベル』の巻
その47 「旧軽の軽井沢レトロ館にてレースのハンカチを買う」の巻
その46 濱田研吾さんの『脇役本』、大山と富士山型貯金箱の巻
その45 横浜骨董ワールド&清涼飲料水瓶&ターコイズの指輪の巻
その44 『セルロイドハウス横浜館』とセルロイドのカエルの巻
その43 奈良土産は『征露軍凱旋記念』ブリキ皿の巻
その42 ブリキのはがき函と『我楽多じまん』の巻
その41 満州は新京の絵葉書の巻
その40 ムーラン鉛筆棚の巻
その39 「Luncoのオモシロ着物柄」の巻
その38 ペンギンのインキ壷の巻
その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻
その36 鹿の角でできた「萬歳」簪の巻
その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻
その34 「蛙のチンドン屋さん」メンコと亀有名画座の巻
その33 ドウブツトナリグミ・マメカミシバヰの巻
その32 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 後編
その31 ガラスビンと生きる庄司太一さんの巻 前編
その30 『家庭電気読本』と上野文庫のご主人について‥‥の巻
その29 ちんどん屋失敗談とノリタケになぐさめられて‥‥巻
その28 愛国イロハカルタの巻
その27 ちんどん屋さんとペンギン踊りの巻
その26 「ラジオ体操の会・指導者之章」バッチと小野リサさんの巻
その25 針箱の巻
その24 カエルの藁人形と代用品の灰皿の巻
その23 『池袋骨董館』の『ラハリオ』からやってきた招き猫の巻
その22 東郷青児の一輪挿しの巻
その21 西郷隆盛貯金箱の巻
その20 爆弾型鉛筆削の巻
その19 へんてこケロちゃんの巻
その18 転んでもただでは起きない!達磨の巻
その17 ケロちゃんの腹掛けの巻
その16 熊手の熊太郎と国立貯金器の巻
その15 単衣名古屋帯の巻
その14 コマ太郎こと狛犬の香炉の巻
その13 口さけ女の巻
その12 趣味のマーク図案集の巻
その11 麦わらの鍋敷きの巻
その10 お相撲貯金箱の巻
その9 カール点滅器の巻
その8 ピンク色のお面の巻 後編
その7 ピンク色のお面の巻 前編
その6 ベティちゃんの巻
その5 うさぎの筆筒の巻
その4 衛生優美・リリスマスクの巻
その3 自転車の銘板「進出」の巻
その2 忠犬ハチ公クレヨンの巻
その1 野球蚊取線香の巻
→ |