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第27回「冬至には“ゆず湯”に入って
南瓜をいただこう!」の巻

日曜研究家串間努


  12月22日頃は冬至。1年のなかで一番昼が短く、夜が長い日だ。よく「秋の夜長」というけれど、じつは冬のほうが夜が長いのだ。だから母親が“夜なべ”仕事をして手袋を編んだりするシーンには、窓に雪がちらつくのがよく似合う。


「寒い冬はポカポカあたたまりたい!」

  冬至が近づくと影が長くなる。そうすると【影ふみ】がやりやすくなるのだ。鬼を決めて他のメンバーは鬼に影をふまれないように逃げ回る。ふまれそうになると、急にしゃがみこめば、影は短くなる。
  影ができないような軒下などでじっとしていると、しばらく鬼をしなくて済むのだが、「鬼にされるかもしれない」というドキドキ感が味わえないので、それもつまらない……。【缶けり】【鬼ごっこ】【靴かくし】など、鬼と戦うタイプの遊びはスリルを感じないと意味がない。永遠に安全地帯で“高みの見物”をしていてもしようがないのだ。

  岡本綺堂『影を踏まれた女』に次の一節がある(「近代異妖編」所収)。
  ――Y君は語る。
「先刻も十三夜のお話が出たが、わたしも十三夜に縁のある不思議な話を知つてゐる。それは影を踏まれたといふことである。
影を踏むといふ子供遊びは今は流行らない。今どきの子供はそんな詰らない遊びをしないのである。月のよい夜ならばいつでも好さゝうなものであるが、これは秋の夜にかぎられてゐるやうであつた。秋の月があざやかに冴え渡つて、地に敷く夜露が白く光つてゐる宵々に、町の子供たちは往来に出て、こんな唄を歌ひはやしながら、地にうつる彼等の影を踏むのである」

  冬至といえば、南瓜や冬至風呂を思い浮かべる。
  冬至には柚子湯(冬至風呂)に入る習慣があり、子どもにとっては、ふだん入るお風呂に柚子が浮かんでいるというのは、非常に不思議で楽しいことであった。


「さあ、いよいよ柚子の登場だ!」


「でも、これだけが浮かんでいると、
ちょっと不気味……(笑)」

  柚子に含まれている芳香成分が血行をよくし体をあたためるので、1年間風邪をひかないといわれているが、じつは「湯治」(温泉に浸かって体を療養する)の洒落だということだ。柚子を使うのも“融通が利きますように”という願いが込められている、とか。

  また、冬至には南瓜(かぼちゃ)を食べる。昔は冬場の野菜が少なく、保存がきく南瓜からビタミンをとることがすすめられた。カロチンには体内でビタミンAに変わり、風邪などの感染症への抵抗力をつける。だが子どもにとっては(少なくとも私には)、南瓜の煮つけはそんなに歓迎するようなおかずではなかった。


「おふくろの味、南瓜の煮つけは冬の定番おかずだ」

  日照時間が少ないことによる不安から、冬至の日は「死に一番近い日」といわれてきた。その災厄を祓(はら)うためにこれらの風習は行われてきたのだ。しかし現在では、日常であまり行われることがない。それは医学の進歩や病気予防の意識が発達したからだろう。
  青果店で身近に売られている柚子や南瓜で、健康を増進することで死病から逃れ、家族団らんを行うという心温まる生活してきたのに、それを忘れてしまうのは実にもったいないと私は思う。


2009年12月22日更新


第26回「ドングリで感じる秋」の巻
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第24回「セーターを編んでいた時代」の巻
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第21回「「ライパチ」くんにも五分の魂の巻
第20回「野球のボールを作ったのは誰だ」の巻
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第18回「走れ! ピンポンダッシュ」の巻
第17回「近所に出没したアヤシイひと」の巻
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第15回「子どもの移動距離と文化の深浅」の巻
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第13回「食べものを奪い合う子どもたち──カラーそうめんの希少価値はどこへ」の巻
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第5回「むかし日本の空き地には鬼がいた」の巻
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第3回「シスコーン、即席ラーメンの生喰い」の巻
第2回「落とし穴と犬のフン」の巻>
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