2011年3月アーカイブ

18-1.サクラソウ.jpg

東日本大震災から1週間が過ぎた頃、花屋さんの店先に、大量の花があふれていました。近寄ってみると、お値段がかなり安く、どうしてかと尋ねると、東北へ出荷されるはずだった物が、東京の市場でストップしたために、大量に入荷したとのこと。食品ではないナマモノには、こういうことも起きるのかと、黄色いフリージアとカスミ草、ピンク色のチューリップを、抱えられるだけ買って帰りました。‥‥といっても、ベビーカーを押しているので、たかが知れていますが、花を買ったのは桃の節句以来のことです。電気を消した薄暗い台所に花を飾ると、暗かった部屋がパッと明るくなりました。まるで、春が来たようです。

18-2.ユリ.jpg

春といえば、お彼岸のお墓参りに行く途中に、大きな柳の木があり、見上げると、黄緑色の小さな新芽が、ゆらゆらと揺れていました。白い木蓮の花も咲いていて、どこからか、沈丁花の香りもします。よく見ると桜の蕾も少しだけふくらんでいました。まだまだ寒くて、冬だと思っていましたが、もう春なのですね。時間がゆっくりと、確実に流れていることを感じます。
ここより北にある被災地は、もう少し春の訪れは遅いのでしょうが、どうか、優しく、力強い春の力が、心も身体もあたたかく包み込んでくれますように‥‥。

今回ご紹介するのは、戦前の絵葉書2枚です。サクラソウとユリの白黒写真に、桜のような、きれいなピンク色で彩色がしてあります。独特の色合いですが、可憐で美しく、うっとりと眺めてしまうのです。当たり前のことですが、色があるっていいですね。春を感じさせてくれる色は、元気を与えてくれます。

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1.少年倶楽部絵葉書.jpg

このたびの地震で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。
お亡くなりになられた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。

どうかどうか、1日も早く物資が行き届き、仮設トイレ、仮設住宅が立ち上がりますように。0歳児を抱える新米母としては、特に妊婦さん、赤ちゃん、赤ちゃんのお母さんのことを思うと、離乳食の問題、ミルクの問題、オムツの問題が気になります。
自衛隊の皆さん、医療従事者の皆さん、救助に入っておられる皆さんに、心から敬意を表します。1人でも多くの方を助けてください。
そして、原子力発電所でがんばってくださっている方々に、感謝と敬意を‥‥。本当にありがとうございます。どうか無事でありますように、心からお祈りいたします。

神様、皆さんの身体と気持ちをお守りください。
被災した地をお守りください。
日本をお守りください。

2.少年倶楽部絵葉書.jpg

3月11日は、築30年近い、エレベーターのない3階にあるわが家は、大きく、長く揺れました。幸いだったのが、エルゴの抱っこ紐をつけ終え、散歩に行こうとした瞬間に、地震が起きたことです。すぐさま赤ちゃんを抱っこし、揺れる本棚を押さえました。押さえなければ倒れたと思いますが、なんとか倒れず、小鳥もいるので、必死に大丈夫だといい続け、どうにか被害は少なくてすみました。赤ちゃんが終始ニコニコしていたのが救いで、ガタガタ震える自分の足に、もっと強くならなければ‥‥と思いました。
余震も続き、原子力発電の問題も連日報道される中で、街からはミルクやオムツ、トイレットペーパー、電池などの日用品が消えました。食品も、水やインスタント食品、牛乳、卵などはなくなり、薬局やスーパーにできた長い行列に、恐ろしさと不安な気持ちを覚えました。けれど、日本の人は強い。大丈夫。どんな状況でも、創意工夫を忘れず、暮らしの中に夢を持ってきました。明治、大正、昭和を生き残ってきたモノたちが、私にそう語っています。
1週間が過ぎ、入場規制があった近所のスーパーも、落ち着きを取り戻し、臨時休業していた薬局も営業をはじめました。普段と変わらず、お仕事をしてくださっている方々に、感謝です。

おしまいに、今回ご紹介する『少年倶楽部』の繪はがきは、大正3(1914)年に、大日本雄弁会(現:講談社)が創刊し、昭和21(1946)年に『少年クラブ』と改名するまでの間に、付録としてついたモノです。水面にフワッと花や葉を浮かべる睡蓮は、赤、白、ピンク、オレンジ、紫、青とたくさんの色があり、花言葉は、純潔、清浄、甘美、純粋な心、信仰だそうです。ジッと眺めていると、手を合わせて祈りたくなる、そんな美しい花です。

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1.干支皿.JPG

フジテレビの人気番組『はねるのトびら』の中の、"ほぼ100円ショップ"は、値札のついていない商品が並ぶお店で、おばさまスタイルの芸人さんたちが、自腹を切ってお買い物をするというコーナーです。商品の値幅が0円から10万円位まであるので、100円だと思って購入すると、10万円だったりして。「なんでこれが、こんな値段?」と驚き、ガックリきている姿や、各人の反応がおもしろく、いつも笑って見ています。そのコーナーに、高額商品を何度も提供しているのが、"アンティークモール銀座"です。店名がでるたびに、ニンマリしているのです(どうして、ニンマリするかは、"その35 移動し続けた『骨董ファン』編集部と資生堂の石鹸入れの巻"をご覧ください)。

2.干支皿.JPG

3月1日のこと、アンティークモール銀座へ行ってきました。No.13でご案内した、『女流絵本作家4人展』の会場、Bartok Galleryと近くだったからです。ひさしぶりに訪れたお店は、1階と地下のみになっていて、ところどころにセールの紙が貼られていました。お気に入りに出会えたらお得かも‥‥。そんなことを思いながら、キョロキョロと物色していたら、「子丑寅卯辰巳」までの十二支と、「甲乙丙丁戊己庚」の十干が、時計まわりと逆に描かれている、古伊万里のお皿が視界に飛び込んできたのです。
十二支が、季節や方位、時間を表していることを、強く意識するようになってから、縁があると、描かれたモノを求めるようになりました。実は、同じように描かれた、印判手の小皿も持っているのです。それには「庚」が描いてないだけで、ほかは一緒です。干支が途中までだと、中途半端に思えて、六十干支は甲子からはじまるので、単に最初から書いただけなのかと思っていましたが、2種類目も見つけてしまうと、なにか深い意味でもあるのかと、勘ぐってしまいます。ご存知の方がおられたら、教えてほしいです。

3.絵本.JPG

ギャラリーへ行くと、平日のお昼前なのに混んでいました。寒い日だったので、ベビーカーごと入れてもらい、たごもりのりこさんとひさしぶりの対面です。アンティークモール銀座の赤い紙袋を持った私を見て、「変わらないね~」って一言。「まぁね」とお互い笑ってしまいました。10年以上のおつきあいなので、ひさしぶりでもそんな感じはしません。けれど、彼女の絵本が、たくさん積まれた様子に、頑張ってきたんだなぁ‥‥と、感激しました。そして、壁には額入りのイラストや、手づくりの飾りなど並べてあり、絵本だけでなく、作家さんの絵まで買えるのは、いいなぁと思いました。

4.絵.JPG

『どうぶつ どどいつ ドーナツ』(もとしたいづみ作 たごもりのりこ絵 すずき出版発行)って絵本がありましたが、「どどいつ」って、シブい‥‥。でも、こういう言葉遊びを伝えることって、大切だと思います。ページをめくってみると、美味しそうな食べ物と、可愛い動物がたくさん描かれていました。どうせなら、三味線伴奏のCDをつけてもらえると、もっと身近に感じられるのに。絵本の詩だと三味線は似合わないかな? オルガンとか、アコーディオンなら似合いそう。子供が喜ぶと思うのですが‥‥と、勝手なことを思いつつ、赤ちゃんの名前入りのサインも書いてもらったので、もう少し大きくなったら、喜んでくれると思います。

5.飾り.JPG

実はこの日、はじめてベビーカーで地下鉄に乗ったのです(抱っこ紐なら何度かあります)。ものすごく緊張しました。乗る前にエレベーターや、トイレの位置を確認し、ぐずりだしたら、途中でも帰ろうと思っていたのですが、なんとか大丈夫でした。少しずつですが、お互いに成長できているのですね。

6.絵本.JPG

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1.イギリスビン.JPG

「あっ、ベークのフタだ」と思いました。どっしりとした広口ビンに、ところどころ剥げた年季を感じる赤いラベル、そして、チョコレート色をした、とても状態の良いベークライトのフタが、視界に飛び込んできたのです。乾物でも入れようかな。どこに置こう‥‥と考えながら、辺りを見まわすと、なんとも不思議な空間です。民家が密集した場所に、すぽっと空いた狭い土地。そこに陶芸、鞄、骨董などが、楽しそうに並んでいました。ところは谷中7丁目。幟がひらひらと立っています。宇宙人のようなウサギが描かれたピンク色の幟には、"PEKE USAGI"と、黄色いアヒルの幟には、"家鴨窯"と描いてあります。そう、ここが友人のお店です。

2.がーちゃん.JPG

数時間前のこと、仕事前の旦那サンが、友人のブログを読んでひと言。
「がーちゃん、谷中で店やるみたいだよ」
「ふ~ん。いつ?」
「今日。もうはじまってるね」
2月26日のことです。布団の中でゴロゴロしていた私は、ガバッと飛び起き、赤ちゃんをつれて、慌ててやってきたのがこの会場。手創り市だと思っていたのに、骨董も売っていたのです。

3.ペケ市.JPG

このビンは(ガラスの保存ジャーといったほうがいいのかな?)イギリス製で、1950年代のモノだそうです。底には「BRITISH MADE」の文字があり、てろんとした、厚手で小さな気泡がポツポツはいったガラスも可愛らしく、高さは16.5センチと使いやすい大きさです。そして、なんといっても、フタがベークライトなのが魅力です。地味な色合いだけど、味わい深いというか、ステキだと思うのです。しばらく眺めていたのですが、台所で使うことに決め、買うことにしました。

4.イギリスビン.JPG

肝心な友人のお店は、家鴨窯というだけあって、店主はアヒルの"がーちゃん"です。本日は猫の街谷中ということもあり、猫グッズをメインに並べておられましたが、鳥好きである私のお目当ては、当然がーちゃんグッズ。箸置きと、カップ、スープ皿を買いました。優しい生成色をした器たちは、小さながーちゃんが、ちょこちょこと顔をだしている可愛らしいデザインです。スープや飲み物がなくなったあとに、ちょこんと顔を出すがーちゃんを想像するだけで、ほんわかとした気持ちになります。それに、赤ちゃんも喜ぶと思いました。小さな突起を触るのが大好きだから。私個人としては、カフェボールなんかつくっていただけると、嬉しいかも。そんなことを思いながら、がーちゃん一家の人柄がにじみ出るでているお店で、しばし歓談。ひさしぶりにお会いできて、楽しいひとときです。製作者のhalcoさんは、手づくりが大好きで、不器用な私は常々見習いたいと思っている女性のお1人。ニコニコと楽しそうに接客しておられる姿を見ると、私までニコニコしちゃうのでした。

5.ペケ市.JPG

この小さな市は、"谷中ペケ市"というそうです。"貸はらっぱ 音地"にて2010年の夏からスタートし、月2回のペースで開催しておられ、その都度出店者が変わる模様。楽しみですね。そうそう、甘酒も売っていて、通りすがりの人が、美味しそうに飲んでいました。こういうほのぼのした市が、この街には本当によく似合います。近所には飲食店をはじめ、象牙のお店や骨董屋、初音小路もあるし、見はじめるとキリがありません。いろいろ見たい気持ちを抑えて、谷中銀座商店街を通り(通れるようになりました。*No.3参照)、コシズカハムで、ベリーハムを買って、赤ちゃんがぐずりはじめる3時間を目前に、退散しました。

6.初音小路.JPG

その夜、旦那サンに「楽しかったよ~」と、写真を見せたら、
「このペケウサギってなに?」と聞かれました。「知らない。ペケ市のキャラクター?」と答えたのですが‥‥。今度行ったら聞いてみましょうか。

7.イギリスビン.JPG

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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