2011年5月アーカイブ

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はじめに、お詫びと訂正をしたいと思います。No.8でご紹介しました、水色のプラスチックと木でできた電話料金箱ですが、プラスチックではなく、セルロイドだと判明しました。スミマセン‥‥。触った感じがとても硬かったので、プラスチックだと思い込んでいたのですが、よく見たら、しっかりと枠組みをした木の上に、薄いセルロイドの板が、ていねいに貼られていることがわかりました。よって、No.8の"プラスチック"という記述は、すべて"セルロイド"に訂正させていただきました。ご了承ください。実は、だいぶ前(2月頃)に親しい業者さんからも「昭和25年から30年代はじめのセルだと思うよ~」と連絡をいただいていまして、いつ訂正しようかと考えていたのです。

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お口なおし(?)に、もうひとつ電話料金箱をご紹介します。全体が木でつくられた、楕円形の料金箱です。箱に直接文字が描かれていないのは残念ですが、実際に電話料金箱として使用していたモノだと聞いています。料金箱には、紙をはめ込むことができる枠が2つあり、中央の縦書きの枠に、電話料金箱など使用目的を書いた紙を入れ、下の枠には、お店や下宿の住所などを書いて差し込み、柱などに取り付けたのでしょう。一見地味に見えますが、とても美しい楕円形をしています。木目も美しく、実にていねいにつくられたモノだと思うのです。そして、中央の板に使われたセルロイドも、時間の経過から波打ち、飴色に変色していましたが、そこがまた趣きを感じます。写真だと飴色のセルロイドがわかりにくいので、詩吟とコーヒーと毛筆が得意な、会社の上司Kさんに、「電話料金箱」と書いてもらいました。難しかったみたいですが、ありがとうございました。

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この電話料金箱は、京都にあった骨董屋"骨董鯨や"で求めたモノです。「これは‥‥?」と手に取った私に、「それ、いいでしょう。電話料金箱なんですよ」と、それまで知らなかった電話料金箱という存在を、教えてくれました。そういえば、No.1No.23でご紹介した無針紙綴器を教えてくれたのも、このお店でした。木製品が醸し出す、時代感といいますか、そのカッコよさを教えてくれたのです。現存していたら、ご主人は常々「不便を楽しむ」と話しておられ、携帯電話も持たないような人でしたが、さすがに持ったかな‥‥。オークションをはじめとする、ここ数年の激変ともいえる古物の流通を、どう語ってくれるのか、ふと聞いてみたい気持ちになります。
 

おまけ 気になる街角 
 
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お散歩の途中に、最近では、あまり見かけないホーロー看板と遭遇しました。

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水郷の町、千葉県佐原茨城県潮来へ行ってきました。ゴールデンウィークの話です。大好きな土地なので、毎年数回訪れており、舟に乗ったり、神社にお参りをしたり、潮来にある、お気に入りのイタリアン・カフェ"陽だまり"で、美味しいピザやパスタをいただきながら、常陸利根川を眺めていると、日常から遠く離れて、のんびりした気分になり、「また頑張ろう!」なんて、元気をもらえるのです。そして、広大な土地を眺めながらドライブをするのですが、今回は、今までとは違いました。東日本大震災での被災状況は、私の想像を超えたものだったからです。


最初に日本地図をつくった方として有名な、伊能忠敬さんの故郷である、佐原を訪れました。佐原といえば、古い町並みが残った美しい所ですが、ほうぼうの屋根瓦が崩れ落ち、ブルーシートが被せてありました。"重要伝統的建造物群保存地区"に指定された古い蔵なども被害にあっており、これらを修復するには、ずいぶん時間がかかるのではないかと思います。一番驚いたのは、舟で何度も通った小野川の河口部分です。液状化現象で川底の土が盛り上がり、土の上に舟が乗り上げているのです。川の両側の塀も、電信柱も斜めに倒れ、近辺の民家も傾いている様子に、まるで、地中を大きな生物が走り抜けた後のようだと、息を呑みました。今さらながら、地球も生きているのだと思わずにはいられません。

けれど、町として頑張っていこうと、舟は通常通り運行され、土が盛り上がる手前まで近づいてくださり、今後小野川の復興がいかに大変か、船頭さんが話してくださいました。ブルーシートをかけながらも、街道沿いのお店はしっかり営業しておられ、昔ながらのたい焼きを食べて、日高昆布が練り込んであるという、名物の"黒切りそば"を美味しくいただき、油茂製油の"玉絞めごま油"を求め、古書や郷土誌を買い、忠敬橋の近くにある骨董屋で、ガラスのコースターとお盆のセットに出会いました。水色の地に鳥と花が描いてあるモノです。オウムっぽいカラフルな鳥のせいか、和物というより、ちょっとオリエンタルな感じがしますが、佐原で出会ったのがご縁と思い、つれて帰ることにしました。余談になりますが、つい先日、似たようなセットを、びっきさんが紹介しておられます。波千鳥が描かれた可愛らしいモノで、この類も本当に種類が多く、何パターンあるのかわかりませんが、コースターが小さめであることから、昭和初期あたりにつくられた、細めのコップが一番似合うと思うのです。そういえば、佐原では毎月第一日曜日に、八坂神社の境内で"小江戸佐原の骨董市"を開催しておられるそうです。機会があったら行ってみたいです。

次に向かったのは佐原から利根川を挟んで、対岸にある十六島です。サッパ船で巡る"十二橋巡り"が有名で、"あやめ祭り"には、たくさんの人が訪れます。今の季節は蛙の鳴き声と、田植えがはじまったばかりの美しい田園風景に、のんびりとした、すがすがしい気持ちになるのですが、今回は違いました。田んぼの間に建つ電信柱が、斜めに倒れているのです。道路には亀裂が走り、水道管が破損したのか、仮の管が付けられていたり、渡れない橋はあるし、民家の屋根もブルーシートがかかっていました。そんな状況だからでしょうか。今年は鯉のぼりがいません。十二橋もいろいろ被害がでているようですし、昨年同じ日に訪れた水郷を思うと、やるせない気持ちになりました。けれど、このように大変な状況でも、あやめ祭りは開催されるそうです。一時はやめようという話もでたそうですが、頑張ってやりたいとのお話でした。


それにしても、屋根瓦の交換は、5年待ちという話もでているとか。なので、瓦は高いし、今風の屋根に替えたいと、女船頭さんがいわれます。確かに瓦は高いんです。うちも実家の瓦を替えた時には、正直びっくりしました。けれど、陶器の瓦の美しさは、なんともいえない風情があります。関東は黒い瓦を多く見ますが、山陰のほうは茶色の瓦が多く、地域での特徴もあるように思います。列車の窓から眺める屋根瓦の美しさは、日本の町並みとして残ってほしいと思うのですが、今回のような大きな地震を経験すると、難しいのかも知れません。

最後に、香取神宮をお参りして帰ることにしました。1日も早く、被災地の皆さんの気持ちと、被災した土地が元気になることを祈ります。神宮も灯篭が、たくさん倒れていましたが、本殿は無事で、ホッとしました。参道のお店も営業しておられ、毎回立ち寄る"和茶房うの"に入り、外にあるテーブルで、新緑を眺めながら、カフェオレとお団子をいただきました。参拝した後にいただくせいか、とても美味しいです。お土産に石尊堂の"ピーナツ太郎"などをまとめて買い、帰路につきました。

おしまいに、佐原の骨董屋で子供用に買った、アルマイトのお弁当箱もご紹介します。未使用というのが嬉しく、しっかり使いたいと思います。

おまけです。11ヶ月になりました。

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約2年前の話です。手狭になった台所のテーブルを、もっと小さいモノに替えようと思いました。どうせならアンティークで、それも普段は小さくても、大きくすることもできる、ドローリーフテーブルがいいなぁって‥‥。けれど、小さいサイズは意外になく、探しているうちに、目黒にある"ロイズ・アンティークスエゴイスト"から入荷の連絡が入り、見に行きましたが、テーブルに直接紙を敷いて、文字を書くであろう自分の姿を想像した時に、古いテーブルでは無理があると思い、泣く泣くあきらめたのでした。


その替わりといってはなんですが、食器棚&サイドテーブル(?)として、60年代にイギリスでつくられた「G-PLAN」 のサイドボードを購入しました。古い食器の収納はもちろんのこと、ポットに電子レンジと、新規参入してきた家電などを置けて、重宝しています。肝心のテーブルは、"D&DEPARTMENT PROJECT TOKYO"で、「カリモク60」のモノを求めました。カリモク60とは、1940(昭和15)年に愛知県刈谷市で木工所としてスタートした、有名な家具メーカー"カリモク"が、60年代につくっていた家具を復刻したものです。G-PLANとは産地が違えど、同年代で同色なので、違和感なく台所に収まってくれ、とても使いやすく、大満足なのでした。‥‥‥本当は、もう少しモノの配置に凝りたいのですが(センスの問題は別として)、今は娘がつかまり立ちの時期で目が離せず、部屋の中のモノが日々移動している最中で、サイドボードの後ろにコルゲンコーワのカエルがいるのも、そのせいです。


しかし、一度は恋焦がれたドローリーフテーブル。そのテーブルを置いた喫茶店"カフェ・カウダ"が、時を同じくして、通勤途中の道沿いにオープンした時には、運命だと思いました。自宅にはないけれど、ここに置かれたテーブルを、わがモノと思い、堪能しようと思ったのです。なので、いつも一番奥か、奥から二番目のテーブルに座りました。 その後、妊娠、出産と環境が激変し、喫茶店に通うどころじゃありません。約1年ぶりに、お客さんがいない時を見計らって、赤ちゃんと2人でカフェ・カウダに入った時は、ようやく喫茶店に入れるようになったと、感激しました。ソファーもあるので、赤ちゃんと横並びに座り、大きな窓ガラスの外を行き交う、人や車をジッと眺める赤ちゃんをよそに、ピザトーストとカフェオレを注文し、気をよくした私は、オーナーの女性にテーブルが欲しかった話をしました。すると、彼女も骨董がお好きだそうで、照明も大正時代のモノを探し、家具も古いモノを取り入れたと話してくださいました。ドローリーフテーブルは、茨城の骨董屋で見つけたとか。いろんなお店から、足と直感で探し、集めてこられたようです。


「欲しいと思うと、不思議と呼びますよね~」 オーナーのこの一言に、 「ですよね!」 と力強く答える私。 「臭うんですよ。あっ、ここにあるんじゃないかなって感じで‥‥。それで、見つけちゃいました。この椅子は、アメリカの映画館で使われていたんですよ。折り畳めるんです」 「素敵ですね~」 「これは、曲線が美しいでしょ。どこも手を入れてないオリジナルのままの椅子なの」 「ヌーボ調ですよね。本当にきれい」


こうなると、喫茶店に来たんだか、骨董屋に来たんだか、よくわからない感じですが、ひさびさ同じ臭い(?)がする女性にお会いできて、とても嬉しかったです。ますますこの喫茶店が好きになったのは、いうまでもありません。ちなみにカフェ・カウダは、「ベルギービール喫茶店 Café Cauda」と看板に描いてあります。ベルギービールにカクテル、お食事も美味しく、もちろんコーヒー、紅茶も美味しいので、お近くにお寄りの際は、ドローリーフテーブルともども、堪能してみてください。なんといっても魅力なのは、夜遅くまでやっていることです(火~土14:00~23:00 日14:00~22:00)。女性1人でも気軽に入れますよ。


喫茶店といえば、会社の32歳の男性が、個人経営の喫茶店に一度も入ったことがないと聞いた時は、ものすごく驚きました。でも、よくよく話を聞いてみると、喫茶店へ行かずとも、マクドナルドやドトール、ファミリーレストランが身近にあったので、安くて、長居できるそれらのお店に慣れてしまうと、個人経営の喫茶店は、怖くて入れないというのです。世代と環境の違いですかね~。私の場合、昔から喫茶店へのあこがれが強くて、お気に入りの喫茶店に、手帳やびんせんを持ち込んで、自分自身の時間の整理や、友人に手紙を書いたり、読書するなど、ゆっくりとした時間を過ごしたいと思ってきました。とはいっても、結局は貧乏性な性格が災いして、あまりゆっくりはできなかったのですが、ほんの少しの時間でも、喫茶店で過ごすひとときは、気持ちを切り替えるスイッチのような存在として、私の中では、とても大切な時間です。なので、個人でお店を経営していくことは、大変だと思いますが、ぜひとも頑張っていただきたく、陰ながら応援したいと思うのです。


さて、今回は喫茶店にちなんで、戦前につくられた野球少年のメニュースタンドをご紹介します。バットが折れているのは残念ですが、デザインが気に入ってつれて帰りました。陶器の台と金属という組み合わせが、斬新といいますか、とてもステキだと思います。ちなみに差している絵葉書は、"少年倶樂部繪はがき"で、関口俊雄さんが描かれた「おいしさうな果物」です。絵葉書を立てると、折れたバット部分が葉書の後ろにいくので、折れていることがわかりません。魅力的なスタンドだと思うのですが、いかがでしょう。


ご案内
カフェ・カウダにて、"鮎沢和彦・渡辺由布子duo live"が開催されます。鮎沢さんは、二胡、三線、三味線の奏者で、渡辺さんは、箏の奏者です。喫茶店で三味線と箏を聞けるなんて素敵ですよね。
日時:5月22日(日)14:00開演
場所:カフェ・カウダ 東京都文京区白山1-30-8
電話:03-6801-8791(入れる人数に限りがありますので、お電話で確認&予約してください)。
料金:2,000円(ベルギービール1杯+小皿料理orコーヒーまたは紅茶+自家製ケーキ付)


ピンク色のカーネーションを1輪。母の日に、母になって1年目の私に‥‥。
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全長6センチほどの小さなケースは、華奢な素材である、セルロイドでつくられていました。薄紫とベージュのマーブル模様という、上品な色合いの地紋の上に、ゆらゆらと揺れそうな葉っぱと、つがいの小鳥が金色で描いてあります。なんだか、とても乙女チックな感じがするのは、私だけでしょうか。手のひらにのせて、しばし眺めていたくなります。大きさからマッチケースのような気もしますが、擦るところはありませんし、いったいなにを入れていたのでしょう。女の子の机のひきだしに、このケースがそっと入っていたら、中味は切手かも知れない、なんて、想像するのも楽しいです。

葉っぱといえば、今年も新緑の美しい季節がやってきました。美味しそう(?)な黄緑色の葉っぱが、太陽の光をあびてキラキラと輝く様子は、見ているだけで、癒されるといいますか、気持ちのいい景色です。そして、小鳥たちの声も元気いっぱい。だって、家族をつくる季節でもありますから‥。今年も雛に、何度逢うことができるでしょうか。楽しみのひとつです。


ところで、文京区にある根津神社の"つつじまつり"に、はじめて行って来ました。先日娘に桜を見せたから、今度はつつじだと思い、自転車&スッピン(懲りてない)で、軽い気持ちで行ったのです。‥‥が、行ってビックリしました。ここは東京なのか? と思うほど、スケールが大きいというか、見事なつつじだったのです。視界に収まりきらないつつじ畑(?)は、下から見上げるもよし。上から見下ろすもよし。ただただ見入った私なのでした。

正直いうと、私にとって、つつじの花は、ありきたりな花というイメージがありました。丈夫な花ですから、公園の花壇や街路樹として、身近にあり過ぎるというか、よく見かけるので、わざわざ見にいくという考えがなかったのです。けれど、今回行ってみると、つつじの花って実に種類が多く、黄色い花もあるのですね。はじめて見ました。また、形をしっかり整えられることから、日本の庭園にふさわしい花だと思いました。これほど多くのつつじを、美しく育て上げるには、日頃のお手入れなど、しっかりしておられるのだと思います。

ちなみに花言葉は、「自制心」、「節制」、色によっては、「恋の喜び」、「初恋」、「燃える思い」だそうです。自制心、節制は、なんとなくぴったりな感じです。

そうそう、根津神社から歩いて5分ほどの場所に、"まぼろしチャンネル"の管理人であり(大変お世話になっております)、"昭和迷宮物件"の著者である、刈部山本さんの喫茶店"結構人ミルクホール"があります。隠れ家のような、懐かしい感じのする喫茶店で、しばし日常を忘れて、静かに時間を過ごしたい方にオススメです。私も娘がいなければ、ちょこちょこ顔を出したんですけど‥‥。今は入口でケーキを買うのがせいいっぱいかなぁ(美味しいです)。いずれ、刈部山本さんに交渉をして、きちんとご紹介したい喫茶店なのです。お近くにお寄りの際は、ぜひぜひのぞいてみてくださいね。

 

さて、セルロイドのケースのフタをそっと開けてみました。小さな空がつまっていました。もくもくと白い雲と青い空が‥‥。そんなふうに見えませんか? なにも入れずに、そっと閉じてしまいたくなる、とても小さな空です。

 


追記:4月25日、俳優の田中実さんが亡くなられました(No.2参照)。娘が大きくなってから、自慢をしようと思っていたのに‥‥とてもとても残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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