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「脇役列伝」タイトル

ヒーロー研究家立石一夫

特撮王国の常連、佐原健二


 一昨年(2004)年は、ゴジラ映画の誕生から50周年の、大変目出たい年だった。年末にはこれを記念して、ゴジラ最新作が製作された。東宝の「特撮王国」は、かくも長きにわたり栄えたのであろうか。理由は多いが、一つには作り話の中に、いかにリアリティさを出せるかが勝負所となっている。昭和・平成の世にいる訳がない怪獣が暴れ回る。彼らと真面目に相対し、熱演した数多の名優がいたからこそリアリティさは増して、観客を興奮のルツボに叩き込んだ。その中の一人が、佐原健二である。
 特撮シリーズには、なくてはならない男優であった。主に新聞記者や、悪党の一味を演じることが多い記憶がある。悪者に扮しても、やゝ陰のある風情が醸し出され物語を重味を感じさせた。田崎潤のような、あっけらかんさはなく、生真面目さが売りでもあった。今回の頁を書くために、彼のプロフィールを調べると、中央大学法学部卒であることを知った。律儀な悪者のイメージは、この辺から感じ取られる。

佐原健二

 現在の特撮映画は、往年に比べてその映像技術は各段に進歩している。なのに昔の怪獣映画の方が面白い。これは出演者の質の問題であろう。主役の怪獣を相手に、めげることなく演技出来る役者が、残念ながら少ないのは寂しい。50周年記念のゴジラ映画には、懐かしい顔が揃う。マンダ、バラゴンの名を聞いただけで私など、♪お久しぶりね と口ずさみたくなった。
 私が勝手に選んだ、佐原の代表作は「地球防衛軍」に、「海底軍艦」だ。後者の、ムー帝国工作員役は、凄味さえ覚えた名演技であった。
 端正な面立ちが、ミステリアスな部分を上手に引き出せた。私は一世一代の演技と拍手を送る次第。どこかの発泡酒のコピーではないが、コクがあってキレも感じさせるあの頃の佐原をまた見たいものだ。


(生) S7.5.14
<出身> 神奈川県川崎市(千葉県佐原市であれば面白かった) 中央大学在学中に準ミスター平凡に選ばれ東宝入り。石原忠の芸名でデビュー。31年「空の大怪獣ラドン」「地球防衛軍」で売り出す。その後はサラリーマンもので活躍、51年東宝を退社。フリーとして舞台でも頑張っている。


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2006年6月9日更新
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