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「定食ニッポン」タイトル

第17回
 立ちそばで定食が食べたくなって(3)
  …渋谷並木橋「梅もと」

畸人研究学会今柊二

「梅もと」


 最近、廃線に凝っていて、JTBキャンブックスから出ている「廃線シリーズ」は軒並み購入している。中でも現在一番そそられているのが都電ですね(「都電が走った街今昔」とか「玉電が走った街今昔」など)。いうまでもなく現在の都内はもはや隙間がないんじゃないの?というくらいに地下鉄が張り巡らされているけれど、地下を走っているため、いくら乗っていても東京という街がどうつながっているかという感覚を覚えることができない。福田和也と坪内祐三のSPA!での対談でもそんなことを言っていたなあ。その点、都電は完全に街と一体化して風景と化しており、さらにそれにのっていると街の薫りが漂ってくるという素晴らしいメリットがある。仕事柄地方都市に行くことが多いけれど、現在地方で元気があるのは広島のように市電を残している街で、自動車を優先するがために市電を廃止した街は、栄えるのは郊外の大型ショッピングモールばかりで、当然のごとく中央部は空洞化がおき、ガランガランにさびれてしまっている。そういえば、確か川本三郎が「市電が走っている港町は間違いなくよい町だ」とか言っていたが、これは実に真理だね。

「梅もと」

 まあ、東京なり横浜なりは、市電の代わりに地下鉄が走っているため、空洞化は起きてはいないものの、町がのっぺらぼうになったことは間違いない。そんなわけで時折、都電の走っていた後に立ってみて、かつて都電が走っていたことを妄想していたら、これがとても面白くて病み付きになってしまった。

 実は今をときめく恵比寿から渋谷に向かう明治通りにも都電が走っていたらしい。もともとは渋谷はこの明治通り沿いが栄えていた場所だったそうだ。昼間の仕事場の関係上、よくこのあたりを歩くのだけれど、日曜は場外馬券売り場目当てのオヤジたち、平日は近くの専門学校生やら会社員やらデザイン事務所のねえちゃんやらがいる。そんな人々が道の真ん中を走ってくる都電に乗っていて、そうすると、周りの町並みはどういうふうに見えるのだろう、渋谷の終点が近いから少しずつ徐行するんだろうなあとか妄想していると、これはかなり危ない楽しさですね。ただ、路線は微妙にずれているけど、最近この近辺は「ハチ公バス」という100円のタウンバスが走っていて、このバスに乗って見える街の風景がとても都電チックでいいです。

「梅もと」

 で、この元都電沿いで飯を食べるときに使用頻度ナンバー1なのが、立ちそばの梅もとです。東横線に多いけれど、並木橋にも店舗がある。この梅もとで一押しは「まぐろ丼セット」。これはたぬきそばとやまかけまぐろ丼のセットで480円、サービスで玉子つきというご機嫌な値段なのだった。まぐろは解凍もの、それにゆるめのトロロをかけて、ねぎをかけたものがまぐろ丼。そばは色が黒くて、ゆで太郎とは違い、かなりジャンキーな味で、つゆも濃い。そばもご飯も、決してものすごくうまいわけはないけれど、なんだか中毒性があり、週に一回は必ず食べてしまうのだった。

「まぐろ丼セット」

 ただまあ、理想を言えば、店で食べているとき、ふと店の外を見ると、ブレーキ音が聞こえつつ、都電が明るい光のなかをゆっくり走っていると、さらに素晴らしい味になるのになあと思っちゃいますけどね。

「梅もと」


2004年4月22日更新
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[定食ニッポン]
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