「まぼろしチャンネル」の扉へ
「番組表」へ 「復刻ch」へ 「教育的ch」へ 「東京カリスマch」へ 「日曜研究家ch」へ 「あった、あったch」へ 「再放送」へ 「ネット局」へ
ら〜めん路漫避行
まぼろし書店・神保町店
少女漫画 ふろくの花園
帝都逍遙蕩尽日録
定食ニッポン
駅前ガラクタ商店街
日本絶滅紀行
怪獣千一夜
秘宝館

「ら〜めん路漫避行」タイトル

第30回 のりものアラカルト〜
ユイツ残った大勝軒
刈部山本

毎度毎度で申し訳ないが、今年もこの季節がやってきた。年2回、盆と暮れに私の発行するミニコミ誌の最新刊の入稿が先頃完了した(詳細は文末のお知らせへ)。今回は上野〜浅草にある戦前〜戦後の長屋や商店建築・吉原赤線跡を巡りながら、喫茶店のランチと洋食屋・大衆食堂の定食に絞って食べまくった。
その中からホンの1部、上野駅からのスタート部分のお披露目!ここだけ異様に鉄分濃いんだ。

今回は本連載始まって以来のメジャースポット、嗚呼上野駅。しかしアメ横や上野公園に行くんじゃござんせん。入谷口という出入口があるのをご存知だろうか。上野駅は大まかに二層構造になっており、一番広い中央改札にアメ横や西郷さん方面へ抜ける広小路口・不忍口が地上階、動物園や博物館へ行く公園口が2Fに当たる。2Fの上野公園とは反対に入谷改札があるのだが、コチラを利用する人も中央改札脇、上野駅の正面玄関に出る人が殆どだ。
それとは反対に北側、鶯谷方面へと延々続く通路が存在する。改札出てすぐ、上野鉄道警察隊上野分駐所という隣の建物から強引に繋げたようなのがあるのだが、ここにも地下鉄やアメ横はこっちじゃねぇと、まるで入谷口の利用を阻止してるような案内板が出ている。

上野警察 ノット入谷口看板

いつかアメ横〜御徒町はやろうかと思うのだが、上野といったら東上野。断固として入谷口から降りる!
階段を少し下ると長い通路がお出迎え。途中に大人の休日倶楽部の趣味の会教室やスポーツクラブの入口があるのだが、実は以前、ここに「ブルートレイン」という鉄道グッズの店があった…はず。

ブルトレ跡

たぶんここだったと記憶している。いわゆる販売用のグッズもあったが、目を引くのは業務用の中古品。昔有人改札だった頃に切符に鋏を入れてたんだけど、そのカチカチカチってやつとか、サボって車両の脇に行き先を案内するサイドボードとか、そのクルクルクルって行き先表示が巻物みたいになっているヤツとか、そんなんが所狭しと雑多に並んでいて、子供心に秘密の基地みたいで目眩がするほどだった。以前はサンシャイン60にもあったが、どこも既に撤退してしまった。

通路の先、階段を下りるとやっと外に出る。目の前には工事中のビルの風景が広がる。

岩倉高校

掲示を見ると学校の新校舎を建設中とのこと。

岩倉高校看板1 岩倉高校看板2

ここはかの有名な岩倉高校。なんで有名かっつーと、かつては岩倉鉄道学校という名称で日本発の鉄道学校である。鉄ヲタの進学先として豊島区の昭和鉄道高校と双璧の名門。
校名の由来は鉄道創設に貢献した岩倉具視によるものだそうで、卒業生の大半が鉄道業界に就職するという。なんと校内には電車運転シミュレータがあるそうで、文化祭では一般公開されるというが、運転は原則出来ないらしい。残念!

建設中の岩倉高校向かいには、つけめんの元祖といわれる東池袋大勝軒の系列店が存在する。小さな店ながら昼時ともなると常に行列をつくっている。
上野大勝軒外観

上野大勝軒
11:00〜20:30(土祝18:00)
(土祝18:00まで) 日曜休
台東区上野7-6-7

実はコチラ、厳密に言うと東池袋本店から直の暖簾分けではない。四谷三丁目と新宿御苑と曙橋の中間くらいに、銭湯を模した装いで話題を集めた「湯一」というラーメン屋があった(現在跡地に「むろや」というラーメン店が入っている)。ショッパイつけ麺が名物で、蟹と動物系のダシが甘く濃厚に合わさる、独特のクセになる味わいだった。 その後、中板橋に移り「量や」を名乗っていたが暫くして、東池袋大勝軒で修行をしたようで、大勝軒の名で営業。それからココ上野に進出し、現在に至っている(現在中板橋店は存在しない)。あぁ長い。
こちら上野大勝軒では完全に大勝軒のメニューで、ショッパイのはないのだが(東日本橋のある店で食せたらしいが既にその店はない)、全国規模で増殖する暖簾分けの中でも頭抜けて丁寧な一杯を出してくれる。

特製もりそば

特製もりそば¥680は、麺も太麺というほど太くなくしなやかで、つけ汁も動物ダシのワルイドさは控えめで、全体に優等生な味わい。しかし、麺のもっちり感や風味、つけ汁の適度な脂の量と魚ダシ動物ダシの適度なバランスは決して物足りなさを感じさせない。麺は通常300gオーバーと多く、少な目をオーダーするのだが、スルスル食べられるので、200g超が異様に少なく感じる。ここまで大勝軒ならではの味わいをスマートに仕上げてきたことに驚きを禁じえない。

岩倉高校や大勝軒のあるこの一帯は、昭和通りとJRの線路に挟まれた小さく細長いエリアで、昭和通り沿いはバイク店で賑わっている。戦後だろうが古い商店も散見でき、中にはバイク店に無理やり作り変えたような店もある。

バイク屋

上野駅が近いとあって路地にビジネスホテルがひしめきあう状態なのだが、その間にモルタル(砂利を混ぜない簡易コンクリ的な目地埋めや仕上げ材)木造建てスナックなどがヒョッコリ顔を出している。

上野7街角 スナック 隙間 スナックテナント

昭和通りを渡ると、突如として踏切の遮断機が現れる。

遮断機

レールは見えるが柵が降りて電車が通る気配がない。

レールUP

線路の先を見ると東京メトロ銀座線の車両が並んでいる。

検車区

地下鉄に踏切とは、往年の春日三球バリの疑問ではあるが、解答はあっさりと出る。この検車区から踏切を通って地下へと潜る様になっている。この潜る側がフ〜っと闇に吸い込まれそうな遠近感で見ごたえがある。

地下道

この踏切部分、地上を電車が走るにも関わらず架線がない。電車の上、パンタグラフから電気を供給されているが、ここでは線路の脇から電気を得ている。右サイドに線路と併走するコンクリのような白い物体がそれ。故に高圧通電中の危険が警告されている。

この銀座線検車区の周辺もテナントビルが目立つが、その間隙を縫うように古い建造物が未だ多く散見できる。この先の散策はまた次の機会ということで…



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2009年 12月 1日更新


第29回 みのめんたの逆襲〜王子のキツイねモノレール
第28回 さよなら人類たまテック〜先天よい子は家族の肖像
第27回 チャムスの卵あたためて〜青淵って何だあの飛鳥山
第26回 検見川ブラザーズを送信せよ〜新潟を見出さレンダー
第25回 つけに胸キュン〜鴻巣雷電から17号温泉
第24回 安納土佐っ子後にして〜戸田公園の焼き芋と背脂
第23回 暗黒蘇我工場のブルース〜JFE製鉄所解体現場レポ
第22回 暗闇坂せあぶら変化〜麻布坂一番勝負
第21回 勢得蘇るよ…衛生廠ぉエイセイショー〜馬事公苑界隈戦跡巡り
第20回 多万里おみやは風呂で待つ〜赤線探し歩く銀座・南の銀座
第19回 成田を駈ける肉を見た〜湯当り自販機バーガー旅
第18回 平和島ランプはヒゲジロウのサイン〜Enjoy!天狗湯
第17回 赤き看板のイレブン〜団地・オブ・サマーサイド
第16回 アルプスの屠場〜芝浦いれぶんの弟子とレインボーコネクション
第15回 小川秘境のウズマキナルト〜軍跡に北海道ラーメン
第14回 水道リベンジ〜もぐりのワーダーボリック給水所
第13回 墨東デジャヴ〜雑貨繚乱!団地テナントのみとうし
第12回 千住のいじわる〜菊やもココ!
第11回 あーおかめ市〜大嫌い…でも大好きよ川口マイライブ
第10回 魁!!水道道〜ローレンローゼン和田町星川
第9回 未来こうかい〜ぼーっと銭湯で深川清澄
第8回 村山武蔵は死んでない!ホープかなえたまえ
第7回 美春かす柏ビレッジピープル〜In The Army
第6回 南国行きで首里えい航〜チョッチュ残念和田堀給水所
第5回 港町お風呂町海老づくし〜複合施設に桜サク、そして日は昇る
第4回 金町にタコをみた!〜割とやる阿明
第3回 おはるおばさん逢いに行くよ〜若造も紛れ込め!深川・佐賀界隈
第2回 夜桜まるき後日談〜でぃ・とみ田ぁ・とぅもろぉ
第1回 夜桜まるき〜松戸遊廓の残り香、煮干の香り
第0回 ラーメン町歩き新連載Coming Soon!


まぼろしチャンネルへ