No.7 大正時代の強力接着剤、旭発明工業社の『キングスターチ』

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9日の日曜日、富岡八幡宮骨董市に行ってきました。本当は、東京ビックサイトで開催している骨董ジャンボリーに行きたかったのですが、しばらくは無理なので、まずは近場からと、家族3人で門前仲町を目指しました。ところが、甘かった! 初詣のお客さんと重なって、ものすごい人なのです。嵐やAKB48の写真がぶら下がった屋台が並ぶ光景は、"今"を感じて微笑ましく眺めつつも、境内の片隅に追いやられた骨董屋を見つけるのも、近づくのもままならず、なんとかたどり着いたお店で、視界に飛び込んできたのは、旭日でした。それも中心に「發」の文字があります。

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「發‥‥ハツ、これはもしや初日の出という意味?」
いきなり脳内で変換されて、手に取ったのは小さな缶でした。下半分にはローマ字で「TRADE MARK ASAHIHATSUMEI KOGYOSHA」と書いてあります。「發」と「旭日」がトレードマークの旭発明工業社の缶なのです(社名の文字は「発」になっています)。今年はじめて行った骨董市で、なんだか縁起がヨイ出会いです。"皇紀2599卯年のカレンダー"に続き、手を合わせて拝みたくなるような、ありがたい日の出(?)を見させていただきました。それにしても、見れば見るほどインパクトのある缶ですね。元気をいっぱいもらえる気がします。考えてみると、「発」という字は、発明、発進、発信、出発、利発、活発など前向きな言葉が多いからでしょうか。旭日と合わせると、気合い充分な感じがするのは私だけ? 「發日の出」は‥‥少し強引かな? 気に入ったんですけど(すみません)。

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肝心な中味ですが、強力接合剤。大正時代の接着剤と思われます。商品名は『キングスターチ』。クローバーのキングのトランプが目印です。よく見ると下の方には桜の花びらが舞っていて、見れば見るほど、めでたい缶ですが、用途は、「木竹、金属、陶器、硝子、石、皮革、ゴム、セルロイド等何品ニテモ固着セザルモノナシ」と書いてあり、なんでもくっつけることができるわけです(本当かな?)。必要な量の粉末を水に溶かして使用するとか。ちなみに会社は横浜市鶴見区にありました。接着剤といえば、旧サイト"その37 「更生の友」と「ナオール」こと、60年前の接着剤の巻"でも紹介しています。接着剤の商品名として、「更生の友」、「ナオール」も、おもしろいです。

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キングスターチは大小2種類売っていて、ついつい2ツ買ってしまいました(大:直径4.3センチ、高さ5.9センチ。小:直径3.5センチ、高さ5.3センチ)。めでたさの重複ということで(?)
‥‥ご愛敬。ほかのお店も見たかったのですが、はじめて見る縁日に驚いたのか、赤ちゃんがぐずり出しまして、御本殿にも行けず、西参道を抜け、深川不動尊を突破し、逃げるように人ごみを脱出しました。一息ついたのは深川東京モダン館です。江東区の観光案内所なのですが、もともとは、昭和7年に建てられた東京市深川食堂の建物でした。"モダン館"の名前のごとく、モダンな建物で、休憩するにはもってこいの場所です。この日は梅昆布茶の振る舞いがあり、美味しくいただきました。余談ですが、こちらでミニ骨董市やミニ古書市を開催されたこともあるそうですよ。それにしても、この日は気温が12℃という暖かく、気持ちのいい晴天で、お散歩日和でした。そして、私にとっては一瞬の骨董市でしたが、楽しいひとときでした。

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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このページは、さえきあすかが2011年1月15日 14:30に書いたブログ記事です。

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