骨董市で、小さな黒いケースを見つけました。それは急ぎ足で通り過ぎたら、見つけることができなかったであろう、縦45ミリ、横25ミリの小さなケース。それも、古いモノにまじって、土やホコリで汚れていました。薬なのか、裁縫道具なのか、いったいなんのケースかしら? と思い、手にとってみると、セルロイドでできています。よく見ると、アールデコ調にデザインされた猫が描いてあるではありませんか! 見つけた瞬間、心の中で小さく「やった!」と叫び、なんでもないかのように、業者さんに値段を聞きました。ホコリで汚れている黒い小さなケースを、チラリと見た業者さんは、猫の存在に気づいていないのか、安いお値段で、ゆずってくださいました。嬉しい出会いです。
フタを開けてみると、おっと危険! 黒い粉がふわっと飛びました。中身は真っ黒な粉。どうやら眉墨と思われます。ほとんど未使用なので、洗うのはやめて、このままとっておくことにしました。『モダン化粧誌 装いの80年』(ポーラ文化研究所編)によると、大正時代後半の眉墨は、すでに固型、液体、棒状、粉末と種類があり、色も茶の濃淡、灰色があったそうです。そして、眉の描き方に、和と洋の区別がつけられ、和装の場合は自然な弧を描き、洋服の場合は、多少直線的に長めに描くのがよいとされ、いかに自分にふさわしい眉を研究するかが、不可欠なことだったとか‥‥。すごいですね。お化粧が面倒と思っている私としては、ただただ頭の下がる思いです。でも、お化粧品の美しいビンたちと一緒に、この黒猫ケースが置いてあったら、なんだかしまるというか、カッコイイと思います。思えばセルロイドというと、赤やピンクなど、カラフルで可愛らしいイメージがあって、真っ黒いケースは、あまり見ないような気がします。
そういえば、セルロイドで思い出したのですが、以前"セルロイドハウス横浜館"へ行きました。館内に飾られた、たくさんのセルロイドの商品を見ながら、中でも、セルロイドでつくられた、自転車のチェーンカバーに驚いたことを、よく覚えています。セルロイドの歴史を垣間見て、ますますセルロイドに興味がわいたのでした。そうそう、セルロイドで、とても可愛らしいお人形をつくっておられる、"セルロイド・ドリーム"の平井英一さんのパワーにも感激したっけ。平井さんがつくられた、セルロイドのお人形、ミーコちゃんは、本当に可愛らしいお人形で、もう少し娘が大きくなったら与えてみたいと、ひそかに思っているのです。
おしまいに、公園に大きな地球儀を発見。1歳8ヶ月の娘です。