No.196 小さな「指ぬらし」3題

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娘と三輪車で散歩していた時のこと、何気なく眺めた近所の四角いポストが、ずいぶんと色あせて、ピンク色っぽくなっていました。考えてみたら、私の記憶の中には、真っ赤なポストはあっても、こんなに色あせたポストって、なかったような‥‥ちょっと驚きました。 

携帯やパソコンなどコミニュケーションが、とても便利になった今日では、仕方がないような気もしますが、色あせたポストが、"今の通信事情"を物語っているようで、なんだか寂しい気持ちになったのです。

そんなポストを見て思い出され‥‥、というと、ちょっとこじつけめいてしまいますが、今回ご紹介するのは、"指ぬらし"の器3点です。小さな平たい壷のような容器に、水をふくませた海綿を入れて、切手などを濡らして貼った文房具で、懐かしく思われる方も多いのではないでしょうか。需要のあった時代には、いろいろなデザインのモノがありました。わが家にも何個かあります。陶器とガラス製で、なかなか素敵でしょ?

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まずは、水色のガラスで出来た指ぬらし。昔のガラス製品では定番の、気泡がたくさん入っているのも魅力。全体に草花が描かれたデザインは可愛らしく、女性が使うことを想定したのかな、とも思わせます。 

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次は、黄緑色のガラスです。装飾も、口の折り返しもないシンプルなデザインですが、見つめていると吸い込まれそうな色合いが、とても魅力がありますね。切り口の蛍光色からすると、ウランガラスでしょう。 

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そして、こちらは陶器製の指ぬらし。八角形に角張らせた、指がかりのよさそうな外観。大理石っぽい色あいに焼きあげられています。正札がついているのは、デッドストックだったためでしょう。"石田紙店"の銘があり、板橋と新宿にお店があるむねが書かれていました。 

指ぬらしといえば、過去に変わり種も2点紹介してきました。萬年海綿器と、スタンプモイスチャーです。特に萬年海綿器はスグレモノで、私の好きな品の一つです。興味のある方はご覧くださいね。

 

【気になる街角】

映画や漫画などで、懐かしの街並みが描かれるときはすでに欠かせないアイテム、鋳物の筒型ポスト。そんなポストを、観光地・熱海では、ほうぼうで見ることができました。色を何度も塗り替えたのでしょう、ぶ厚いペンキで凸凹もつぶれ気味と、だいぶくたびれた状態ですが、真っ赤な色は鮮やかでで、街のシンボル的存在に見えました。

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‥‥自由気ままに探検したので、場所はよくわかりませんが、歩くたびに赤いポストに出会いました。来宮駅前にもこのとおり。 

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川沿いの道にも、商店街でも、現役で活躍しています。 

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大切にされているのですね。ちょっと嬉しい光景でした。 

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手紙が減ったといっても、幼児向けのテレビ番組では、手紙は貴重な通信手段として、今でもひんぱんにお話の中にでてきます。

テレビに影響されてか、娘も「お手紙どうぞ」と、色紙に絵を描いて、私にさし出してくれたりします。そんな様子を見ていると、近所の色あせたポストも、早く塗りかえてあげてほしいなぁと思う、今日この頃なのでした。 

 


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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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このページは、さえきあすかが2013年10月27日 19:00に書いたブログ記事です。

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