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「ガラクタ商店街」タイトル

その84
喫茶店の中の東京タワーと
『世界一の東京タワー』
絵葉書の巻

弓屋かえる堂さえきあすか


世界一の東京タワー
世界一の東京タワー

  Echika(エチカ)池袋、最近テレビでよく見かけます。なんでも副都心線池袋駅構内にできた商業施設だそうです。副都心線に乗ったことのない私は、どこを走っている線なのかもピンときません。どんどん大きくなっていく東京の交通網に、悲しいかな、まったくついていけないありさまですが、池袋駅は以前利用していたことがあり、ほかの駅に比べると地図が頭に入っているつもりです。たぶん、エチカ池袋は丸井の下のほうだろうなぁ? と思いつつ、桜の季節もいきなりの初夏の陽気に、あっという間に終わってしまった4月の第2土曜日、散歩がてら出かけてみることにしました。ちょうどテレビで石塚英彦さんが、エチカ池袋の和菓子を美味しそうに食べていることだしね。

 ひさしぶりに行った池袋は、セールの赤札をほうぼうで見かけました。「給付金還元セール」なんていうのもあったりして。まさに旬のセールですね。三越池袋店も5月6日に閉店だそうで、51年の歴史に幕を閉じるのだとか。老舗のデパートがなくなるというのは、なんだか寂しい気持ちになりますが、これも時代の流れなのでしょう。閉店セールの影響か、エチカの影響なのか、池袋駅の地下は大混雑。人の多さに景気の悪さなんて、まったく感じません。案の定、エチカに並ぶ美味しそうなお店は、ほうぼうで長蛇の列。これはダメだと地上へ出ると、丸井の下に出ました。そういえば東京芸術劇場や、立教大学のあるこの辺りは、ステキな喫茶店があって、以前はよく来ていたっけ。それもかれこれ10年以上前の話ですが…。今はどうなっているのかと思い足を運ぶと、店名が変わっていましたが、喫茶店としてやっており、人気があるのでしょう。たくさんの人で賑わっていました。

ライトアップされた東京タワー
ライトアップされた東京タワー

 喫茶店といえば、会社の20代後半の男性が入ったことがないというので驚きました。物心ついた時には、ファーストフードやファミリーレストランがあり、それもドリンクバーのおかげで飲み放題、店主に気を使う必要もなければ、時間を気にする必要もない環境が整っていたわけで、あえて喫茶店へ行く必要性がなく、個人経営の喫茶店は入るのに勇気が要るとのことでした。私にとって少し薄暗くて、コーヒーの香りが漂う喫茶店は、手紙を書いたり、読書をしたり、ひと息つけるというか、自分をリセットできる、大好きな空間でした。家で朝食をつくらなかった時には、モーニング目当てに通いました。残念ながら、最近では平日喫茶店に行くことはなくなりましたが、小旅行にでかけた時には、喫茶店探しは必須です。昔ながらのいい感じの喫茶店があった街は、そこにとどまる時間も思い出に加わるので、街の印象も断然よくなります。散歩&旅行には、美味しい珈琲とケーキは欠かせません!

   さて、話を丸井池袋店近辺に戻しまして、どこかでお茶にしようと思いました。しかし、お目当てのお店は大入満員。もう少し静かな喫茶店がないかと探していたら、「本格珈琲・昭和」の看板が。う〜ん。「昭和」という文字が、とても懐かしく感じるのはなぜでしょう。地下1階なので、どんな店内かはわかりませんが、昭和ですからね。さっそく入ってみることにしました。
 そんなに広くない店内で、カウンターとテーブル席が5席くらい。壁には夢二やつげ義春の絵が飾られ、ひさしぶりに見たつげ義春の絵に、懐かしい気持ちが込み上げてきました。そして柱時計がたくさん掛けられ、カウンターにはライトアップされた東京タワーの模型が…。そういえば、先日掃除をした時に、ひきだしの中から『世界一の東京タワー』絵葉書がでてきたっけ。ライトアップされたタワーの葉書もあったのですが、まわりの建物の低いこと!停泊するかつての南極観測船・宗谷と東京タワーが一緒に写った葉書も、こんなに港が近かったっけ? と驚きました。店内には、そのほかにもEXPO70、75の三角ペナントや、昔のカメラなどなど、昭和を感じる小物が飾ってあり、さりげないディスプレイがステキで、嬉しくなりました。

宗谷と東京タワー
宗谷と東京タワー

 カウンターの端では、女性が仕事をしています。経理の方なのでしょう。タイムカードをチェックしておられます。携帯やパソコンではなくて、縦長で厚紙のタイムカードを片手に、ノートになにやら書いている女性の姿は、まさにひと昔前に喫茶店で見かけたような光景だと、嬉しくなりました。次に入ってきた女性は、リュックサックを背負ったおばあちゃん。思わず、「ここは池袋だよね?」と確認したくなるような静かな空間で、皆さん手作りのケーキと珈琲をご注文。私も頼んだのはいうまでもなく、レアチーズケーキと珈琲を注文しました。ノリタケのピンク色のカップに入った珈琲は、とっても美味しくて、厚手のガラスの砂糖入れも可愛らしく、ステキな喫茶店だなぁと思ったのでした。

昭和の東京
昭和の東京

 昭和といえば、『昭和の東京 路上観察者の記録』(路上観察学会著 ビジネス社発行)が手元にあります。銭湯、理髪店、たばこ屋、看板建築などなど、バブル開発前の昭和の東京を、オールカラーの写真とコメントとともに紹介してあるのです。最近では、テレビでも散歩の番組が増え、懐かしい街並みを紹介していますが、路上観察学会のみなさんは20年以上前から、街を歩いて観察し、手間暇かけて記録してこられました。ページをひらけば、時間がゆっくり流れだすこと間違いなしです。
 でも、バブルによって東京はすごく変化したと思いますが、昨年夏以降の不景気でも、街はすごい変化をしている気がします。駐車場が増えました。建物の世代交代の多さにも、時間の流れを感じずにはいられません。同じ風景を残すことの大変さを、しみじみ思う今日この頃なのです。

東京タワー葉書いろいろ
東京タワー葉書いろいろ



2009年 4月29日更新
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