No.11 大正時代のゼネラルマスクと、姫路駅まねきの絵葉書

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インフルエンザ関連のニュースを、今年ほど意識したことはありません。自分はどうにでもなりますが、0歳の赤ちゃんには、うつらないようにしなければいけませんから。なので、近所の病院で、医療従事者の人は2回打っていると聞き、「私も打ちます!」と、何年も打ったことないくせに、2回も打っちゃいました。実は気管支が弱いので、重症化しないようにと思いまして‥‥。高齢母は必死です。
ご紹介するのはマスクです。商品名は『ゼネラルマスク』。今のモノとは似ても似つかず、おどろおどろしいといいましょうか、不気味なデザインです。残念ながら本体はありませんでしたが、ケースがブリキというのはすごいですね。紙箱のモノは何個か持っていますが("その4 衛星優美・リリスマスクの巻"参照)、ブリキケースはこれしか見たことがありません。

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日本でマスクがつくられたのは大正時代だそうです。最初は工場で使用する粉塵よけとして誕生しましたが、大正8年にスペイン風邪(今でいうところのインフルエンザ)が大流行し、予防用としてマスクは注目され、メーカーが乱立するほど売れたそうです。どうりで、たくさん種類があると思いました。当時のマスクは、カラスのクチバシのように黒く、枠組みは真鍮製で、呼吸する部分は金網が使われ、全体は布やベッチン、革などでつくられました。けれど、真鍮などの金属は吐息で錆びてしまうため、金属からセルロイドに代わり、その後、枠のない布地だけのマスクになっていったそうです。
ゼネラルマスクの裏面に書かれた説明書きを読むと、「ゼネラルマスクヲ御使用セラルル時ハ 一般ノ流行病ヲ 未然ニ防止シ 且ツ此レヲ根絶ヤシムルル効果アラシムルモノナリ」と書いてあります。このマスクを使用するだけで、病気を防止するだけでなく、病気を根絶やしにできるとは、なんとも素晴らしいマスクです(無理なのでは?)。ケースの大きさは、横幅7.3センチ、縦6センチ、厚さ2.5センチで、マスクの仰々しさに比べると、コンパクトなモノに思えます。形状は違えど、今から90年前の日本でも、現在と同じようにインフルエンザを恐れ、マスクで予防していたのですね。私もかからないように、マスクはもちろんですが、手洗いとうがいを頑張りたいと思います。なんといっても、今年の東京は、2月6日まで38日間も乾燥注意報が続きました(継続日数は歴代第2位だそうです)。それに、インフルエンザも患者数が15万人を越え、今シーズンはじめて警報レベルを越えたそうです。

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おしまいに、マスク姿の絵葉書をご紹介します。マスク姿といっても、食品衛生上のために使用しているのですが‥‥。姫路駅の"まねき"というお店で、お弁当づくりの作業中を写した絵葉書です。顔の大きさに比べて、マスクは小さく、黒いのが印象的ですが、当時から衛生面に気を配っておられたことが、うかがい知れる1枚なのです。この"まねき"こと"まねき食品"について、検索してみたところ、姫路駅名物「えきそば」の会社でした。立派なホームページがあり、社史も紹介していますが、それによると明治21年に創業され、翌22年より姫路駅にて、日本初の経木入り幕の内弁当を販売したそうです。現在も会席料理、折詰、お弁当、お菓子などの製造販売から、レストラン、麺類店の経営までしておられますが、まねきの「えきそば」のほうが、わかる方が多いのではないでしょうか。なんといっても、日清食品からカップ麺まで発売されているのですから‥‥。味はもちろんですが、きちんとした衛生管理の様子を、昭和初期から絵葉書に残しておられることも、素晴らしいと思いました。

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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このページは、さえきあすかが2011年2月 8日 18:06に書いたブログ記事です。

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