わが家には、比較的キャラクターモノは少なく、へんてこなガラクタばかりいるのですが、前回、戦前の漫画『こぐまのコロスケ』が描かれた子供茶碗をご紹介したので、今回も戦前漫画"正ちゃん"のコースターをご紹介したいと思います。‥‥と、その前に、正ちゃんとは、大正12(1923)年から『正ちゃんの冒険』(画:樺島勝一 作:織田小星)というタイトルで、描かれた有名な漫画です。主人公、正ちゃんのトレードマークである、大きなボンボンが頭上についた毛糸の帽子は、「正ちゃん帽」と呼ばれ、当時の子供たちの間で大流行したそうで、キャラクター商品の先がけなんだとか。
復刻版『正ちゃんの冒険』(発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館)を読んでみると、正ちゃんの服装や、色使いのセンスのよさに驚かされます。書斎のシーンもありますが、木製の立派な机を前にして、水色の布製のゆったりとした椅子に足を組んで腰掛ける正ちゃんに、私もこんな書斎が欲しい! なんて、真剣に思ってしまうほどです。相棒であるリスも愛敬があって、可愛らしく、見ているだけで、ほのぼのしてくる絵柄に、子供たちがあこがれたのは、よくわかる気がします。
当時流行をつくった正ちゃんは、新しいモノがよく似合います。それは、私の手元にいる、直径75ミリほどの陶器製コースターにも描かれていました。
・海の上を悠々と飛行する、大きな飛行船を眺める正ちゃんとリス。
・湖の向こうに見える巨大な五十の塔を、カメラで撮影しようとする正ちゃんとリス。
・倒れた木に腰掛け、なにやら楽しそうに話す正ちゃんとリス。
飛行船とカメラが描かれているだけでも、昭和初期のあこがれが伝わってきて、嬉しくなります。このコースターの上にグラスを置いて、何を飲んでいたのでしょう。なんだか、とても美味しそうに思えます。ちなみに、コースターと出会ったのは、阿佐ヶ谷にあった骨董屋です。オーナーも気に入っておられたのか、白い壁にかかっていました。もう少し飾っていたいようでしたが、なんとか譲っていただき、喜んでつれて帰ったことを、よく覚えています。
2月中旬の話になりますが、浅草橋にある"顔が命の吉徳"で、娘の雛人形を買いました。たくさんある中で、パッと目があった、とても優しい顔の人形を選び、こんなふに、穏やかに育ってほしいと願います。その後、自分用に正ちゃん帽を買いました。どこで買ったのかというと、オープンした時からずっと行きたいと思ってきた、高架下ショップ、"2K540 AKI-OKA ARTISAN"です。オープン当初、連日テレビで紹介されていましたから、ご存知の方も多いと思いますが、その中の帽子屋"イフティアート"で、買いました。ちょうど50%オフでお買い得だったのも嬉しく、毛糸の帽子は、あったかくて、ボンボンも可愛らしく、シンプルな仕上がりなのも気に入って、そのままかぶって帰ったのでした。
この商店街では帽子をはじめ、絣製品や竹製品、つげ櫛、やきもの、鞄、傘にアクセサリーなどなど、きちんとつくってあるモノを、一同に見ることができます。薄暗い高架下を上手く活用し、小さなお店がギュッとつまっている感じは、とても楽しげで好きなのですが、「ニーケーゴーヨンマル、アキオカ、アルチザン」という商店街名(?)は、いいにくいし、覚えにくいと思っているのは私だけでしょうか。
さて、今日は自転車で散歩をしていたら、コスモスの花を見かけました。もう、秋なのですね。もう少し寒くなったら、正ちゃん帽をかぶって出かけたいと思います。