No.70 米子ほんどおり商店街からきた小皿と、石巻の鯖味噌煮缶詰

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米子には、ずらりと長く続く、アーケードのある商店街があります。"笑い通り商店街"、"米子ほんどおり商店街"、"元町サンロード商店街"と、3つの商店街名にわかれていて、帰省して5日目、その中の米子ほんどおり商店街にある骨董屋で、この小皿と出会いました。雪だるまのような、つぶれた鳥の絵柄に惹かれ、今回の里帰りの記念にと、瞬時に購入したのです。‥‥なぜ、瞬時かというと、抱っこしている娘が、歩きたがってぐずりますから、なによりスピードが命なのでした。このお店は、6年くらい前から営業しておられるそうですが、店内には染付や印判などの食器類に、古民具や古時計、箪笥などが並んでいました。余裕があれば、じっくり見たかったのですが、仕方がありません。簡単に包んでもらい、リュックにポンと入れて、慌ててお店を出ました。

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この日は、旦那サンが朝一番の飛行機で到着。近所の神社でお参りをし、お墓参りをして、皆生に宿をとりました。荷物を旅館に置いてから、ふらりと商店街の探検です。しかし、2年ぶりに訪れた米子ほんどおり商店街は、様子が一変していました。途中のアーケードがなくなっていたのです。最初に見た時は、自分の長年の記憶にない景色が、突如として現れたので、一瞬どこにいるのかわからないほどでした。それもアーケードがないだけでなく、歩道の両端に緑が植えられ、散歩道になっていたので、ものすごく雰囲気が変わりました。長年頑張っておられる書店も、明るいイメージになっており、驚きつつも、これはこれで、すっきりしていていいかも‥‥と思いました。

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アーケードを撤去した理由は、今年はじめの大雪も原因のひとつですが、なにより老朽化したアーケードを、修復する予算が不足しているからだそうで、今後アーケードは撤去されていくそうです。

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元町サンロード商店街に入ると、アーケードの撤去工事をしていました。鉄骨の骨組みがむき出しになったアーケードを見上げながら、私は工事を見ることができて、本当によかったと思いました。帰ってきた時に、全部のアーケードがなくて、商店街全体がイメージチェンジをしていたら、寂しい気持ちになったと思うからです。

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笑い通り商店街と、米子ほんどおり商店街の途中まで、平行して流れる旧加茂川には、商店街の商店や民家に向けて、沢山の橋がかかっています。つまり、アーケード側と川側から入ることができるわけで、この光景は、当たり前のことのように思ってきましたが、旦那サンに、「自分の家用に橋があるのって、かっこいいよなぁ」といわれ、考えてみたら、すごいことだと再認識しました。

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この橋がたくさんかかっている辺りは、米子ほんどおり商店街ですが、若い人たちが新たにつくりだしたお店が何件もあります。その中に、手づくりのモノをメインに扱っている雑貨店があり、デンと置いてある陶器製の茶色い湯たんぽに、戦前の代用品としての、陶器製湯たんぽしか知らなかった私は、「今も陶器製の湯たんぽって、つくっているんだ」と、新鮮な思いで眺めました。

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そして、そこで販売されていたのが、石巻市にある木ノ屋石巻水産の金華さばみそ煮缶詰です。テレビで何度も報道されていましたが、津波で流され、瓦礫の下に埋まった缶詰を、中身は問題がないということで、発掘して、ていねいに洗って販売した物です。私も買いたいと思っていたのですが、なかなかパッと買いに行くことができずにいました。そんな缶詰に米子で出会えるなんて(それも全額義援金になります)。ご縁と思い、買って帰ることにしました。東京に戻ってから、食べたのですが、缶を開ける時は、あの大きな津波の中を、沢山の瓦礫などと一緒に流れていたのかと思っただけで、言葉にできない気持ちになりました。味は濃くがあって、とても美味しく、今後も買っていきたいと思います。

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それにしても、海がすっかり気に入った娘は、この数日間で、動きがとても早くなりました。 

 


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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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このページは、さえきあすかが2011年11月25日 09:50に書いたブログ記事です。

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