2015年8月アーカイブ


253-6.jpg
今年は終戦から70年の節目の年。それに関連しての特集や報道を、テレビをはじめ雑誌や展覧会など、さまざまな場所で目にすることが多いですね。

上にチラシを掲げた「衣類が語る戦争」展も、そのひとつといえるでしょう。何より、私の尊敬する蒐集家であるH氏が、ご自身のコレクションを提供されたと聞いては、見に行かずにはおられません。今月末までということもあって、旦那さんと娘を連れ、家族3人で行ってきました。

場所は、新宿駅から甲州街道を西へ向かったところにある、文化学園服飾博物館です。私も旦那さんも、新宿には縁薄い方で、娘はもちろん初めて。高いビルが立ち並ぶ繁華街に興味しんしんで、親ともどもお上りさんのようにキョロキョロするしまつ。館内に入ると、平日の午後という時間でありながら、年配の女性でにぎわっており、みなさん熱心に展示を見ておられました。

253-1.JPG

会場に展示されている品の点数は、思ったより多くない印象でしたが、よく知られている戦時中の国民服にはじまり、戦車や飛行機が描かれた子供着、不要な着物を改造することで生まれた更生服、代用材料のドレスなど、当時の世相を垣間見れるものばかり。
感心したのは、先の戦争だけでなく、日清・日露から、第一次大戦当時のモノまで展示されていたこと。戦争が衣服や布製品に及ぼした、デザインや素材への影響には、ここ数十年だけでない長い歴史があることがわかりました。勉強になるなぁ。

253-2.JPG

気になるH氏所蔵の展示品は、紙縒糸(紙の帯を細い糸状に縒ったもの)で織った服や、スフ(ステープル・ファイバー、合成繊維の一種)製の服など、傷みやすく保存が難しい素材の品が少なくないにもかかわらず、いずれもとてもよい状態だったのが印象的でした。骨董市でお会いすると、常に厳しい目で品定めをしていたHさんの様子が思い出されて、「さすがだなぁ!」と、尊敬の思いが増したものです。

当時のモノたちは、時間がたって色あせているせいもあってか、どうしても暗い色合いのモノが多くなってしまうのですが、そんな中で子供服だけは、色遣いが華やかなだけでなく絵柄も斬新ときていて、物資の乏しい中でもわが子の成長を願う親の姿が垣間見え、一児の母としてはついつい見入ってしまうのでした。

そうそう、一緒に行った旦那さんは、紙縒糸で織った女性服や、ミノムシの蓑袋を平たく伸ばして継ぎ合わせた鞄に、特に関心を示しており、人が編み出す工夫というもののすごさに驚いていました。
セミのぬけがらを生のまま(!)持ち歩くのが好きな娘に、「ミノムシのおうちで鞄がつくれるよ」なんて話したら、「自分もつくる!」って、ミノムシ探しの旅に出そうだな‥‥、なんて思ったりして。

展示は衣服にとどまらず、洋裁研究雑誌「装苑」の戦時中の号や、木や貝でできた代用品のボタンなど、関連するさまざまなモノまで押さえているあたり、さすが服飾博物館。
娘とこういう博物館へ来たのは、はじめてのことでもあり、落ち着いてじっくり見るというわけにはいきませんでしたが、以前にくらべるとだいぶききわけがよくなって、静かについてきてくれるようになりました。今後もなるべく、こういう機会をつくっていきたいですね。


【 お ま け 】
早いもので、8月も終わりますね。最後の週に入ったとたん、急に気温が下がって朝は18度です。びっくり! そんな秋の知らせとともに、義理の父の一周忌があります。昨年の今ごろは大忙しでしたケド、この一年、本当に早かったなぁ。

253-3.JPG

8月のはじめには、故郷にも帰ってきましたが、暑かったです。連日晴天で、雨の心配ゼロ。そんな山陰も珍しく、いい時に帰ることができたと感謝しています。そうそう、地元では素敵な古道具屋さんを発見しました! 次回ご紹介しますね。

253-4.JPG

朝早くからテンション高めの娘、水平線から出てきたばかりの朝日を前に、さっそくシャボン玉遊びです。

人気ブログランキングへ  
252-1.JPG

長さ9.5センチ、高さ5.5センチという、手のひらに乗るくらいの、小さな木でできたぞうさんのおもちゃ。絵の具でつけられた色はかすれ気味で、上塗りされたニスもむらがあり、決して丁寧とは言えないつくりですが、駄玩具そのものの素朴さに魅力を感じて、骨董屋さんの古い棚の中から手に取ってみました。

転がしてみると、カラカラと音を立てて軽やかに走ります。錆びて茶色くなった車輪は、ブリキのプレスを二枚あわせたもので、釘で板に打ち付けてあるだけというこれまた素朴な感じ。娘も「かわいい~」と気に入ったようだったので、我が家の仲間としてお迎えすることにしました。

252-2.JPG

最初に見たときは、ぞうさんが右を向いた状態だったので、台座に書かれた「薬庭家の界世」の文字が目に入りました。ははあ、薬屋さんで配ったようなノベルティか、とすぐ見当がついたところでひっくり返してみると、「ムターレソンメ」! なるほどメンソレータムなら、「世界の家庭薬」のフレーズも納得です。つくりからして、まず戦前製と思って間違いないでしょうから、近江兄弟社時代のノベルティではないでしょうか。

本当に子供の手に渡ったのなら、この素朴なつくりからして、すぐに壊れてしまったでしょうから、大人の手でどこかにひっそりとしまわれて、大切に保管されていたに違いありません。きっと私のような小物好きのお母さんがいて、「子供に壊されたら、ぞうさんがかわいそうだわ‥‥」なんて、引出しの中にこっそりしまい込んだのかも‥‥と、あれこれ想像してしまいました。


【 お ま け 】

252-3.JPG

我が家には、お友達の絵本作家、たごもりのりこさんの絵本がたくさんあります。最近、字が読めるようになった娘は、たごもりさんの絵本はどれを開いても、見返しに「〇〇〇ちゃん(娘の名前です)へ たごもりのりこ」と、自分あてのサインが入っていることに気づき、嬉しくて仕方がないようです。
以前、娘を連れて個展にうかがったときは、まだ赤ちゃんで何もわかりませんでしたから、今度たごもりさんとお会いしたら、「絵本を描いた人だ!」と、きっと大喜びすると思います。

そうそう、絵本といえば、携帯用の絵本なんてあるんですね! 単に小さい絵本、という意味ではなく、既刊のよく知られた絵本が、絵柄も装丁もそのまま、ぎゅっと縮小されているのですから、ステキじゃないですか! 
写真の「はらぺこあおむし」は、縦10センチ、横13センチという可愛らしいサイズで、「愛蔵ミニ版」というのが正式名称みたい。娘との旅行のときに持っていこうと、三冊買っちゃいました。

人気ブログランキングへ  
...トップページへ

Author


    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

さえきあすかの本

Powered by Movable Type 5.03

2015年9月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

このアーカイブについて

このページには、2015年8月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2015年7月です。

次のアーカイブは2015年9月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。