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「ら〜めん路漫避行」タイトル

第33回弾薬庫ばかりの"子供のくに"
〜たどりついたらいつも行列・来来亭
刈部山本

今回は久々に東京23区を離れ、渋谷から東急田園都市線で神奈川県へ向かう。
車窓の風景が嘗て山でなにもなかった土地を拓いたと喚起させる頃、長津田駅に到着。ここからこどもの国へと向かう総延長3.4kmという非常に短い東急こどもの国線が延びている。こどもの国は児童厚生施設と冠されているようにアトラクション主体の遊園地ではなく、簡単なゴーカートの他は牧場や動物園、キャンプ場、サイクリングコースといった、自然の中で家族がのびのびとピクニック気分を味わう場所といった位置づけにある。
そんな平和的な施設も、嘗ては旧日本軍最大の弾薬製造貯蔵施設で、戦後、田奈弾薬庫として進駐軍に接収される。だからこどもの国線も長津田から弾薬を運ぶ軍用線だった。
初乗り運賃がかかる独立した線区で、車両も横浜高速鉄道のY000系という電車がやってくる。

横浜高速鉄道Y000系

短い2両編成の車両に揺られること数分で、小さくて可愛らしい駅舎のこどもの国駅へ到着。

中央広場

入園すると、中央広場へと続くだだっ広い道に巨大鏡餅が鎮座していた。行ったのがまだ正月三が日だったからだろう。子供は大はしゃぎでお母さんは携帯で写真撮影に忙しい。

巨大鏡餅

園内をぐるっと周れるよう歩道が整備されている。この道沿いに旧日本軍の弾薬庫の遺構が点在している。正式名称は「東京陸軍兵器補給廠田奈部隊・同填薬所」といい、1941年(昭和16年)に造られた。弾薬庫が米軍から返還されたのを期に、1959(昭和34)年に皇太子殿下ご結婚を記念して、祝い金を基にこどもたちの健全育成のための施設として1965(昭和40)年、開園した。入園口から脇に逸れた小高い丘の頂上、嘗て軍の工場で働かされた勤労女学生の休憩所だった場所に「平和の碑」も建てられている。

平和の碑 勤労女学生休憩所

この周辺は先ほどの家族連れの喧騒がうそのように静まり返り、自分以外誰もおらず、こうした部分はあまり顧みられてない気がした。

歩道上に2箇所トンネルが存在する。

第一トンネル 第一トンネルUP

先がすぐ見えるほど短いものだが、入口の焼けただれた様な岩肌を持つグロテスクなテクスチャーとトンネル内の暗さが来るものを阻むほどの威圧感を与える。周囲の家族客は慣れているのか何事もなかったかのように通り過ぎるが、自分ひとり怖ぇ怖ぇとビビっている。

トンネルを過ぎグルッと園内を半周する間に弾薬庫は点在している。

弾薬庫

そのどれもが階段を数段上ると入口に出る造りで(この段差部分はトラックの荷降ろし用だったらしい)、周りは石を積んで固めてある。門扉は硬く閉ざされ、銅の葺いた様な錆びたエメラルドグリーンが見る者を圧倒する。

扉と小窓

通風孔だろうか、扉の両サイドに小窓が設けられている。ここから内部の様子が見えるはずだが、光が届かずその様子を窺い知ることは出来ない。実際はただのコンクリートの空間にも拘らず、この闇に包まれている雰囲気が恐怖心を増大さる。
そして内側にもうひとつ木製の扉も存在するようで、風穴から内扉が塞がれた様子が窺えるものもあった。

小窓の奥

全ては流石に紹介しきれないので、グーグルMAPに大体の場所とその写真をUPした。今回はいつものルートMAPではなく、こちらを参照いただきたい。

なお、航空写真と睨めっこして場所を割り出したので、実際の場所よりズレていたりするので、目安程度にしていただきたい。それにこれが全てではなく、聞くところによると埋められたり湖底に沈んだものなど含めると33基程度あるのだそうだ。

とにかく園内は広く、単に遊びに来るだけでも遊びつくせないほどだ。弾薬庫を回るだけでもヘバってしまった。弾薬庫の他にも高射砲台跡などあるらしいが、またの機会にとっておきたい。へぇ、疲れた。
汗を流し疲労と取るには温泉!というわけで、長津田に戻り田園都市線の終点、中央林間で下車。ロータリーで送迎バスに乗り、座間市へGO!

送迎バスは県道50号座間大和線をひた走る。これまでの田園都市的風景から一転、工場や倉庫の合間にファミレスなどが顔を覗かせる郊外ロードサイドビュー。

湯快爽快ざま外観

やや和風を装ったスーパー銭湯に良くある外観がお出迎え。
湯快爽快ざま入口

湯快爽快ざま
10:00〜03:00(02:30受付終了)
神奈川県座間市広野台1-48-25【地図】
原則無休
http://www.yukaisoukai.com/zam/

施設的には充実しているが敷地面積がそんなに広くなく、2Fの食堂スペースの奥に浴場があるという珍しい造り。 屋内浴室は洗い場にジェット系の風呂とタワーサウナ。アリガチな構成でコンパクトにまとまっている。三が日とあって只の白湯の大きな湯船でさえ客がぎっしり。
なのでそそくさと露天風呂へ。中央に源泉風呂と加温。壁際にゴロ寝風呂と打たせ湯、温泉あつ湯。超サムイ中、速攻で源泉風呂へ向かうが、これが激烈にヌルい。かけ流しで加水なし・加温なし38.6℃と聞いていたが、これは湧出時の温度で、貯まった温湯はもっとヌルいはず。ヌル好きとしても流石にキツく、隣の加温湯と行き来しながら過ごした。
湯自体は濃い目の黒湯ながらクセはそんなになくサラっとしている。これが実に長湯に向きでいくら入ってても全然飽きない。ほぼ90分入り通してしまった。
以前は大人平日1400円休日1700円でタオル2種に館内着込み、TV付きリクライニングチェアに映画ルーム利用と1日ゆったりできるコースのみだったが、2時間までのお手軽コースやカラスの行水コースで風呂だけの客をキープしつつ、長時間客のスペースは土日でも込み合わず、顧客はゆっくりできるようにした。この日は時間の都合でお手軽コースお手軽土日1000円。施設的には一般的なスーパー銭湯より物足りないくらいなので、それでも割高感は否めない。しかし泉質的にも凄いというほどでもないが、これだけユックリできる湯なのだからそれだけの価値はあると思う。是非空いてる平日に再訪したい。
ともあれ、夏とか暖かい時だったらこの源泉風呂は最高だろう。聞くところによると、キャンプザマの戦闘機がみえるときがあるそうなので、是非お目にかかりたい!

帰りは送迎バスではなく歩いて小田急線の相武台前まで出ることに。徒歩15分以上距離があるのだが実は、湯快爽快と駅との丁度中間くらいに、昨今マスメディアでも取り上げられる、西日本を席巻するラーメンFCチェーン来来亭があるのだ。
京都から始まった店なのだが、濃いめの醤油スープに沢山の背脂が浮かび、その上に青ネギがバカ盛りされる、典型的な京都ラーメンスタイルをとっている。実はこの手の京都ラーメンに目がないのだ。関東初上陸店ということで、ここまで来て行かない訳がない!
来来亭外観

来来亭
11:00〜24:00
無休
神奈川県座間市相武台1-54
【地図】
http://www.rairaitei.co.jp/

着いてみると、もう人・人・人。来来亭はロードサイドを中心に展開する郊外型店舗なので駐車場が広く、車の中でも皆順番待ちをしている。番号を貰って待つファミレス的なシステムで、一応ストーブのあるビニールカーテンで覆われた待合室もあるのだが、とても入りきれない。どうもテレビに出てまもなくの正月休み中、それも晩御飯時という、一番混雑した時間に当たったようだ。
そんなこんなで50分、ようやくカウンターに着き、こってりラーメンの登場!

こってりラーメン

なんだか白っぽいスープだが、こってりは通常のラーメンとは違うスープのようだ。フツーのラーメンでも脂多めにできるが、こってりはさらに脂が多いだけのものではないようだ。
失敗したかなぁと思いつつも、スープを飲んでみると実にふくよかなスープで、タレの味が主張しておらず、加えて唐辛子が若干効いているから素材の味わいがダイレクトに来ず、スープ全体として独特の味わいを形成している。唐辛子と青ネギと背脂・硬めなのにスグ柔らかくなっちゃうストレート麺・動物系白濁スープがいっしょになると、なんとも言えぬ満足感がある。
こちらはセットの定食メニューが充実しているのもウリなので、半チャーハンとのセットにした。

半チャーハン

色見が黒っぽいが、味は大人しめ。アンチ・パラパラチャーハン派としては、やや油多めでべっちゃりしているのが嬉しい。
チャーハンはミニだけあって少なめだし、ラーメンも西日本らしく少なめ。お得感は薄いかもしれないが、700円オーバーのラーメンが当たり前の世の中にあって、ウンチク系のラーメンとは違った(それはそれとして)、家族連れでも楽しめる、当たり前のものが当たり前に美味しいラーメンが、チャーハンも付いて1000円で釣りが来るのは、かえって貴重かもしれない。なので、遠くまで電車賃かけて並んで食べるタイプの店じゃないが、次機会があったら、牛レバー唐揚げ定食を通常のラーメンで麺硬め背脂多めネギ多め味濃いめ唐辛子抜きで食べたい。ここはゼヒ、関東全域に展開して、どこでも気軽に入れるようになってほしい。

参考サイト:
こどもの国公式HP http://www.kodomonokuni.org/
WILD WIND「稲城と田奈の弾薬庫跡」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~a-uchi/haibutu/index4m.html#tana



刈部山本

刈部山本(かりべ・やまもと)とは・・・
ラーメンなどのB級グルメを主食とし赤線跡・軍事遺跡・レトロ建築等を巡る路地裏徘徊人。
東京の下町、谷根千の路地裏でカッフェーを自営。スペシャルティ珈琲・想いやり生乳・自家製ケーキで持て成す。サブカル・町歩き等の古本・ミニコミが並ぶ一角も。
結構人ミルクホールHP http://kekkojin.heya.jp/




2010年2月24日更新


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