今回ご紹介するのは、昭和13年に発行されたカタログ通販の雑誌です。それも「百貨店経費を省いた、店ざらし商品絶無の、割戻しクーポン(金券)付の、新販売機関」というキャッチフレーズが書いてあり、「新販売」という文字から、カタログでの販売が、目新しいものであったことがうかがい知れます。発行元は"東京百貨株式會社"で、タイトルは『東京百貨型録・第三號』です(以下、型録ではなく、カタログとご紹介します)。
ご覧ください。なんて素晴らしい表紙なのでしょうか。古いモノが好きな方であれば、瞳がキラキラしてしまうような、ステキな表紙です(落書きがしてあるのが残念ですが‥‥)。それもカラーなのがいいですね。126ページにわたって掲載された商品の多さも見事で、昭和13年という時代に、こんなにお洒落で、ワクワクするモノたちが販売されていたのかと、驚きもしました。ぜひとも、ご縁があれば、ほかの号も入手したいものです。
さて、今回は『東京百貨型録』の中から、文房具(事務用文具)が紹介されているページを取り上げたいと思います。文房具だけでも7ページもあるのですが、あえてホッチキスやアイン紙綴器、鳩目紙綴器(ハトメパンチ)、二ツ穴、三ツ穴パンチが掲載されているページをご紹介します。というのは、何度かご紹介してきました無針紙綴器につなげて書きたいと思ったからです。
実は、『輸入・廃番文房具の発掘メモ』にて、無針紙綴器をはじめ、私のことまで取り上げていただきました。ありがとうございました。書いておられる、たいみちさんは、その後次々と無針紙綴器の仲間を発掘され、その様子に、欲しいと強く願っている時は、モノはやってくるということを、あらためて思いました。私も、そんな経験が何度かありますが、「そうだったんだ!」って、発見できた時の嬉しさは、思い出すだけでも、ニンマリとしてしまいます。
たいみちさんのHPは、タイトルからもおわかりのように、廃番になった文房具について、きちんと書いておられ、とても勉強になります。また、ブングテンや古文具市などにも参加され、カレンダーをつくっておられたりと(とても可愛い)、"文房具の伝道師"として、頑張っておられます。なんだかすごいです。私も古い文房具好きのハシクレとして、今後も少しづつご紹介していきたいと思っています。
話を『東京百貨型録』に戻しまして、昭和13年頃も、すでに紙を綴じる道具が、たくさん販売されていたのですね。それもカタログに載せるほどですから、現在より重要視されている気がします。無針紙綴器のように、針がなくても綴じれる商品でさえ、たいみちさんの紹介しておられるモノを見ると、複数でていますから、需要があったということでしょう。
ホッチキスといえば、以前ご紹介した、飛行船の形をしたホッチキスがありますが、飛行船以外にもライオンや鳩など、いろんな種類があるようです。事務用品なのですから、なにも形に凝らなくてもいいのでしょうが、そのこだわったデザインに遊び心が感じられ、当時デザインされた方のセンスのよさといいますか、心の余裕を感じてしまうのです。
それにしても、針不要の無針紙綴器誕生から93年が経ち、紙不要の時代になりつつあります。といっても、必要、不要のバランスをうまく取りながら、各人の判断(好み)で、選んでいける時代になってきました。私も残したい手帳は、毎年同じモノを買い、ちょこちょこと書いて、同じように整理していますが、それ以外は、パソコンの中に保存してあります。