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「脇役列伝」タイトル

ヒーロー研究家立石一夫

青春映画の常連、江原達怡


 先日、ケーブルテレビの日本映画専門チャンネルを見ると「お姐ちゃん罷り通る」(59年東宝・杉江敏男監督)を放送していた。
 ご存知”お姐ちゃんシリーズ”で、パンチ(団令子)ピンチ(中島そのみ)センチ(重山規子)の三人が主演。毎回のドタバタ劇が、当時の世相とマッチしたヒット作である。
 「大学のお姐ちゃん」を皮切りに、「お姐ちゃん三代記」まで計八本が製作されたことで、その人気振りを証明した。
 そしてこのシリーズにも、この人江原達怡が出演している。気弱、若者の苦悩、一転して冗舌と、東宝青春映画には欠かせないスターである。

江原達怡

 加山雄三の”若大将シリーズ”でも、毎回京南大学キャプテンとして存在感を見せている。若大将が太陽であるなら、江口は周期的に回る地球のような人物だ。青大将(田中邦衛)、久太郎(有島一郎)などと共に、若大将シリーズになくてはならない男であった。
 適度に男前で、それでいて好意を持つ女性にはハッキリ告げられない純情な青年。こんな役を演じるとこの人の右に出る者はいないようだ。
 故あって芸能界を去ってしまったことは、誠に惜しまれる。現在も俳優業を営んでくれたなら青春の残滓を、たっぷり我々に見せつけてくれただろう。純情で明るい江原も良いが、今ならすがれた初老の男優の素晴らしさが感じられたと思う。まるでスキ間家具のように、青春娯楽映画にピタッとハマった江原達怡がやけに懐かしい。
 現在私の娘のように二十代の人が見たら、この頃の東宝映画(他の会社でも)は、ダサいの一言で斬り捨てるかも知れない。だがそれは現在五十代以上の人々にとっては、ダイヤモンドにも替えがたいほどの輝きを放っている。これだけを書きたくて、江原達怡を登場させた次第である。


(生) S12.3.26
(学) 慶応大学文学部卒
S23年松竹「鐘の鳴る丘」に映画デビュー
S28年〜東宝で活躍。「椿三十郎」「赤ひげ」「若大将」シリーズには第14作「ニュージーランドの若大将」までレギュラー出演。H8年夢穂高美術館を開館。


引っ張るワキ役、小鹿番
踊る指揮者、スマイリー小原
不屈の魂、渡辺亮
男の土俵、北葉山
異質な時代劇役者、薄田研二
特撮王国の常連、佐原健二
強肩強打の吉原二世、藤尾茂
”パーっといきましょう”三木のり平
ハヤシもあるでヨ・南利明
ミスター・ニッポン「悪名」でブレーク
男性的な敵役、田崎潤
ボンドガールよ永遠に、若林映子
墓場よりの使者、ザ・マミー
アンパンは木村屋だけじゃない、団令子
悲劇の伊達男<Xイート・ダディ・シキ
おいちゃんは俺だ、森川信
非運のレスラー、G草津
当たり役、風車の弥七・中谷一郎
写真判定男、中村剛
柏鵬時代の反逆児、若羽黒朋明
”たこでーす”たこ八郎
重厚味満点の悪役、高品格
褐色の弾丸・房錦と潜航艇・岩風
黒い核弾頭、ルーター・レンジ
南部のタッグ屋、グラハム&ステンボート
女をなぜなぜ泣かすのよ、城卓矢
教師から俳優へ、戸浦六宏ロッコウ
フックの職人、勝又行雄
当たり役、沢田部長刑事の芦田伸介
名タッグ屋ハードボイルド・ハガティ
名唱ジャイアンツを偲ぶ
2人のもろ差し名人
ニヒルな敵役・成田三樹夫
女性コメディアンの第一人者・若水ヤエ子
知的でとぼけた名優・有島
哀愁のモゲラ
悪役・進藤英太郎賛歌


2006年9月29日更新
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