第35回 田端アパート限界ブルース 〜街道沿いの豚脂天王 |
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2年以上前から取り上げようと思っていたがタイミングを逃し続けていた案件がある。東京都は北区と荒川区の区界。交通量の多い明治通り沿いに聳えていた老朽化激しい1つのアパートメントハウスがあった。幸いにして取り壊す前に撮影することは出来ていたのだが、どういうルート取りで紹介しようか、なかなかいいモデルコースが浮かばず、今日に至ってしまった。
周囲には鉄工関連などの町工場が犇きあっていたが、昨今取り壊しが目立ち始め、遂には大物まで崩壊する始末(鉄工関連ではないが追って取り上げたい)。というわけで、早めに紹介できるものはしておこうと、今回は田端アパートメントハウスとその周辺をとり急ぎピックアップさせていただく。
最寄はJR田端駅と尾久駅の中ほど。田端駅からのルートはいずれじっくり紹介するとして、都道458号を小台方面へ北上すると500m程で明治通りにぶつかる。この角に田端アパートがあった。
ちょうど取り壊しが決まり周囲をフェンスで覆い始めた頃に撮影。しかしこの状態は1年以上続き、ある日突然解体が始まった。
写真の通り、表記が右から左になっており、竣工年は不明だが戦前のアパートであるとわかる。焼け爛れたようにコンクリートが黒く煤けたようになっている。
道路を渡ると俯瞰し過ぎ、近づくと局所しか取れないのでなかなかアパート全体をイメージしづらくて申し訳ないが、歩道から見上げるとこんな感じ。
ひしゃげた鉄製の柵が模様のようになっている。
鍵型の模様が入れ違いに配置されている。にしても黒いくすみといい、火事にでもあったようだが、燃えた様な痕跡は何処にもない。単なる老朽化だろうか。
この迫力ある圧迫感は側面の非常階段により現れている。
通りに面した正面が看板状態で何か付帯していたのだろうか、鉄筋が飛び出、3F部分の外壁が剥がれ、鉄筋が剥き出しになっている。
斑に黒ずんだ外壁と赤錆びた階段のコントラストがオドロオドロしい。日に当たらない部分が苔むしているのかカビているようで近づくと気持ち湿気っぽく感じる。
1F部分はスケルトン状態で空間が開いていた。こちらはテナントが入っていたのか、真新しく映る。
隣接…というか、くっ付く形でガス屋が入っていた。こちらも一緒に取り壊された。
現在この場所はコインパーキングになっており、アパートの面影はどこにもない。グーグルマップの航空写真からも、その更地っぷりが見て取れる。
ただ、斜向かいにある神殿のようなコンクリート建築が地歴という痕跡を残している。
レリーフも立派過ぎる程立派だが、こちらは酒屋だったというから驚きだ。
だが路地へ回り込むとひび割れた外壁がお出迎え。
実はこの原稿を書いていて初めて気づいたのだが、航空写真で見ると、一般的な木造家屋に良くある赤茶けた寄棟屋根になっている。つまりは両側面とも看板建築だったわけだ。
この朽ちた方(失礼!)の路地、西新井弘法大師道と呼ばれていたそうで、地図で確認すると確かに足立区の西新井大師へ行けなくもない。
また小台通りとも呼ばれていたそうで(小台の渡し:現在の小台橋付近までの道)、ここより田端駅寄りにある北田端新町郵便局付近にあった神ノ木稲荷は、人家の増加及び東北本線の拡張により、橋本屋酒店主人(当時)宅の庭に移されたのだそうだ【参照:Wikipedia田端新町「史跡」】。
この橋本屋酒店の脇にもあるが、北区・荒川区・文京区に跨る一帯には西新井大師や王子稲荷へと至る道標が一部残っている。旧街道を巡ってルート取りするのも興味深そうだが、それはまたいずれの機会にとっておこう。
さて、これだけ歴史ある町とはいえ、今となっては車の往来の激しい道。寂れた印象がありつつも、頑張っている背脂豚骨醤油味のラーメン屋はやはり存在する。明治通り沿い、田端アパートからほんの数十メートル先にあるのが、コチラ。
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麺屋 天王
11:30〜14:00/18:30〜23:00
東京都北区田端新町3-18-7
日曜休
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やっぱり闇夜に煌々と輝く看板がロードサイドには似合うやね。
大盛無料・背脂多めにもできるらーめんが絶品。スープも濃すぎず適度にジャンキーな味わいで、麺も細めながらしっかりしており、揚ネギと白ネギと背脂とスープのコンビネーションが見事だが、ここは敢えて油そばを紹介したい。だいぶ名も知れたとはいえ、まだまだ食べたことのない人の多いメニューだからね。
かくいう自分も最近になるまで食べたことがなかった。食べてもそもそもドライマウス気味なので、喉につかえて苦手だったのだ。しかし心配ご無用、麺の湯切りの後、水で〆てないのでやや麺がヌメるが、逆に食べやすくなってる。これよ、コレ!
太めの麺は噛み応えもあるが、柔いので顎も疲れない。麺の味も堪能できる。ここはメンマが独特で極太ながらゴリゴリしすぎず、適度な水っぽさがあっていい。無料で大盛にしてもサクっとたべられる。
こだわりまくりの凝った代物ではないが、オーソドックスなものがいつもしっかり出てくるという、見えないところでのシゴトの確かさは流石としかいいようがない。いい意味でジャンキーさを漂わせつつも、一定のクオリティで長続きさせる。これぞ街道沿いラーメンの鑑だろう。
そんな幸せを噛み締めつつ、周囲一帯を今後更に掘り下げていこうと決めた夜であった。
2010年 5月19日更新
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