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毎度毎度恐縮だが、いよいよ夏本番がやってきた！ この連載で夏本番といえばコミケ。拙B食裏町散策本の新刊が今年も出るというわけで、今回は本誌の一部を紹介すると共に、惜しくも掲載を見送った写真を一部公開。なお、新刊はスカイツリー景気に沸く向島をシニカルにピックアップ。永井荷風の足跡を追いながら、玉ノ井の赤線跡や東武白鬚線廃線跡を辿り、町に根付く中華屋・酒場に立ち寄る。詳細は当ページ下部のインフォメーションを参照頂きたい【インフォメーションへ】。 さてその中から鳩の街周辺を取り上げるとする。鳩の街といえば、赤線地帯。浅草は吉原の対岸、隅田川の東側すぐのところに、東武伊勢崎線曳舟駅へ向けて伸びる鳩の街商店街がある。この北側の一本裏路地にカフェー調の私娼が連なっていた。
と路地裏へ赴く前に、商店街に古くからある銭湯で汗を流してからにしよう。
入口は今様に改装されているが、見上げれば立派な千鳥破風の三角屋根が頭を出していることからもわかるように、相当歴史ある銭湯のようだ。
浴室に入るとまず目に飛び込んでくる、女湯とを跨ぐようにそびえる富士山のペンキ絵が見事だが、それ以上に目を惹くのが、女湯との仕切りにある、鈴榮堂の九谷焼に描かれた章仙画の裸婦。子供時分にはこういうのが嫌に記憶に残るんだよなぁ。 開店時間は15時となっているが、14時半くらいには暖簾が掲げられ、続々と人が集まってくる。こういう地域密着の銭湯は早い時間の方が混んでたりするとはいえ、イマドキここまで賑わってるのも珍しい。東京下町の銭湯の根付き具合をまざまざと見せつけられた気がした。 さてリフレッシュできたところで裏路地へと潜り込むとしよう。
これら以外にも、地蔵坂から白髭神社にかけての北側一帯には、下見板張りの木造家屋や、ヤレたトタン長屋、黒ずんだモルタルアパート等が多く残っている。ざっと写真でご覧頂きたい。
白髭神社裏辺りにはこんな看板も残っている。
下見板張りの平屋は、表の道路に面している部分は錆びたトタンで覆われていた。
というわけで、ここからはトタンコレクション。
小さいエリアながら歩くと結構疲れる。地蔵坂の商店街から水戸街道に出たところに、野菜が山盛りで提供される湯麺で有名な町の中華屋があるので、そこで腹ごしらえを兼ねて小休止としよう。
町に古くから根づいている中華屋さんとあって、さすが、ご主人から地元の昔話などを聞かせていただいた。そんな話を耳に残しつつ、宵闇迫る旧赤線街を再びそぞろ歩きつつ家路につくというのも、また贅沢なことである。
2010年 8月 8日更新
第35回 田端アパート限界ブルース〜街道沿いの豚脂天王 → |
