不思議なおかしみ、砂塚秀夫
砂塚秀夫のファン(誰にだってファンはいる)なら彼の代表作は「俺はども安」(S40年・フジテレビ)かも知れない。大体ども安という人物は、その昔の東映オールスター映画の「任侠清水港」で月形龍之介扮する黒駒の勝蔵にコキ使われるヤクザであった。そんなども安にスポットライトを当てたドラマは大変エラい。この時の共演者が青島幸男だからユニークである。
だが私なら砂塚の代表作として「ゴジラ・モスラ・エビラ南海の大決闘(66年東宝)を選びたい。
私も相当、東宝の特撮シリーズに熱を上げたクチだが流石に怪獣も出尽くしたなァと思ったのがこの映画であった。エビラはいかにも弱そうだ。タイやタコにパクパク食われるエビではとても主人公になりそうもない。
冗談はさておいて砂塚の演技は輝いていたようだ。何しろ当時、天下の二枚目俳優である宝田明とタメを張っての役柄だから彼ならざるとも力が入るところ。
エビラの是非は抜きにしてストーリーはテンポが良く個々の俳優も活々としていた。金庫破りに宝田、例によって(!?)悪役の田崎、怪獣映画の常連、平田昭彦と役者が揃っていた。
砂塚はいつもおちゃらけた雰囲気を微塵も出さずくそ真面目に芝居をしていた印象が強い。この映画に華を添えたのが水野久美だ。舞台が南国の島なので終始半裸で活躍、怪獣目当てのチビっ子には目の毒であったろう。
この映画の見所にゴジラと、エビラの岩石の投げ合いがある。エビラは往年の南海のエース、杉浦風のアンダースローでゴジラに岩石を投げ返す場面は笑えた。
話は元に戻してども安だ。映画と違ってテレビでは、ども安の弟分が勝蔵になっている。時代劇でありながら、青春ドラマのノリで制作されていたようだ。
甲州は御坂のふもと 右にそびえる大菩薩
どうしてこの世はこうなんだ武居のども安 心で吠えた ドラマの切れもよかったが矢野林三のナレーターも冴えていた。
ほとんどの作品で三枚目として使われた砂塚であるが、二枚目半的役柄で他の役者との違いが目立っていた。その辺を上手に引き出す演出家や、監督がいれば彼の存在はもっと重かっただろう。
(生) T7.8.7
(出) 静岡県熱海市
(学) 日大芸術学部卒(S31年)
民芸、俳優座養成所で学び、S36年東宝「顔役暁に死す」で映画デビュー。以後、映画とテレビにかけもちで出演。味のある日本的なおかしさが注目される。 |
映画史上に残る悪玉役者
クレージーきってのミュージシャン
クレージーキャッツは僕の原点、犬塚弘
青春映画の常連、江原達怡
引っ張るワキ役、小鹿番
踊る指揮者、スマイリー小原
不屈の魂、渡辺亮
男の土俵、北葉山
異質な時代劇役者、薄田研二
特撮王国の常連、佐原健二
強肩強打の吉原二世、藤尾茂
”パーっといきましょう”三木のり平
ハヤシもあるでヨ・南利明
ミスター・ニッポン「悪名」でブレーク
男性的な敵役、田崎潤
ボンドガールよ永遠に、若林映子
墓場よりの使者、ザ・マミー
アンパンは木村屋だけじゃない、団令子
悲劇の伊達男<Xイート・ダディ・シキ
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”たこでーす”たこ八郎
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褐色の弾丸・房錦と潜航艇・岩風
黒い核弾頭、ルーター・レンジ
南部のタッグ屋、グラハム&ステンボート
女をなぜなぜ泣かすのよ、城卓矢
教師から俳優へ、戸浦六宏ロッコウ
フックの職人、勝又行雄
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2人のもろ差し名人
ニヒルな敵役・成田三樹夫
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2007年3月15日更新
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