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「脇役列伝」タイトル

ヒーロー研究家立石一夫

さいざんすはトニー谷


 ボードビリアンの、トニー谷のことを書くと、原稿用紙が何十枚あっても足らないだろう。近年では村松友視が、「トニー谷、ざんす」(毎日新聞社97年)を出版した。

トニー谷

 トニー谷ほどアクの強い芸人は少ない。51年に日劇ミュージックホールの司会者兼タレントとなりスターダムに。ソロバン片手に東京弁と怪しい英語をミックスした語りは絶妙であった。”さいざんす”、”おコンバンワ”は当時の流行語に。
 彼が舞台で「レディス・アンド・ジェントルマン、アンド・おとっつあん、おっかさん」「バッカジャなかろうか」とやると客席は爆笑の渦が巻き起こった。
 八頭身美人が話題となった、テレビの創世記でもあった。人気絶頂期に、長男・正美ちゃんが誘拐され、身代金二百万円が要求された。トヨペットクラウンが百一万円の時代だ。無事に長男は戻ったが、「浅草紳士録」(野一色幹夫 朋友社)には興味深いことが書いてある。仲間内や、マスコミで嫌われていたようで、記者の中には「犯人は、親父のトニーじゃないかな?」というものだ。花月劇場時代、世話になったY先生を自分の人気が出て来ると「Yちゃん」呼ばわりしたこともある。
 彼の人柄はともかく、私のとってトニーは本当に面白いスターであり、大衆にも強く支持された。中学生時代、地元の葛飾公会堂(現シンフォニーヒルズ)で、「アベック歌合戦」の公開録音を見たことがある。「アナタのお名前なんてえの」と拍子木を鳴らすと、会場は熱気と興奮で一杯となった。正美ちゃんののちの学友に、アイドル歌手となった安達明がいる。
 私が見た生のトニーは輝いていたが、今冷静に思うとゲストの林家三平、仲宗根美樹の方が人気があったようである。拙著「冗談劇場」でも彼を登場させた座談会がある。参加者は、月光仮面にウルトラマン、スーパーマンの豪華版である。


(生) T6.10.14
(没) S62.7.16
<出身> 東京、日本橋小伝馬町
<本名> 大谷正太郎
不遇の少年時代を送るも、兵役後S20 12月アーニーパイル劇場製作部助手を経て司会者に転向。ソロバン音楽で一躍人気者に。


学園のマドンナ、小林哲子
”血はリングに咲く花”世界タッグ選手権者グレート東郷
不思議なおかしみ、砂塚秀夫
映画史上に残る悪玉役者
クレージーきってのミュージシャン
クレージーキャッツは僕の原点、犬塚弘
青春映画の常連、江原達怡
引っ張るワキ役、小鹿番
踊る指揮者、スマイリー小原
不屈の魂、渡辺亮
男の土俵、北葉山
異質な時代劇役者、薄田研二
特撮王国の常連、佐原健二
強肩強打の吉原二世、藤尾茂
”パーっといきましょう”三木のり平
ハヤシもあるでヨ・南利明
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悲劇の伊達男<Xイート・ダディ・シキ
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2007年7月4日更新
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