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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-50.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第34回 『黄金虫』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『黄金虫』です。
 「黄金虫は金持ちだ…」で始まる『黄金虫』。大人になると幼い頃聞いた童謡のメロディーがうろ覚えになることがありますが、この歌のメロディーは強烈なため覚えている方も多いでしょう。作詞者は野口雨情、作曲者は中山晋平。『證城寺の狸囃子』と同じコンビです。



『黄金虫』(『金の塔』大正11年7月号 に発表。歌詞は『定本野口雨情 第四巻』未来社 昭和61年 収録のもの)
 作詞 野口雨情(のぐちうじょう、1882−1945)
 作曲 中山晋平(なかやましんぺい、1887−1952)

 

碑

 

 黄金虫は
 金持ちだ

 金蔵建てた
 蔵建てた

 飴屋で 水飴
 買つて来た

 黄金虫は
 金持ちだ

 金蔵建てた
 蔵建てた

 子供に 水飴
 なめさせた。

 

 キラキラしたコガネムシを「お金持ち」に見立て、その暮らしぶりを空想した歌ですが、金蔵や蔵といった住まいの外観、子供に水飴を買うという行為を挙げて、幼い子供でもお金持ちが理解できるようにしてあります。とはいっても、ここでの「お金持ち」はあくまで大正時代のお金持ち。今日のお金持ちは、お金は銀行に預け、お米や商品、美術品はそれぞれ専用の倉庫で保管していますので、自宅に金蔵や蔵を建てる必要はありません。また甘味も昔に比べ高級化してますから、「パティシエ特製の高級ケーキ」あたりを出さないと金持ちの子供は満足しないでしょう。今の子供にとって理解しづらいこの歌は、やがて消え行く定めなのかもしれません。

マメコガネ

マメコガネ

 ちなみに、コガネムシの仲間で私達がよく庭で見かける「マメコガネ」は、ダイズ、アズキ、ブドウの葉っぱ、バラの花などを食べますが、大正時代にアメリカに渡り、今日「ジャパニーズ・ビートル」と呼ばれて農業関係者に恐れられています。日本から輸出された花の苗木についていた幼虫は、アメリカに天敵がいなかったこともあって健やか(?)に成長し、みるみる全米に広がったのです。アメリカ人にとってマメコガネは、「お金持ち」どころか不作をもたらす「貧乏虫」なのです。
 さて、『黄金虫』の歌碑ですが、前回の『四丁目の犬』でもご紹介した茨城県北茨木市の常磐自動車道・中郷サービスエリア[上り線]内の庭園の中に建てられています。ここから最寄り駅のJR常磐線南中郷駅までは、山道を歩いて下って2時間弱。途中日帰り温泉施設などもありますので、足に自信のある方はピクニック気分で駅に戻られるのもいいでしょう。


[参考文献

『定本野口雨情 第四巻』未来社 昭和61年

『世界大百科事典』(平凡社 昭和63年)の「マメコガネ」の項]

場所:茨城県北茨城市常磐自動車道・中郷サービスエリア[上り線]内
交通:JR常磐線南中郷駅よりタクシー8分。


マメコガネの写真は、「デジタル昆虫図鑑」の昆虫好き会社員さまよりお借りしました。
「デジタル昆虫図鑑」 http://www.saturn.dti.ne.jp/~dinsects/


2005年7月13日更新
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[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
第33回 『四丁目の犬』
第32回 『七つの子』
第31回 『背くらべ』
第30回 『浜千鳥』
第29回 『通りゃんせ』
第28回 『宵待草』
第27回 『案山子』
第26回 『仲よし小道』
第25回 『七里ヶ浜の哀歌』
第24回 『城ヶ島の雨』
第23回 『どんぐりころころ』
第22回 『十五夜お月さん』
第21回 『浜辺の歌』
第20回 『叱られて』
第19回 『故郷』
第18回 『砂山』
第17回 『兎と亀』
第16回 『みどりのそよ風』
第15回 『朧月夜』
第14回 『早春賦』
第13回 『春よ来い』
第12回 『鉄道唱歌』(東海道編)
第11回 『赤い靴』
第10回 『靴が鳴る』
第9回 『紅葉』
第8回 『證城寺の狸囃子』
第7回 『かもめの水兵さん』
第6回 『箱根八里』
第5回 『赤い鳥小鳥』
第4回 『金太郎』
第3回 『荒城の月』
第2回 『春の小川』
第1回 童謡が消えていく
[ああわが心の東京修学旅行]
最終回 霞が関から新宿駅まで 〜霞が関から山の手をめぐって〜
第8回 大手町から桜田門まで 〜都心地域と首都東京〜
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第6回 銀座から品川まで 〜都心地域と都市交通を訪ねて〜
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第2回 新宿駅から九段まで 〜山手の住宅地域と商業地域を訪ねて〜
第1回 データで見る昭和35年


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