故郷の最近のブログ記事


前回予告をさせていただきましたが、8月のはじめに帰省した際、素敵な古道具屋さんを発見しましたので、ご紹介します。

話のはじまりは、妹からのひと言でした。
「お姉ちゃんが好きそうなお店ができたんだけど‥‥」って。
正直、半信半疑の私は「へぇ、そう?」と生返事。東京ですら、骨董店の経営が厳しいこのご時世、私の故郷のような片田舎(スミマセン!)に、古道具屋さん、しかも私好みのモノを商っておられるお店など、あるわけないと思っていたからです。

とはいうものの、古道具屋さんとくれば、気にならないといえばウソになります。妹に案内されて、娘と探検がてら訪ねてみることにしました。

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着いたところは、以前スーパーがあったところ。赤地に白い文字を染め抜いた、「古道具」ののぼりがはためいているのを見て、先ほどまでの疑わしい表情はどこへやら。急に期待が高まって、ニコニコ顔になるのですから、現金なもの。
屋号は"古道具ぶんぶく"さん。ウキウキと店内へ。

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「こんにちは~」と声をかけ、一歩店内に足を踏み入れたとたん、なんともいえない懐かしい匂い! 私のイメージにある、大好きな古道具屋さんの雰囲気、そのものだったのです。

妹を振り返り、「でかした!」という気持ちを込めて目線を送ると、得意げな顔でニンマリ。
できた妹を持って、お姉ちゃんは嬉しいぞ!

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素敵な雰囲気にたがわず、収穫(?)の方もなかなかで、嬉しい限りでした。店内のご紹介は後でゆっくりするとして、求めた品物を2つご覧にいれますね。

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お店に入ってすぐ目についたのが、このセルロイド製の達磨さん。「眼力(めぢから)」という言葉がしっくりくるような、威厳のあるお顔に鉢巻キリリ。セルロイドらしい淡い色合いもよく似合い、いっぺんで気に入りました。高さ14センチ。

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七転び八起きの縁起物である、達磨さんのパターンにたがわず、底に重りが入っていて、起き上がり小法師になっています。本体が軽いので、起き上がり方もピョコリ、ピョコリと可愛らしい感じ。

右手に持っているのは何でしょう、太い筆のようにも、武将が使った采配のようにも見えますが、珍しいですよね。よく見かける達磨さんは、手の表現がされていないのが普通でしたし、以前ご紹介した達磨さんもそうでした。地方によって、違いがあるのかしら。

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もう1つは、煙草のパッケージを絵柄にしたお小皿です。このお皿は、ほぼ同じ絵柄のものを以前ご紹介しましたよね。ただし、私の家にいるお皿は直径15.5センチで、今回求めたお皿は直径13センチと、いくぶん小ぶりなのが違います。いうなれば、バージョン違いというところで、思わぬ発見に嬉しくなりました。

コレクターの間では、すでに有名なお皿ではありますが、煙草の銘柄が親しまれていた当時の世相が感じられて、好きなモチーフのひとつです。

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広い店内には、目移りしそうなほど古物がずらり。これはお仕事として昨日今日始められたのではない、きっと、長い年月をかけて集められたに違いない、と確信。器はもちろんのこと、民芸品や着物から、状態の良い玩具まで、品揃えもバラエティ豊かでした。

大好きなモノばかりのお店に興奮のひと時を過ごし、これではいけないと深呼吸、少し落ち着いたところで、お店のご主人にお話しをうかがうことに。

思ったとおり、ご自身も古いモノがお好きで、長年にわたって少しずつ集めてこられたそうです。"古道具ぶんぶく"をオープンされたのは、今年の3月だそう。開店してまだ半年あまり、数少ない地元の古道具屋さんだけに、頑張って続けていただきたいと思わずにはいられませんでした。

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お店の様子も、いくつか紹介させていただきましょう。まずは入口から。臼に壺、植木のお鉢やお釜と、大物のうつわ類が並んでいます。奥の箪笥越しに、ぶんぶくさんの看板が見えますね。

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店内、瀬戸物の棚をのぞくと、こちらも欲しくなるモノばかり。漆器やガラスのビンも気になりますね。壁に架かっている、八角時計もいいなぁ。

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こちらも器がたくさん、お茶道具や民芸品、お人形もあって楽しい一角。郷土の焼き物もありますよ。

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このお酒の広告は素敵ですね! おヒゲにステッキの洋装紳士、奥さんと娘さんの着物がすごくきれい。手前の汽車のオモチャも気になります。状態はどれも良くて、大切にされてきたことがうかがえました。

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思わず座ってみたくなるベンチの前は、テーブルかと思いきや、足踏みミシン。本当に多種多様な品揃え、時間の経つのを忘れてしまいそう。


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場所は、境港線の大篠津駅を降りてすぐ。鬼太郎の街・境港や、米子空港からもディーゼルカーで一本という、便利なところです。山陰に旅行されたときは、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!


古道具ぶんぶく
住   所:鳥取県米子市大篠津町4923
電話番号:080-3888-2937
営業時間:10:30から17:00
定 休 日 :日曜定休、不定休

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今年は終戦から70年の節目の年。それに関連しての特集や報道を、テレビをはじめ雑誌や展覧会など、さまざまな場所で目にすることが多いですね。

上にチラシを掲げた「衣類が語る戦争」展も、そのひとつといえるでしょう。何より、私の尊敬する蒐集家であるH氏が、ご自身のコレクションを提供されたと聞いては、見に行かずにはおられません。今月末までということもあって、旦那さんと娘を連れ、家族3人で行ってきました。

場所は、新宿駅から甲州街道を西へ向かったところにある、文化学園服飾博物館です。私も旦那さんも、新宿には縁薄い方で、娘はもちろん初めて。高いビルが立ち並ぶ繁華街に興味しんしんで、親ともどもお上りさんのようにキョロキョロするしまつ。館内に入ると、平日の午後という時間でありながら、年配の女性でにぎわっており、みなさん熱心に展示を見ておられました。

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会場に展示されている品の点数は、思ったより多くない印象でしたが、よく知られている戦時中の国民服にはじまり、戦車や飛行機が描かれた子供着、不要な着物を改造することで生まれた更生服、代用材料のドレスなど、当時の世相を垣間見れるものばかり。
感心したのは、先の戦争だけでなく、日清・日露から、第一次大戦当時のモノまで展示されていたこと。戦争が衣服や布製品に及ぼした、デザインや素材への影響には、ここ数十年だけでない長い歴史があることがわかりました。勉強になるなぁ。

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気になるH氏所蔵の展示品は、紙縒糸(紙の帯を細い糸状に縒ったもの)で織った服や、スフ(ステープル・ファイバー、合成繊維の一種)製の服など、傷みやすく保存が難しい素材の品が少なくないにもかかわらず、いずれもとてもよい状態だったのが印象的でした。骨董市でお会いすると、常に厳しい目で品定めをしていたHさんの様子が思い出されて、「さすがだなぁ!」と、尊敬の思いが増したものです。

当時のモノたちは、時間がたって色あせているせいもあってか、どうしても暗い色合いのモノが多くなってしまうのですが、そんな中で子供服だけは、色遣いが華やかなだけでなく絵柄も斬新ときていて、物資の乏しい中でもわが子の成長を願う親の姿が垣間見え、一児の母としてはついつい見入ってしまうのでした。

そうそう、一緒に行った旦那さんは、紙縒糸で織った女性服や、ミノムシの蓑袋を平たく伸ばして継ぎ合わせた鞄に、特に関心を示しており、人が編み出す工夫というもののすごさに驚いていました。
セミのぬけがらを生のまま(!)持ち歩くのが好きな娘に、「ミノムシのおうちで鞄がつくれるよ」なんて話したら、「自分もつくる!」って、ミノムシ探しの旅に出そうだな‥‥、なんて思ったりして。

展示は衣服にとどまらず、洋裁研究雑誌「装苑」の戦時中の号や、木や貝でできた代用品のボタンなど、関連するさまざまなモノまで押さえているあたり、さすが服飾博物館。
娘とこういう博物館へ来たのは、はじめてのことでもあり、落ち着いてじっくり見るというわけにはいきませんでしたが、以前にくらべるとだいぶききわけがよくなって、静かについてきてくれるようになりました。今後もなるべく、こういう機会をつくっていきたいですね。


【 お ま け 】
早いもので、8月も終わりますね。最後の週に入ったとたん、急に気温が下がって朝は18度です。びっくり! そんな秋の知らせとともに、義理の父の一周忌があります。昨年の今ごろは大忙しでしたケド、この一年、本当に早かったなぁ。

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8月のはじめには、故郷にも帰ってきましたが、暑かったです。連日晴天で、雨の心配ゼロ。そんな山陰も珍しく、いい時に帰ることができたと感謝しています。そうそう、地元では素敵な古道具屋さんを発見しました! 次回ご紹介しますね。

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朝早くからテンション高めの娘、水平線から出てきたばかりの朝日を前に、さっそくシャボン玉遊びです。

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一見して、懐中時計を模したとおぼしきケース。フタの中央には、毛まで細かく表現されたリアルな描写のライオンが、精密なプレスでデザインされています。

10年ほど前になりますか、出会った瞬間、ものすごく惹かれるものがあって、裏返したりフタを開けたりして、眺めまわしてしまいました。残念ながら、表面にも中身にも、製造国やメーカー名を記した刻印はなく、どこで作られたのかはわからなかったものの、私のツボをつくものがあったのでしょう、即お持ち帰り決定。

なんというか、携帯できる古いモノというのは、お家に飾っておくだけのモノにくらべて、よりロマンチックな感じがしませんか?

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全長55ミリ、手のひらにのせると、ちょうどよい大きさ。ライオンのディテールも手伝ってか、ギュッにぎりしめた感触も、心地いいのでした。そして、年月を経た真鍮ならではの、ちょっと黒ずんで重厚感のある色合いがまた味わい深く、古いモノ特有の存在感にあふれています。

時計でいう、竜頭にあたるところを押すと、気持ちよくパチン、と音がして開きました。中はごらんのとおり、しっくりとはめ込まれた内貼りがあって、浅いお皿のような容器になっています。用途はなんだったのでしょう、薬入れだったのでしょうか。

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よほど細工がよいのでしょう、閉める時も、パチンと音がしてしっかりと閉まり、まったくガタがありません。

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裏はつるりとして、撫でまわしても気持ちの良い感じ。

出会って10年、そろそろ実際に使って愛でようかなあ。大切な写真を入れて、ロケットペンダントにしようかしら。

 

【おまけ】

8月の中旬に里帰りしてきました。東京はまだ猛暑だったので、田舎は朝晩涼しくて、やれやれ助かったと思ったものです。もっとも、戻るころには東京も涼しくなりつつあり、いっぺんに秋が訪れたような気分でした。

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そして、涼しい風とともに、義理の父が亡くなりました。

私はこの間、とても多くのことを学びました。例えば、着物の喪服は、6月と9月は「ひとえ」を着て、夏は「絽」を着るのが正式の装いなのだということ。でも、現在では6月から9月まで絽を着ることが多くなり、ひとえは貸衣装もありませんでした。

古いモノもそうですが、時間が流れると、どんどん変化していきます。便利になってよかったと思う反面、さびしい気持ちもあります。そして、伝えていきたい気持ちも。

駆け足で走りぬけた半月‥‥。今年の夏を忘れないでいようと思います。

「おじいちゃんは、お星様になったんだよね」明るい娘の言葉です。

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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