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「ぶらり歌碑巡り」タイトル

アカデミア青木

http://www.maboroshi-ch.com/hoso/item-43.html
ラジオ版・ああ我が心の童謡〜唱歌編
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ラジオ版・ああ我が心の童謡〜童謡編
まぼろし放送にてアカデミア青木氏を迎えて放送中!

碑

第38回 『雨降りお月さん』

 日溜まりの公園で、暮れなずむ街角で、夜のしじまの中で、ひとり「童謡」を口ずさむ時、幼き日々が鮮やかによみがえる…。この番組では、皆様にとって懐かしい童謡の歌碑を巡ってまいります。今回は、『雨降りお月さん』です。
 「雨降りお月さん、雲の蔭…」で始まる『雨降りお月さん』。のんびりとした曲調のこの歌は、野口雨情の作詞、中山晋平の作曲によるものです。



『雨降りお月さん』(歌詞は『定本野口雨情 第三巻』未来社 昭和61年 収録のもの)
 作詞 野口雨情(のぐちうじょう、1882−1945)
 作曲 中山晋平(なかやましんぺい、1887−1952)

 

碑

 

1.雨降りお月さん
  雲の蔭

  お嫁にゆくときや
  誰とゆく

  ひとりで傘(からかさ)
  さしてゆく

  傘ないときや
  誰とゆく

  シヤラ シヤラ シヤン シヤン
  鈴つけた

  お馬にゆられて
  濡れてゆく

2.いそがにやお馬よ
  夜が明ける

  手綱の下から
  ちよいと見たりや

  お袖でお顔を
  隠してる

  お袖は濡れても
  干しや乾く

  雨降りお月さん
  雲の蔭

  お馬にゆられて
  ぬれてゆく

 

 雨情は、この1番の詞を『コドモノクニ』大正14年1月臨時増刊号に、また2番の詞を『雲の蔭』という題で同誌大正14年3月号にそれぞれ発表しました。中山は曲を付けるにあたり、当初は『雨降りお月』の歌と『雲の蔭』の歌を別々にして、続けて歌う形をとりました(『童謡小曲第八集』山野楽器店)ところが、大正15年6月に刊行された雨情の童謡集『蛍の燈台』(新潮社)では、2つの詞を上掲のように『雨降りお月さん』の1番、2番という形にまとめて収録しています。別々の歌を1つにした方がすっきりするので、この間に詞の手直しが行われたのでしょう。今日歌われているのは、この手直しした後の歌なのです。
 雨天の地上からは決して見ることができない「雨降りお月さん」。雨情は雲に隠された月を心の目で眺めながら、空想をめぐらしています。彼は『蛍の燈台』の序文でこう述べています。
 「(前略)自然に直面し、自然と握手することの出来る心は、永遠の児童性であり、童心であります。童謡は童心より生発する芸術でありますから、意識的に作られることは、童謡の本質ではありません。童謡は、飽まで歌謡のすがたを備へた童心芸術であります。(後略)」
雨情の感性の豊かさに、ただただ脱帽するばかりです。
 さて、この『雨降りお月さん』の歌碑は、雨情が生まれた茨城県北茨木市の常磐自動車道・中郷サービスエリア[下り線]内の庭園の中に建てられています。先般[上り線]の庭園内の碑をいくつかご紹介しましたが、こちらの方にも雨情の碑が建てられていますので、次回からいくつか取り上げてみたいと思っています。


[参考文献

『定本野口雨情 第三巻』未来社 昭和61年

『童心の詩人 野口雨情』いわき市立草野心平記念文学館 平成12年]

場所:茨城県北茨城市常磐自動車道・中郷サービスエリア[下り線]内
交通:JR常磐線南中郷駅よりタクシー6分。


2005年10月14日更新
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[ああ我が心の童謡〜ぶらり歌碑巡り]
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