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今回は、No.82でご紹介しました、KBKの小さなビンと、ほぼ同じ大きさの"クラブ美身クリーム"のビンをご紹介します。"クラブ化粧品"といえば、私がご紹介するまでもなく、とても有名ですが、明治36(1903)年に、神戸市にて"中山太陽堂"として創業をはじめ、クラブ美身クリームは、明治44(1911)年に誕生しました。トレードマークの花笠をかぶった2人の女性は、画家の中島春郊さんが、前田公爵夫人をモデルに描いたとか。とても華やかで、印象に残る絵柄ですよね。

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大きさの比較として、最近ご紹介してきた小さなモノたちと並べてみました。クラブ美身クリームのビンは、高さが23ミリ、直径25ミリで、KBKのビンと比べると、1ミリほど大きいつくりとなっています。 

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両方とも、フタにまで、気が配られているのも素晴らしいですね。 ちなみに、クラブ美身クリームのフタは、アルミ製ですが、文字がエンボスで描かれているのがステキです。

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発売当初から、とても人気のあったクラブ美身クリームは、長年にわたって、さまざまな形のビンで、販売されてきました。残念ながら、ラベルはありませんが、意識していると、ご縁があるもので、私のもとへ何個かやってきました。"ガラス集めてみました"を書いておられる、びっきさんも違うビンをご紹介しておられます。

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ラベルがなくとも、フタに文字が描いてありますから、クラブ美身クリームのビンだとわかります。ちなみに、黒いフタのビンは、"クラブ美身衿白粉"です。厚手の白い陶器のビンは、とても可愛らしいと思うのです。

 

おしまいに、オススメ書籍のご紹介です。いまさらなのですが、昨年の冬に購入して以来、ずっとご紹介したいと思っていました。

『浪漫図案 明治・大正・昭和の商業デザイン』(編:佐野宏明 発行:光村推古書院)

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子供が産まれて、ほんの少しだけ気持ちに余裕ができた時に買った1冊です。ページを開いたとたん、紹介されたパッケージ、ラベルなどの多さに、思わず声をあげちゃいました。 すご~くひさしぶりに、趣味の世界を見た感じすらしました(オーバーと思われるかも知れませんが、産後の半年間って、必死に育児中なので、今までとは世界が変わった感じがしちゃうんです)。紹介されたモノは、化粧品、薬品、食品、日用品などで、それもオールカラー。ラベルはもちろん、仁丹ケースや石鹸の箱、ビールに、化粧品のビンに、歯磨き粉、蚊取り線香の箱、インキ瓶、レコードの針容器などなど、たくさんの商品を見ることができます。巻末の参考文献や、年表などの資料もありがたく、古物好きな方には、資料本として、手元に置かれるといい書籍だと思います。 

 

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『ベビ新辭典』に出会ったのは、平成6(1994)年の3月21日のこと。京都東寺の弘法市へ行った時です。500円で買いました。縦53ミリ、横38ミリ、厚さ20ミリの小さな辞典で、 奥付を見ると、東京市日本橋区室町四丁目五番地にあった、株式会社寶文館から発行されています。発行日は、昭和4(1929)年1月10日で、手元にある辞典は、昭和11(1936)年3月1日に重版されたモノでした。驚いたのは、20版というからスゴイ! いったい何冊販売されたのでしょう。つくるのも大変だったのではないでしょうか。

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76年前の辞典は、小さいながらも、しっかりとしたつくりで、ページもとれることもありません。携帯用の辞典として、鞄の中に入れて持ち歩いたのでしょうか? ちなみに、ページ数は906。すごいですね。 KBK&クラブ美身クリーム(次回ご紹介します)のビンと並べてみると、いかに小さい辞典なのかわかります。

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ベビ新辞典の文字のまわりに描かれているのは、細い線で描かれた、すずらんの花です。茶色にグリーンという色が、ステキなのです。小さな辞典といえば、実用品で3冊持っています。三省堂から発行されたGEM辞典。国語、漢字、英和・和英の3種類です。それこそ、鞄の中に入れて持ち歩いた時期もありました。縦110ミリ、横65ミリのサイズは、持ちやすく、柔らかい革の表紙も手に馴染んで、とても便利でした。今は携帯電話で調べることができますから、持ち歩くこともなくなりましたが、家でパッと調べたい時には、活躍している、小さな辞典なのです。

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さて、ご紹介したベビ新辞典から、本つながりということで、恥ずかしながら、私の本をご案内したいと思います。タイトルは『ガラクタをちゃぶ台にのせて』(晶文社発行)です。どのような内容かと、お問い合わせをいただきまして、考えてみたら、今まで細かくご紹介したことは、なかったと気づきました。それに、最近出版された本なら、「書店でご覧になってください」ともいえるのですが、いかんせん、だいぶ前の本ですので、それも不親切だと思い、少しご案内をさせていただきたく‥‥。 

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 ~目次~

まえがき ひろったちゃぶ台

★白熱球が揺れる暮らし

迷子札/足袋商人のトランク/ローラー洗濯器/魔法古て/福助足袋のお金の受け皿/ターンスイッチ/安全針入器/電話料金箱

★ヨクキクヨは健康の合言葉

ミツワ石鹸/置き薬の箱/博愛マスク/三笠かとり線香/オゾンパイプ/M印均質牛乳ビン/衛生楊枝/ビヨンビヨン眼鏡 

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★未確認骨董物体

二宮金次郎の陶板/カフェークロネコのカガミ/ネクタイ更正器/火玉炭と防火砂弾筒/小高式消火器/ムシキラー/煙草ケース

★ひきだしの中は小宇宙

無針紙綴器/資生堂のレターラック/プロペラ型ペーパーウエイト/大正式鉛筆削/忠孝筆入/ふくろうのペン立て/野球少年のランドセル/萬年海綿器

★縁側で遊んだ小さな友だち

日の丸の蛍カゴ/だるまサーカス/オモチャの装身具/モダンガールの羽子板/独り占い・心の友/祖母の雛人形

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以上、目次を並べてみました。★印の項目で分類して書いています。本誌に掲載されている写真は、すべてカメラマンの、坂本真典さんが撮影してくださいました。どの写真も迫力のある、いきいきとした写真で、私も、モノたちも喜んでいました。モノの撮影をする時に、さまざまな物、例えば革のコートなど、身近にある物を地紋にして撮ったり、近所の公園で撮ったりして、いかにモノの魅力を引き出すか、撮影のおもしろさを教えていただきました。内容は、ヘンテコだけどおもしろい、愛すべきガラクタたちを通して、戦前や大正時代をのぞいてみる楽しさを、ワタクシゴトをからめて書いた、骨董エッセイ(?)という感じです。

当時は、ひろったちゃぶ台の上に、骨董市などで出会った、お気に入りのモノたちをのせて、大発見だと、アレコレ想像して、おもしろがったり。素性調べに夢中になったり‥‥。そんなひとときが大好きでした。今は、少々余裕がないのですが、忙しい合間に、古いモノを見て癒されたり、このブログも楽しみになっています。

 

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今回ご紹介するのは、昭和13年に発行されたカタログ通販の雑誌です。それも「百貨店経費を省いた、店ざらし商品絶無の、割戻しクーポン(金券)付の、新販売機関」というキャッチフレーズが書いてあり、「新販売」という文字から、カタログでの販売が、目新しいものであったことがうかがい知れます。発行元は"東京百貨株式會社"で、タイトルは『東京百貨型録・第三號』です(以下、型録ではなく、カタログとご紹介します)。

ご覧ください。なんて素晴らしい表紙なのでしょうか。古いモノが好きな方であれば、瞳がキラキラしてしまうような、ステキな表紙です(落書きがしてあるのが残念ですが‥‥)。それもカラーなのがいいですね。126ページにわたって掲載された商品の多さも見事で、昭和13年という時代に、こんなにお洒落で、ワクワクするモノたちが販売されていたのかと、驚きもしました。ぜひとも、ご縁があれば、ほかの号も入手したいものです。 

75-3.jpgさて、今回は『東京百貨型録』の中から、文房具(事務用文具)が紹介されているページを取り上げたいと思います。文房具だけでも7ページもあるのですが、あえてホッチキスやアイン紙綴器、鳩目紙綴器(ハトメパンチ)、二ツ穴、三ツ穴パンチが掲載されているページをご紹介します。というのは、何度かご紹介してきました無針紙綴器につなげて書きたいと思ったからです。

実は、『輸入・廃番文房具の発掘メモ』にて、無針紙綴器をはじめ、私のことまで取り上げていただきました。ありがとうございました。書いておられる、たいみちさんは、その後次々と無針紙綴器の仲間を発掘され、その様子に、欲しいと強く願っている時は、モノはやってくるということを、あらためて思いました。私も、そんな経験が何度かありますが、「そうだったんだ!」って、発見できた時の嬉しさは、思い出すだけでも、ニンマリとしてしまいます。

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たいみちさんのHPは、タイトルからもおわかりのように、廃番になった文房具について、きちんと書いておられ、とても勉強になります。また、ブングテンや古文具市などにも参加され、カレンダーをつくっておられたりと(とても可愛い)、"文房具の伝道師"として、頑張っておられます。なんだかすごいです。私も古い文房具好きのハシクレとして、今後も少しづつご紹介していきたいと思っています。

話を『東京百貨型録』に戻しまして、昭和13年頃も、すでに紙を綴じる道具が、たくさん販売されていたのですね。それもカタログに載せるほどですから、現在より重要視されている気がします。無針紙綴器のように、針がなくても綴じれる商品でさえ、たいみちさんの紹介しておられるモノを見ると、複数でていますから、需要があったということでしょう。

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ホッチキスといえば、以前ご紹介した、飛行船の形をしたホッチキスがありますが、飛行船以外にもライオンや鳩など、いろんな種類があるようです。事務用品なのですから、なにも形に凝らなくてもいいのでしょうが、そのこだわったデザインに遊び心が感じられ、当時デザインされた方のセンスのよさといいますか、心の余裕を感じてしまうのです。

それにしても、針不要の無針紙綴器誕生から93年が経ち、紙不要の時代になりつつあります。といっても、必要、不要のバランスをうまく取りながら、各人の判断(好み)で、選んでいける時代になってきました。私も残したい手帳は、毎年同じモノを買い、ちょこちょこと書いて、同じように整理していますが、それ以外は、パソコンの中に保存してあります。

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    さえきあすか -asuka saeki-
    忘れ去られてしまいそうな、昔なつかしいモノたちに魅せられて、コツコツ集めています。古くさいけど、あたたかくて、あたらしい。そんな愛すべきガラクタたちをご紹介します。

    旧サイト連載:
    駅前ガラクタ商店街
    …昭和以前の生活雑貨録

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