旦那サンが、オモチャの電話を買って来ました。赤い公衆電話の貯金箱で、商品名は"電話銀行"。これがよくできているんです。遠目に見ると本物みたいですし(小さいけど)、10円玉を入れると音楽が流れます。それも日本人の心に届く昭和メロディということで、「あの日にかえりたい」「少年時代」「贈る言葉」「川の流れのように」「秋桜」などなど、懐かしい曲が10曲も入っているという素晴らしさ。おもしろいので、ついつい10円玉を入れて聞いてしまいます。ちなみに10円玉がいっぱいになると、目標達成を知らせてくれて、返金してくれるそうです。最近の貯金箱ってスゴイです。
公衆電話といえば、駅前は別として街中ではずいぶん減りましたね。たまに見かけると懐かしい気持ちになったりして(ちょっと早すぎ!)。でも、どの電話ボックスもきれいにしてるなぁって眺めていたら、以前はいろんなチラシを貼られて、問題になっていたことを思い出しました。チラシって今は貼ってないのかな? そう思い、チラシがたくさん貼ってあった、西武池袋駅西口前の、ずらりと並んだ電話ボックスも見てみましたが、ボックス内にチラシは貼られておらず、外側に2種類貼ってあるだけ。宣伝がチラシである必要がなくなったのだと、あらためて思いました。
でも、チラシが問題になっていたことも、こうもあっさり過ぎていくと、電話を取り巻く環境が、いかに激変したかを思い知らされます。私自身、公衆電話はずいぶん使っていませんし、テレホンカードも、最後に使ったのはいつだったか思い出せないくらいです。携帯電話の普及により、公衆電話の存在ですら、こんな感じですから、"電話料金箱"の存在なんて、遠い彼方って感じでしょうか? いえ、世代によっては彼方にすらないですね。
電話料金箱とは、各家庭に電話がまだまだ普及していなかった頃に使用されたモノで、下宿などで呼び出しに使われた電話や、公民館など公共の場にあった電話の横に置かれていました。公衆電話のお金を入れる箇所が、外付けだったという感じでしょうか。公衆電話の普及とともに消えていったと思うのですが、電話料金箱は種類が多数ありますから、当時はそれだけ重要があったのでしょう。
ご紹介するのは、あまり見ないタイプの電話料金箱で、木とセルロイドでできています。暗めの水色に金色の文字という組み合わせが、とても気に入っていて、文字の書体も昭和レトロといいますか、懐かしい感じがします。大きさもいろいろがありますが、これは小さいほうで、高さ13.5センチ、横幅7.5センチ、奥行き4.5センチです。電話機の横に置かれたり、柱などに掛けてあったのでしょうね。でも、見るからに簡単に盗まれてしまいそうな小さな箱です。当時は盗難被害とかなかったのでしょうか? まったくなかったとは思いませんが、それでも電話料金箱の存在を思う時、当時の人たちが電話を切ったあとに、きちんとお金を入れていた様子が思い浮かびます。そして、電話が今ほど身近で簡単に使える物でなく、貴重な存在であったことが偲ばれるのです。
お知らせ
プラスチックでできた電話料金箱とご紹介していましたが、セルロイド製でしたので、セルロイドに訂正しました。詳しくは、"No.28 電話料金箱という存在を教えてくれた、木製電話料金箱"をご覧ください。
ご案内
1月22日(土)から26日(水)まで、豊島区目白にあるアンティークショップ、布と玩具 LUNCOで、「振袖、訪問着そしてうさぎ」と題して、うさぎ柄の着物、帯、帯留、帯〆、布、うさぎの玩具などを販売されます。
古いモノを商う人を見ていると、パワフルな方が多いのですが、LUNCOのオーナーであり、『Luncoのオモシロ着物柄』(Marble books発行)の著者である永田欄子さんも、半端じゃないくらい元気な女性です("その49 『Lunco』と『小さなレトロ博物館』、着物だらけの1週間"参照)。集まってくる着物も、とてもおもしろいモノばかりで、よく底をつかないものだと思うのですが、それだけ着物の歴史は、奥が深いということなのでしょう。