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「定食ニッポン」タイトル

第52回 なぜ私は鹿児島で
「こむらさき」に入ってしまったのか?
畸人研究学会今柊二


ラーメン 鹿児島の天文館は繁華街であり、鹿児島をはじめ多くの観光客が歩いている。今回、鹿児島に用事があってアーケードのついた天文館を歩いていると、お城の城壁のような変わった建物が。なんだか謙虚な看板が出ていて、それによるとここがあの有名なラーメン店「こむらさき」らしい。前にも記したけど、私はラーメン自体にさほどの執着は持たない。ラーメン定食ならともかく、ラーメン単体に700円も800円も出すことはしない。そのくらい出せば結構よい定食食べられるからね。ちなみに、このこむらさきはラーメンで900円。その事前情報を仕入れた段階で多分自分には関係ないなと思っていたのだけれど、店の面構えを見た瞬間に「むむむ」と思った。なんだか「あたり」の定食屋の気配が濃厚に漂っているのである。さらに店内を覗き込むと、観光客らしき人もいるのだけど、結構そのあたりのサラリーマンやら地元らしきおばちゃんがおいしそうに食べている。「これはひよっとすると、ひょっとするかも」と思った。実は空港バスに半時間後に乗らなくては行かず、定食屋調査をじっくりしている時間はなかった。そこで大きく決断して店内に入った。まあ私的にはこれは大変なことです(笑)。900円のラーメンだからね。

「こむらさき」

 店内に入ると、食券制になっており、まずは食券を買い、プラスチックの札をもらって、カウンターに座る。するとすぐさま、お茶とオシボリ、そしてなぜか大根の浅漬けがサーブされる。店員はキビキビして気持ちいいなあ。オープンキッチンなのでつくっている様子がよくわかる。何人かまとめてつくっているようで、広島風お好み焼きをつくるように、複数の具材を順番に入れている。茹でたキャベツ、チャーシューなどというようにだ。運ばれてきたお茶を飲みながらそんな作業を見ていると私のラーメンがいよいよ完成。運ばれてきたラーメンは、茹でキャベツと小さく切られた焼き豚が大量に載っている。焼き豚は黒豚らしい。そして特徴として、シイタケが入っているのがわかる。まずはスープを飲んでみるとなんだかやさしい味。トンコツなんだけど、ギラギラしていない。さらに麺を食べると、色白の縮れていないこれまたやさしい味。かん水を使っていないようだ。なんだか落ち着く味だなあ。さらにテーブルに置かれたおろしにんにくを少し入れるとややパンチが出たが、それでも心が落ち着く。食べているとたっぷりのキャベツと混ざり味にバリエーションが出る。焼き豚もおいしいけど、しいたけの食感が「健康になれよ!」と言ってくれているようでとてもうれしい。ちょっと漬物をかじって、麺をすする。

ラーメン

 あっ、そうか。
 分かった。この色白の麺が「ご飯」にあたり、スープが汁で、キャベツや焼き豚がおかずだったのだ。そして愛想のよい店の人たちと清潔な店内。つまり、私がこの店に入ってしまったのは「ステキな定食屋」の条件を満たしているからなのだった。それにしてもまっすぐな麺をすすっていると快感すら覚えるなあ。食べ終えて深い満足感を感じた。時間的には空港バスまでちょうどよい時間だ。席を立って「ごちそうさま」と言って店を出ようとしたら店のおじさんが「ありがとうございました」とステキに笑った。
 ああ、こりゃやはり「当たり」の定食屋だよ(定食じゃないけど)。


お知らせ!
本連載「定食ニッポン」をまとめて大幅に加筆した「定食バンザイ!」がちくま文庫として、5月12日に発売されました! ぜひともよろしくお願いします。発売一週間で重版になるという異様な売れ方をしています。現在三刷までいきました。

「定食バンザイ!」

2006年1月11日更新
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