文房具の最近のブログ記事
宮城県のアンテナショップ"宮城ふるさとプラザ"が、池袋にあることを、テレビで知りました。アンテナショップというと、銀座や有楽町、東京駅周辺など、赤ちゃんと一緒だと、行きづらい場所にあると思い込んでいた私は、池袋にあるのなら、もっと早く行けばよかったと反省。さっそく行ってきました。まずもって驚いたのは、想像していたよりも充実した品揃えだということ。微力ながら応援するつもりできたのに、たくさんの商品から、東北のパワーを感じることができて、逆に元気をもらいました。品薄の納豆も並んでいます。"川口納豆"です。パッケージに書かれた「村松博士製法」の文字を意識しつつも、"白松がモナカ"は、上品なお味で美味ですし、"陣中"のスモーク牛たんも美味しくいただき、"佐藤清治製麺"の白石温麺も、パッとゆでて、野菜と一緒にサラダにして、美味しくいただきました。そして、こけし通信筒と、仙台七夕のストラップも買いました。七夕の頃には、もっと元気になっていて欲しいと願いながら‥‥。
今回ご紹介するのは、ひと昔前の"こけし郵便"です(私は昔からそう呼んでいるのでした)。骨董市で、こけし郵便を見つけた時は、とてもロマンチックな感じがして、感激したのを覚えています。そして、今も販売されていると知った時は驚きました。裏面には「登録出願中」の文字があり、底の栓を抜くと、楊枝のような木が刺さっていて、その木にくるくると紙が巻いてあります。現在は底がネジ式で、ネジと紙が別になっていますから、書きやすく、より頑丈なつくりになったのですね。思うに、誕生日や母の日などのカードとして、使うのもステキです。特別感が増すような気がします。
もうひとつは、"箱橇っ子人形"です。子供が毛布にくるまって箱橇に乗り、こけしとおたよりを持っているという、懐かしい感じがするお人形なのです。橇の横に、意匠特許番号の札が付いていたので、調べてみると、米沢市の佐藤忠雄さんによって、昭和32年5月22日に意匠登録されており、意外と新しい玩具だとわかりました。それにしても、「橇」って難しい漢字ですね。思うに「ソリ」を漢字で書いたのは、はじめてのような気がします。ソリで遊んだ経験はありますが、あまりいい思い出はなく、どうも私は、ソリ、スキー、スケートという冬の遊びは苦手です。雪を見るのは好きなのですが。けれど、この箱橇は楽しそうだと思いました。毛布にくるまって乗っていればいいわけですから(?)。
おしまいに、お人形が持っているおたよりの文面をご紹介します。このおたよりは、縦3センチ、横8センチの細長い紙に書いてあり、小さく折りたたんであります。箱橇と毛布の間にさしこんであったので、よく残っていたと思うのです。これを読むと、雪国東北の暮らしぶりと、忍耐強さが伝わってきます。東北は冬の訪れが早いです。どうかどうか、雪が降りはじめるまでに、被災地の方々が、あたたかい場所で暮らしておられますように‥‥。
おたより
とおい お山が まっしろなぼうしを かむって さむいかぜが 雪のまちのとおりを ふいてとおると みんなは 木でつくったハコゾリを出して おつかいをしたり こもりをしたりして あそびます。
さむいかぜで ほおは いつも まっかですが いつも げんきなのです
宮城ふるさとプラザから‥‥。
モノには、いろんな質感がある。ということを、あらためて教えてくれたのは、古物でした。素材によって時代が違うこと、時代によって同じモノでも素材が違うこと、冷たさやあたたかさ、手に持った感触。試行錯誤を重ねた上で、今に続いているということの確認。古いモノは、そんな当たり前のことを気づかせてくれました。うちにいるモノたちも、いろんな素材でできているのですが、今回ご紹介するのは金属です。「やっぱり、古いモノはカッコイイよね~」と、つぶやかずにはいられないモノであります。
それは、懐中時計の形をした文鎮。それも中央には方位磁石が付いています。全長7センチ、左右5センチの手のひらにのる大きさで、大正から昭和初期頃につくられたモノだと思うのですが、ローマ数字と東西南北があしらわれた文字盤が、和洋折衷で実にステキなのです。この素晴らしいデザインは意匠登録されており、裏面には登録番号の刻印があります。そもそも、懐中時計を使いはじめたのは、明治時代だそうです。当時の懐中時計は高嶺の花でした。だからでしょうか。文鎮などの文房具や、印判手の食器や着物などに描かれています。No.1でご紹介した飛行船型ステープラーの飛行船と同様に、当時の人たちのあこがれであったことが、うかがい知れるのです。懐中時計については、『TIMEKEEPER 古時計どっとコム』、『アンティーク懐中時計のページ』、『社団法人 日本時計協会』が参考になりました。それによると、この文鎮は"デミハンターケース"をイメージしたのでしょうが、もちろんフタは開きません。
懐中時計型文鎮と出会ったのは、下北沢にある"古道具・月天"です。店主のTさんとは、世代が近いこともあり、気の効いた(店主いうところの)ガラクタに「カッコイイ!」と連呼し続ける間柄で、古いモノに興味があったところへ、拍車をかけてくれたのは、間違いなくTさんです。この文鎮も、「いいよなぁ」、「カッコイイ~」、「ここまで状態がいいのは、なかなかでないよ」と大の大人が2人して大騒ぎ。いったいどんなお家の、どんな机で使われていたのでしょうか。想像すると楽しくなります。思うに、「モノづくり日本」と、よく聞きますが、この時代から、こんなに渋くて、細かくて、まるで本物の懐中時計のような、ステキな文鎮をつくっていたのです。すごいですね!
余談ですが、No.2でご紹介したプロペラ型のペーパーウエイトは、「ペーパーウエイト」って、イメージなのですが、懐中時計は「文鎮」のほうが、しっくりくるので、文鎮としてご紹介しています。あくまで主観です。すみません‥‥。
ご案内
古道具・月天を"その54 下北沢の『古道具・月天』と画期的発明鉛筆削りの巻"で、ご案内しましたが、現在は、営業日と営業時間が変わっています。
古道具・月天※仕入やイベント参加の際は、お休みのことがあります。お電話で確認してから行かれると確実です。下北沢のアンティークショップ巡りを兼ねて、行ってみてください。
住所 : 東京都世田谷区北沢2-1-3
電話 : 03-3424-8445
営業日 : 土日祝祭
営業時間 : 13:00~19:00