常々、自分は貧乏性だと思ってきました。例えば"大は小を兼ねる"という言葉どおり、洋服は大きめのほうが安心したし、食器も小さいお皿よりは大皿のほうがお得だと、ずっと思っていたのです。色にしてもそう。汚れが目立たないように、白や汚れの目立つ色は避ける。食材の買い方にしても、ついつい"お得"の文字に、まとめ買い。使い切れないほうが、よっぽど無駄なのに‥‥。そんな意識が変化したのは、結婚後しばらく経ってからなのですが、古いガラスに対しても、無色より色ガラスのほうが、お得(?)というか、特別な感じがしていました。それが最近、無色の美しさを再認識しています。食器棚の奥にあった、ガラスの器たちをゴソゴソと出してきて、テーブルの上に並べてみたら、無色だと思っていたのに、微妙に違う色合いで、ポツポツとはいった気泡もいい感じです。お互い主張しすぎないせいか、複数あることで、バランスがいいようにも思えました。
ご紹介するガラスの器は3つです。どれもガラスのフタがついています。一番小さいモノは、ずいぶん前に関西で購入しました。微妙に緑がかった、この片口の器を見ると、京都に行った際に何度も訪れた、骨董屋と喫茶店を兼ねた、"ライト商會"を思い出します(当時は1階が喫茶店で、2階が骨董屋でした)。喫茶店といっても、アンティークなモノたちが、ステキにディスプレイされていて、懐かしい感じがする空間なのですが、アイスコーヒーを注文した時に、一緒にでてきたのが、透明で片口のプレスガラスの容器でした。もちろん戦前につくられたモノです。その容器をそっと持ち、中に入った透明のトロッとしたシロップを、アイスコーヒーに注ぐ‥‥。見た目で美味しそうで、実際美味しくて、古いモノと上手におつきあいしているお店だなぁと、行くたびに、あこがれていました。
次に大きいモノは、少し飴色がかっていて、なんのことはないシンプルなデザインの器ですが、単体で見るよりも、こうして3つ並べると、可愛らしさが増すような気がします。こちらも同時期に関西からやって来ました。食卓で使おうと思いまして。間違いなくライト商會の影響です。
最後に、直径が155ミリの一番大きな器は、最近やってきました。大正時代のモノだそうです。写真だとわかりづらいのですが、少し黄色がかった透明で、この色は、鉛成分が多いために出る色だとか。プレスガラスとしても、初期につくられたモノだそうです。それにしても、凝ったデザインです。フタを取っても、縁取りが可愛らしく、このまま使ってもいいですね。実は、この器は『和ガラスに抱かれて』(文・写真:坂崎幸之助 平凡社発行)に載っていました。それもウランガラスとして紹介されており、色は緑です。緑色のガラスもとても美しく、ステキだと思うのですが、ほかの色もあるのでしょうか? ちなみに、この3つの器の中で、一番小さい片口のモノが、ウランガラスでした。
さて、関東は5月27日に、早々と梅雨入りし、今年は長梅雨になりそうですが、梅雨が明けると、まちがいなく夏です。電気不足の問題など、心配なこともありますが、見た目に涼しく、ひんやりとしたガラス器たちを、今年の夏は、しっかり使いたいと思うのです。
おまけ 気になる街角
小さな虹を見つけました。